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犬はどのようにして犬になったか

2007-09-30 18:22:15 | ノンジャンル
犬はおよそ3万年前から1万5千年前の間に、狼から枝分かれして犬となった、というのが定説らしい。 世界中北極から南極まで、犬を飼わない部族はほとんどない。
では犬はどのようにして犬になったのだろうか。

これは私の想像に過ぎないのだが、犬の起源はおよそ下記のようなものではなかったかと思われる。 ドラマティックに過ぎるというご批判を受けることは覚悟の上で一席・・・


昔々あるところに「風の谷」と呼ばれる集落がありました。 平和で静かな村でしたが、当時(今からおよそ3万年前)のことゆえ、いつも食糧不足に悩まされていました。 

ある日風の谷の衆はいつものように狩りに出ました。 族長ジルの愛娘ナウシカ(^^;も一緒でした。 しかし、その日は全くついていません。 どこへ行っても空振り、いわゆるボウズという奴です。


「これはダメだわい。 今日はもう帰ろ」と家路についた矢先、ミトさんが狼の巣を発見しました。 「おお! これはついとる。 狼じゃあまり腹の足しにはならんが、なにもないよりはましじゃ」

人々は狼の穴をほっくりかえし、よってたかって親狼を叩き殺してしまいました。 後に残ったのは、未だ小さな子狼2匹。 「これも今夜のおかずに・・・」と、人々が子狼をブチ殺そうとした時、心優しいナウシカちゃんが立ちはだかりました。

「まって! この子たちは殺さないで!」 
「うーん、そりゃまあこんなチビでは腹の足しにならんがのう・・・」 
「お願い、私が育てるから」

というわけで、このチビすけ狼は命拾いし、ナウシカに育てられることになりました。 風の谷の一員になるのなら、何はなくとも名前がなければ、海苔の佃煮にさえなりません。 で、このチビ狼は「ルネ」と「ルッキオ」と名付けられました。 (お前はミヤザキだけでなくテヅカのパクリまでやるのか、などと叱らないでくださいましm(__)m)

それはともかく、こうしてルネとルッキオは日に日に成長してゆきました。 しかし、大きくなるにつれ、2匹に対する風当たりも強くなって来ました。 「あの狼共はなにもせんでメシばかりくうとる」とか、「あのゴクツブシめが」とか、さんざんです。 村人から文句を言われる都度かばっていたのは、無論ナウシカでした。 なんとも肩身の狭いことではあります。

そんなある夜のこと・・・ 風の谷の衆は洞窟でぐっすりと寝こんでおりました。 その時早くかの時遅く、洞窟の入口に怪しい影が・・・ これなん恐るべきサーベルタイガーであります。(3万年前の当時、中央アジアにサーベルタイガーが存在したのか? というツッコミはなしね(^^;)

ランランと光る眼、ぐわっと開いた大きな口。 そろりそろりとサーベルタイガーは洞窟に忍び寄ります。 入口に一番近い者迄後僅か、ジャンプ一番サッャ鴻Iリンピック金銀銅のメダル揃い踏み、という瞬間、「うーぎゃんぎゃん」「わおんわおん」とけたたましい吠え声と同時に、平原の王者に挑みかかる二つの小さな影。

サーベルタイガーはさっと退きました。 勿論こんなチビが浮「わけではありません。 しかしこの騒ぎで人々が気づいてしまったので、もう不意打ちはできません。 ならば無駄な争いは避け又の機会を待とう、というわけです。

ともあれ、これで村の衆の危機は救われました。 勿論ルネとルッキオの評価も一変しました。 これまで役立たずゴクツブシとののしっていた人も、手のひらを返したように、二匹を褒めそやしました。

そして数日後に、彼らの存在を更に強く印象づける事件が待っておりました。

風の谷の衆は又狩りに出ました。 この日も例によって獲物は全くありません。 「又ボウズかい。 しょうがない、今日はこれで帰ろう」と帰りかけた時、ナウシカが言いました。 「この子たちに手伝わせたらどうかしら?」

「このチビスケに? そりゃ無理というもんじゃ」 
「こやつらではネズミ一匹捕まえられんよ」 
「いくらサーベルタイガーを撃退したとは言っても、それと狩りとは別ものでしょうが」 
村人は相手にしませんが、とはいえここで二匹を試してみても別に損はありません。

