御神楽少女探偵団その4
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太白星事件で捜査中の所からである。
■第二話『太白星』前編
そして松崎は犯行を認めてはいるものの、殺害の詳細については一切供述しないとのことだ。
栗山刑事にはタイムラインで話を聞いた。
事件当日は、アヤコはオペラ「ファウスト」に午後8時まで出演。
午後10時の時点では、日本館の1階には沢以外の人間が残っていなかったことも確認されている。
午後11時に、松崎が凶器を持って沢の殺害現場に立っているところを発見された。
美和が経営する美術店では、美和からペラゴロ達が浅草公園や瓢箪池に集まると聞いた。
■浅草
早速浅草公園に行くと、平田権六の見世物小屋がケバケバしく興行を打っている。
平田によると、最近日本館付近には、『ファウスト』の登場人物、メフィストの格好をした怪しい人物がしばしばうろついていた、との噂を聞かされた。
瓢箪池では、沢派のペラゴロリーダー、岸井純一と話した。
岸井は、自分達ペラゴロはあくまで純粋にオペラを楽しんでいるのであって、対立するプリマのペラゴロとは仲はよい。
だから、松崎が贔屓のスターのために人殺しなんてする筈が無い、と言うのだ。
そして、岸井はアヤコの楽屋に行った時に、彼女から貰った千代紙を見せてくれた。
その千代紙には「太白星」の文字が書かれていた。
岸井と別れた後、市川団十郎の銅像前で河村派のペラゴロ、加賀谷利也に聞き込みをした。
加賀谷によると、最近は沢よりも河村の方が人気が出ていたので、松崎がわざわざ沢を殺す理由などありえないとのことである。
そして事件現場となった日本館へ向かう三人組。
まずはここの責任者に挨拶して、捜査の許可を貰おうと事務室に向かった。
ここの責任者は伊庭という男だが、久御山子爵(滋乃の父)には昔お世話になったとかで、許可はすんなり下りた。
河村の楽屋に向かうとそこには河村ともう一人、いやらしい中年男がいたが、男はすぐに立ち去ってしまう。
伊庭によると、男は風間国彦という名前で有力雑誌『歌劇界』の編集者らしい。
風間のオペラに対する評論は、現在大きな影響力を持っており、今日は河村の取材に来ていたのだ。
風間はこれまでは沢びいきだったのだが、沢が死んだため河村に接近を試みたようだ。
日本館のホールでは、コーラスガールから話を聞くことができる。
彼女は、メフィストの格好をした不審人物を見たことがあるそうだ。
日本館の大部屋には現在多くの女性劇団員が寝泊まりしていて、ペラゴロたちもなじみの女の子のところへ、忍び込むことも多いらしい。
沢アヤコの楽屋には栗山刑事がいて、部屋を調べることができた。
ハンカチや座布団を調べ、そして鏡台を調べると睡眠薬の瓶があった。
そこへ諸星警部がやってきて、沢アヤコの死因はナイフではなく、毒物だと判明したと言うのである。
ナイフはアヤコの死後に刺されたものだったのだ。
翌朝、検査の結果、鏡台にあった睡眠薬の瓶の中身は、毒薬だったことが判明したそうだ。
また、メフィストフェレスを名乗る人物から、沢の殺害と更なる犯行を宣言する手紙が、警察に放り込まれていたという。
もう一度日本館に行き、沢の付き人団員から話を聞くことになった。
さくやというその付き人は、昨日会ったあのコーラスガールだったが、沢と川村はよき競争相手であり、お互いにその才能を認め合っていて、憎み合うような間ではなかったと言った。
ロビーに行ってみると、嫌みなデブがいて、コーラスガール相手にホラを吹きまくっていた。
編集者の風間国彦である。
ここで千鶴が気がついた。
風間国彦のイニシァルはK・Kであることを・・・
こうして一行は、風間が務める神奈川出版に向かった。
風間の話では、事件当日、沢と河村はなにかで揉めていたという。
風間は事件当日、沢の楽屋へ取材に行ってはいたが、そのハンカチは自分のものではないとのことであるた。
さらに、沢は事件直前に、普段は疎遠になっていた実家に、急に帰省していたとも言うのだ。
御神楽少女探偵団その5へ続く