ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年8月17日。ウクライナ侵攻から175日目

2022-08-17 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年8月17日。

 中国は、ロシアの軍事演習「ボストーク-2022」を中国軍が参加することを決定しました。8月30日から9月5日まで行われます。
 同様にベラルーシの派遣団もこの軍事演習に参加します。少なくとも250人が参加する予定です。
 中国、ベラルーシ以外にもインドとタジキスタンの軍も参加表明しています。


 ベラルーシとアゼルバイジャンは軍事的な協力関係を促進していくことに同意しました。


 エストニアは、公共の場にあるソ連時代の記念碑などを撤去することを決定。国内で次々と記念碑の撤去作業が続いています。
 対ロシア国境近くのナルヴァに設置されていたソ連の戦車「T-34」のレプリカは、エストニア戦争博物館に移送されます。同国第3の都市ナルヴァは、人口6万人のうち97%がロシア語話者だそうです。
(その国の三番目に大きい都市の人口が6万人というのは少ないですね。でも、数で見るとロシア語話者が何万人もいるのか・・・と思いました。)


 ポーランドのメディアが、ドイツがポーランドの一部地域を占有しようと画策しているとか報道しています。
 まあ、嘘でしょ、と思うのですが、昨今の各国状況では・・・
ロシアがウクライナ侵攻。つまりロシアがウクライナを占有しようとしている・・・とウクライナは主張。もちろん断固阻止したいウクライナ。クリミアなどはロシアが実効支配済み。
 ベラルーシは、ポーランドがベラルーシ西部地域を占有しようとしていると主張。もちろん断固阻止する構え。
 ポーランドは、ドイツがポーランド一部地域を占有しようとしていると主張。
 みんな、隣の国が攻めてくる、領土を取られると騒いでいます。
(日本でも、ロシアに北海道が攻め入ってくる、と発言している人がいますね。)
 ロシアとウクライナの攻防は実際に起ったことですが、それ以外は、私の考えですが、国内に国民が不満や不安(特に経済面)を持っているのを、他に視線をそらすために国の外に意識を向けさせているだけのような気がします。
 国民が「物価高だ。政府は何とかしろ。」と文句を言うと、「国外に目を向けなさい。外敵が攻め込んでくるのかもしれないんですよ。危ない。物価高なんか大きな問題ではない。」と国民の意識をそらしているように見えます。


 ウクライナ国防省情報総局は今日、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミアの軍用飛行場から、少なくとも戦闘機24機とヘリコプター14機を撤収したとSNSに投稿しました。軍用飛行場などで起きた爆発を受けた措置だろうと予測しています。


  ベラルーシとジンバブエは、教育に関する協定を結ぶ準備をしています。
 つまり、ベラルーシ人がジンバブエの大学に入学しやすくなり、またジンバブエ人がベラルーシの大学へにゅうがくしやすくなるということです。さらにベラルーシの大学の卒業証書がジンバブエで有効となり、就職しやすくなる(その逆もあります。)ということです。
 でも、ベラルーシ人高校生でジンバブエの大学に入学したい、ジンバブエで就職したいという人は非常に少ないでしょう。ポーランドなどが簡単に受け入れてくれるからです。逆にジンバブエ人でベラルーシへ留学したい、就職したいという人は多いかもしれません。そうしてベラルーシの人材不足、人手不足をジンバブエ人が補ってくれる社会に変わるのかもしれません。

 ポーランドの大学に留学しているベラルーシ人の数が1万人を超えました。
 ポーランド国立研究所情報処理センターによると、2021 年12月31日の時点で、約86,000人の外国人留学生がポーランドの大学で勉強しています。
 1番多いのはウクライナ人で、約36,000人。
 2番目はベラルーシ人で、11,076人います。
 3番目 はインド人。2,448 人です。
 大学卒業後、このベラルーシ人が帰国して就職するかと言うと、希望者は少ないでしょう。多くがポーランドで就職しようとします。こうして優秀な人材がポーランドに残ります。
 こういう人もいますしね・・・
 今年NASAが企画したコンテスト「リスキー・スペース・ビジネス:NASA AI リスク予測チャレンジ」の「リスク予測」カテゴリーで入賞したAlexander Poplavskyさんですが、ポーランドからの参加となっています。実際にはベラルーシ生まれでベラルーシ大学を卒業した宇宙物理学者です。
 このニュースはベラルーシではベラルーシ人がNASAのコンテストで入賞!と報道され、ポーランドではポーランド人が入賞したと報道されています。

 ポプラフスキーさんはベラルーシ大学入学後、学生をしながらベラルーシ大学附属高校で天文学を教えていました。卒業後、研究のため中国やアメリカなどの研究機関を渡り歩き、2018年にはポーランドのAIソフトウェア・ソリューション開発企業のクラクフ支店で働き始めたそうです。
 そのため自分はポーランドへ亡命したベラルーシ人ではないと話しています。ポーランドの天文学者と見なされているコペルニクスを引き合いに出して、コペルニクスもイタリアで学んでいたとインタビューで話しています。(だから。コペルニクスをイタリアの学者とイタリア人が見なすことはできる、とも話していましたが、これを聞いたらポーランド人は反発するかなあと思いました。でも反発したら、ポプラフスキーさんがポーランドの学者だと見なすこともポーランド人はできなくなってしまいますよねえ。)

 研究や学問のためにいろんな国へ移動するのは、当たり前のことだという認識で、ベラルーシ人が特に2020年の大統領選挙後、数多く出国していることについても、
「さまざまな事情でベラルーシを離れる人が多いので、共通した説明はできません。しかし引っ越しというものは普通のプロセスだと思います。何千年もの間、人はそれまで住んでいた土地から新しい領域を探索し、新しい世界を発見してきました。知識を得て、探求し、発展させたいという欲求は、人類の特徴だと思います。」
と述べました。

 そして、今回のコンテストで入賞した研究の内容についてなのですが、NASAのサイトを読んでも私はさっぱり意味が分かりませんでした。(笑)
 しかし、ベラルーシのメディアの取材で、ご本人が分かりやすく説明してくれていました。それによると例えば、宇宙空間に浮かぶ人工衛星や宇宙ステーションに何らかの衝撃波が届くとする。そのため人工衛星や宇宙ステーションが揺れてしまう。その中にある精密機械や作業用の機材などが影響を受けて破損してしまうかもしれない。それで、どういう衝撃波がどのように人工衛星などにぶつかったときに、どのような機材や精密機械にどれぐらいのレベルの影響が出るかをシュミレーションできる計算方法を開発したので、それをコンテストに出したということだったのです。
 ご本人の解説を読んでやっと意味が分かりました。このシミュレーション計算方法ですが、仕事の合間の土日3回分、つまり6日間で作成したそうです。すごい。やっぱり頭のいい人はちがいますね。