「ふんじゃやってみっか」 というわけで、ルネとルッキオが放たれました。 そして待つこと数分。 
「やはり無理じゃったのう」と人々が諦めかけた頃・・・

前方の草むらから出るわ出るわ、獲物が後から後から飛び出して来ました。 その後ろからはルネとルッキオが吠えながら追い立てております。 大猟も大猟、今まで経験したことのない大猟です。

山のような獲物を担いで家路についた風の谷の衆に、他の部落の人々はびっくりびっくり。 
「おーい、風の谷の衆。 なんであんたの所はそんなに大猟なんだ?」 
「実はこれこれこういうわけで・・・」

「ほえーー、そういうことかい。 で、その狼みたいなチビどもは何という生き物じゃい?」 
族長のジル「うーむ、実は未だこいつらには生き物としての名前をつけていなかった。 では、ここでわしが命名しよう。 さて、なにがいいかのう・・・ おおそうじゃ! こやつらは
「いぬと困る」から「イヌ」と名付けよう」


さあて皆様方よ、これぞ「犬」という名前の濫觴でございます。 ご静聴ありがとうございました。 お後がよろしいようで・・・


といったようなことが、犬としての起源ではないかと私は想像している。  (アニメ仕立てについてはご勘弁をm(__)m) 



失われた都再び

2007-09-29 21:57:06 | ノンジャンル
大分昔のことだが、「失われた都」という同人ゲームを作った。 インカの幻の都「ビルカバンバ」の秘宝をテーマした、秘境活劇エキゾティシズムアドベンチャーである。

スペイン人に追い詰められたインカの人々は、最後の砦として「ビルカバンバ」により、ゲリラ戦を戦った。 しかしそれもやがてスペイン人によって陥落する。 しかし、不思議なことに僅か数十年後には、そのビルカバンバの所在は全く不明となってしまう。 

侵攻した数百人のスペイン人の中には、当時としては最高のインテリである従軍司祭もいたはずだし、読み書きの出来る士官もかなりいただろう。 その人々がインカの都であり巨万の富が眠るビルカバンバの位置を書き残さない筈がない。 なのに現在に至るまで、ビルカバンバの位置は不明である。 よって「失われた都」、「幻の都なのである。 ろうまんちいくやなあ・・・

いや、正確には「不明であった」。 1960年代にアメリカの写真家がアマゾンの奥深く埋もれた大遺跡を発見した。 エスピリトゥ・パンパというその遺跡は、その後発掘が進み、現在ではこれがビルカバンバという説が定着している。 古いインカファンには、なにやら悲しいような嬉しいような、複雑な気持ちである。

失われたものに浪漫を求めるのは人の常。 現在ではビルカバンバに替わり、これも黄金都市である「パイティティ」という、エル・ドラド伝説の一つがあるそうだ。 黄金の眠る謎の都という奴である。 今現在はこのパイティティは発見されていないが、その位置を指し示すパイロット的存在として、「黄金のゆりかご」という大規模な遺跡が発見され、現在調査中だという。


「if」の世界

2007-09-27 17:10:17 | ノンジャンル
私も広い意味でのIT業界のはじっこに、辛うじてぶら下がっている者だが、この業界はごく短期間で成長した企業が大半であり、その成功者の常として「非常に幸運だった」ということが多いと感じている。

この最大の例はビル・ゲイツである。 20数年前にIBMがパソコン用OSを探していた時のことである。 当時IBMは汎用機にはめっぽう強かったが、パソコンは全くの新規参入。 よって新たに発売するIBM≠`TマシンのOSを求めていた。 まず最初に目を付けたのが、当時全盛だったCP/Mのデジタル・リサーチ社だった。 しかし、IBMの幹部が訪れた時、デジタル・リサーチ社長のゲイリー・キルドールは軽飛行機を操縦して空の上にいた。 しかも替わりに応対に出た社長夫人は、傲慢な態度でIBM幹部を怒らせてしまった。

怒り狂った誇り高きビッグ・ブルーは、直ちに替わりの会社を探した。 そして白羽の矢が立ったのは、新興のマイクロソフト社だった。 ゲイツは直ちに会いたいというIBMのために、上客であったアタリ社との会合をキャンセルして、IBMとの会談に臨んだ。 しかも、普段ラフな格好のゲイツは、その会合の際ネクタイを忘れたので、ネクタイを調達するために、ノーネクタイよりあえて30分の遅刻を選んだと
いう。 このあたりの、ビル・ゲイツの「チャンスを見極める目」というは大したものである。

利にさといビル・ゲイツは、この千載一遇の機会を逃さなかった。 しかしその頃のMSは、IBMの要望に答えられるような自前のOSは持っていなかった。

CP/Mをパクったパソコン用OSを持つ、シアトル・コンピューターシステム社が社員の給料の支払いに困っているという話しを聞き込むと、彼は直ちに交渉に入った。 シアトルコンピューター社の社長は温情派だったそうで、内心安いとは思ったのだろうが、社員の給与支払いのため交渉に応じたそうである。

結局僅か8000ドル(この金額は不詳)でシアトルDOSを買い取ったビル・ゲイツは、それを僅かに手直ししてMS≠cOSとしてIBMに提供した。 これがMSの成功への架け橋だった。 その後MSはMS≠cOSの普及と共に成長し、CP/Mをけ落とし、そしてWindows95の発売により、完全にパーソナル・コンピューターOSの覇権を手にする。


このシアトル・コンピューター社の社長に後年インタビューした人によると、社長は「あの時シアトルDOSを売ったことを後悔はしていない」と語ったそうだ。 しかしその本当の胸中は不明である。

ここで「if もし」である。

もし、IBM幹部来訪の際、ゲイリー・キルドールが会社にいたら?

もし、その時替わりに応対に出た社長夫人が、まっとうな対応をしてい
たら?

もし、ビル・ゲイツが先約のアタリ社との会合を優先していたら?

もし、ビル・ゲイツがシアトル・コンピューターからシアトルDOSの
買付けに失敗していたら?

これらの内一つでも「もし」が実現していたら、その後のコンピューター業界の有様は現在のそれとは随分と異なったものになっていただろう。 

ビル・ゲイツとマイクロ・ソフト社の替わりに、ゲイリー・キルドールとデジタル・リサーチ社がパソコンOSの独占販売者になっていたかも知れないし、IBMPC≠`Tマシンは存在せず、アップル・コンピューターがパソコンを独占していたかも知れない。 なにせ「if」の世界のこと故、なにがどうなったのかは、誰にもわからないのだ。

ただ一つはっきり言えるのは、その世界での長者番付や成功者の名前の中には、「William Henry Gates III」は存在しない、ということである。

So It Goes そんなもんさ・・・

とはいえ、無論無能で怠惰では、運だけで短期間で企業を拡張できるわけがないが、といって能力や努力だけでは、短期間でこれほどの成功を勝ち得ることはありえないだろう。 そこには常に「強運」という強力な味方がいたからこそ、これだけの成功を勝ち得ることが出来たと思う。

しかし、ひとたび成功者の仲間入りをしてしまうと、その成功の原因は自分の能力と努力であり、「自分は成功すべくして成功した」のだと考える経営者が多いようだ。 勿論初心を忘れない人もいるが、そうでない人の方がどうも多そうである。


「そりゃお前が(お前の会社が)いつまでたっても火の車だから、成功した奴へのひがみだろ」と言われれば、「正にその通り」と肯定せざるを得ないが、最近のIT業界成功者の方々の言動を見ていると、あながち引かれ者の小唄とばかりは言えないようだ。 「心も金で買える」という御仁がいるのだからね・・・

強運は永久に続くものではない。 それは歴史が証明している。



俺の居場所

2007-09-26 15:55:53 | ノンジャンル
若い従業員が部屋迄案内してくれた。 両側の部屋から漏れてくる若いスキー客の賑やかな声を聞きながら、しばらく行くと黒っぽく煤けたようなドアがある。 

「こちらがお客さまのお部屋です」

その『部屋』を見て、俺は驚いた。 どうやってこの『部屋』へ入るんだ? そのドアにはドアノブがない。 替わりにタンスの取っ手のようなものが、あちこちについている。

首をかしげる俺を見て、従業員が無造作にその取っ手を引いた。 タンスの引出しが出てくる。 幅1メートル強、奥行き約60センチ、高さは40センチ程の広さで、押入よりも狭くどう見ても引出しにしか見えない。

「こちらです」 

又同じことを言う。 こちらと言われても・・・ 

「予約しておいた部屋はどこなんだ?」
「ですから、こちらです」

まさか、この引き出しが部屋?

「こんな所へどうやって入れというんだ。 俺は羽織でも袴でもないぞ」

「はあ・・・ お客さまが、なるべく安い部屋を、とおっしゃるもので」
「安い部屋といったって、人間が泊まれる部屋の中で、という意味だ。ウナギじゃあるまいし、こんな所で寝られるわけがないだろ」

「しかし、他のお客さまはこちらと同じ部屋でおやすみですが」
「そいつは人類じゃない。 vo\ov星かクリプトン星から来た奴だ。 俺は現世人類だからタンスの引出しでは寝られない」

「はあ・・・ それはお客さまの自由ですが、他にお客さまが泊まれる部屋はございませんし、お客さまが泊まれる宿もここにはありませんよ」

俺は従業員の言葉を聞き流し、ぶりぶりと怒りながら宿の入口へ向かった。 支配人を探して文句を付けるつもりだった。 そう言えばまだチェックインも済んでいなかった。 いい幸いだ。 支配人にイチャモンをつけて、まともな部屋にタンスの引出しの料金で泊まってやろう。

「お前のところの従業員教育はなっていない! タンスの引出しを寝室とはどういうことだ。 冗談も時と場合をわきまえろ」

「はっ 申し訳ございません。 きつく叱りおきます。 お詫びに当ロッジ最高のロイヤルスイートをご予約の料金で提供させていただきますので、ご勘弁くださいまし」というようにはいかないだろうが、少なくともタンスの引出しで寝るよりはましだろう。


しかし、行けども行けどもフロントは見あたらない。 そもそも宿に入った時にフロントを通過した記憶がないのだ。 通路の両側には部屋が並んでいるが、どれもけったいな雰囲気だ。

山小屋の蚕棚式の二段寝台もあれば、半世紀前の温泉旅館みたいな畳の部屋もある。 蚕棚では数人の人類(らしい)がごろ寝しており、畳の部屋ではどんちゃんどんちゃんと宴会をやっていた。 なんちゅうロッジなんだ。


その内に通路がいきなりダートになった。
「なんだなんだ、これは・・・ ロッジの通路が泥んことは・・・」

前方左側に並ぶ部屋は、どうやら母屋から独立した離れらしい。 右側には湖水とおぼしき水辺が見える。 しかし離れにしても、通路が泥んこじゃ歩いていけないじゃないか。 


ああ、そうか。 母屋から離れているから離れなんだ。 だからちゃんと靴を履いていかなければならないんだ。 俺はなんとなく納得した。 納得はしたが、なんとも妙なロッジだという気持ちは益々強くなった。


これではらちがあかん。 こんなへんてこな宿を予約したのが間違いだった。 しかし、なんでよりによってこんなやくたいもない宿を選んでしまったのか、いくら思い出そうとしても思い出せないのだ。

まあ、それはどうでもいい。 今からでも遅くはないから、まともな宿を探すべきだ。 俺はようやくそれに思い至った。 まずは駅前へ戻るか。

俺は駅前へ戻ろうとした。 そしてふと気がついた。 駅ってどこにあったっけ? そもそも駅に降り立った記憶がない。 ならば俺は何故ここにいる? それに俺はここになにをしに来たんだ? スキー場のロッジにいるのだから、当然スキーをしに来たのだ。 なのに俺はスキーを持っていない。 スキーどころか荷物ひとつ持っていない。 はて、荷物はどこにおいてきたのだろうか。

慌ててャPットというャPットを探ってみた。 幸い財布はちゃんとある。財布を開いて見ると、金もクレジットカードも入っている。 まずは一安心、俺は安堵のため息をついて財布をャPットに戻した。

記憶がないままに、おおよそこちらだろうという方角に向かって歩いてみた。 宿の玄関を通ったわけでもないのに、いつの間にか外へ出ていたらしい。 駅は見あたらないまま歩いてゆくと、また妙なところに出てしまった。 

砂や小石が無造作に積み上げられた、工事現場みたいな所だ。 なんでスキー場に工事現場があるのか、そこに立ち止まって暫く考えてみたが、これという答えは思いつかない。


寒気が身にしみる。 見れば工事現場の地面には、薄く氷が張りつめている。 やはり冬のスキー場なのだ。 寒いのは当然だ。 

スキー場に工事現場があっても別にいいじゃないか。 新しいリフトかなんかの工事なんだろう。 そう考えると、こんな所に突っ立って考えているのが馬鹿らしくなった。 

それにしても寒い。 ただの寒さではない。 身体の中から生命が流れ出るような寒さだ。 いわゆる悪寒という奴だ。 風邪を引いたのかも知れない。 こんな状態ではスキーどころじゃない。 早いところ列車に乗って家へ帰ろう。 しかし、それにはまず駅を探さなければ・・・

俺は重い足を引きずりながら、来た道を戻った。 

来た道をそのまま戻った筈だった。 しかしいくら歩いても駅もなければロッジもない。 それどころか人家ひとつまわりには見えない。 見渡せば、回り一面荒寥とした雪景色。 

しまった! 道に迷ってしまった。 そう気づくと先程からの悪寒が一層ひどくなってきた。 身体の奥底からぞわぞわと冷たい鈍色のかたまりが湧き出し、骨から肉へ肉から皮へと伝わってゆく。 湧き出す都度、視界が揺れ動く。 胴震いしているのだ。 最早歩くこともままならず、立っているのがやっとだ。 

白一面の雪景色が薄黄色に染まり、そして薄暗くなってきた。 黄昏が迫っているのだろう。 これはいかん。 このままでは凍死しかねない。 俺は生命の危機を感じた。 スキーに来て宿が見つからず、野原で立ち往生の挙句凍死なんて、馬鹿馬鹿しすぎてしゃれににもならぬ。

俺はあの宿の部屋を断ったことを後悔した。 例え引出しでもいい。 少々狭かろうが窮屈だろうが、この寒さに比べればなんぼかましだ。 しかし今更悔やんでも遅い。 体力が尽きる迄になんとしても人のいる所までたどり着かねば・・・

最早方角を見極める余裕もなく、俺は蒼惶と歩き出した。 数歩歩いた所で膝が砕け、前のめりに唐黷ス。 起きあがる力は既になく、雪にまみれたままよつんばいで這い進んだ。 

どの位進んだのか。 数百メートルか、それともほんの数メートルだけなのか。 もう手も足も感覚がない。 寒さも冷たさも感じなくなってきた。 ただひたすらに眠い。 ここでこのまま寝てしまったら、さぞ気持ちがいいだろうなあ・・・ 

誘惑に負けて俺は目を閉じた。 深い深い所へ引き込まれるように意識が遠のいてゆく。


と、頭の上から声が落ちてきた。

「だから言ったでしょう。 他にお客さんが泊まれる部屋はないし、お客さんが泊まれる宿ないと。 ここがお客さんにはぴったり、ここしか安心してゆっくり寝られる所はないんですよ」


目を開くと俺はあの黒っぽく煤けたドアの前にいた。 しかしそのドアは、前に見た時よりものすごくでかく見える。

そうだ。 俺もようやくわかった。 俺にはここしかないのだと。 俺の居場所はここなのだ。 ここが骨箱であろうと死体置場であろうと、もうかまわない。 

彼は俺をつまみ上げた。 彼は随分と背が高く、先程から俺は首をそらして彼を見上げていたのだ。

「さあどうぞ」

俺はその『引出し』に入った。 何故か俺の身体はその『引出し』にすっぽりと収まってしまった。 中々寝心地がいい。 悪寒戦慄は引出しに入った瞬間ぴたりと止まった。 らくらくぬくぬくとしたほの暖かい感触が全身を満たしてゆくのが感じられる。 極楽極楽、これなら一生寝ていられる位だ。 

ふと思った。 今度寝覚めるのはいつだろうか。 それはどのような目覚めだろうかと。 

そして俺はようやく全てを思い出した。 先程俺はこの『引出し』から出てきたのだ。 だから駅も通らなかったしフロントでチェックインする必要もなかったのだ。 『外』が俺にとって居心地が悪かったのも当然のこと。 俺の居場所はここだけなのだから・・・

引出しが壁に引き込まれる音がしてあたりが暗くなった。 外から声がする。

「ごゆっくりおやすみになってください」

                              @ケ



発売日

2007-09-25 18:19:06 | ノンジャンル
弊社新作「長靴をはいたデコ」の発売日が迫ってきた。(9/28であるぞよ) 自分でプレイしてみて、面白いとは思う。 しかし、自分が面白いと思っても、これが売れるかどうかは又別の問題である。 毎度のことだが、発売前のこの時期は一番ハラハラドキドキする時期だ。 さて、今回は?・・・