ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2024年日本語能力試験結果発表

2024-08-26 | 日本文化情報センター
 今年7月7日に行われた日本語能力試験の結果発表がありました。オンラインで受験番号とパスワードを入力すると、自分の結果だけ検索できるというシステムです。合格者には認定証が日本から郵送されてきますが、昨今の郵便事情が悪いのでベラルーシにまで届くには1、2ヶ月かかりそうです。
 さて、日本文化情報センター日本語教室の生徒の結果についてご報告します。
 今回は合計35名が挑戦しました。4年ぶりにミンスク会場で実施されて受験者数が以前の水準にまで戻りました。
 35名のうち、14名が合格しました! 

 いつも二桁の合格者数を目標にしているのですが、今回も達成しました。
 これは40%の合格率ですので、世界の平均30%台より上回っています。日本語を教えている側としては大変嬉しいです。

 内訳はN2合格者が2名、N4合格者が4名、N5合格者が8名です。

 N4の合格率が平均より低いことが気になりました。N3は4人受験して全滅だったのが残念ですが「N3の壁」というものが存在しているんですよね。(私が勝手に命名しているんですが。)
 あいうえおから勉強を始めて、N5とN4は2年目ぐらいで合格できるんですが、N3になると出題される漢字の量が一気に増えて、N3になかなか合格できないベラルーシ人が多いのです。
 ここであきらめて日本語をやめてしまう人も多いのですが、N3の壁を越えると「私、日本語できます。」と笑顔で言えるような心の余裕が出てきますね。

 それからN2、N3、N4を受験者からは「難しくなっていた。」という感想を多く聞きましたが、実際にそうなのかもしれません。ベラルーシでは4年間日本語能力試験が実施されなかったので、経験値がなく、久しぶりに受験したら、問題の難易度が急に上がったように感じただけかもしれません。
 本当に日本語能力試験の難易度が上がっているなら、それに合わせてチロ基金提供「私たちのテスト」も難しくしないといけません。
 後日、日本語能力試験の公式サイトで、平均合格率など統計が発表されるので、生徒の主観よりっデータの数字を参考にしようと思っています。
 
 後は認定証が無事にベラルーシに届くのを祈りばかりです。
 そして、来年もミンスクで試験が実施されることを強く希望しています。ウクライナ軍がロシアへ越境攻撃をしていますので、怖くてベラルーシからロシアへ受験に行けません。隣国のウクライナやポーランドへの国境はほとんど閉ざされている状態です。
 ベラルーシ国内で日本語能力試験を受験するほうが絶対にいいです。

 日本語学習を応援してくださっている皆様、生徒一同、心から感謝申し上げます。
 9月から新学年度が始まりますが、また1年どうか引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

筑波大学第10回高校生アートライター大賞受賞作品が読めるようになりました

2024-08-25 | 日本文化情報センター
 今年2月に筑波大学「高校生アートライター大賞」に日本文化情報センター日本語教室の生徒が大賞を受賞したことをご報告していましたが、ようやくインターネット上で受賞作品が読めるようになりました。

 筑波大学HPのリンク先はこちらです

 この優秀作品集の22ページと23ページに弊教室生徒のクセニヤ・サウタさんが書いた作文「多感覚で創る芸術」と自画像が掲載されています。ぜひご覧ください。

 サウタさんも私も本当に嬉しく思っています。特に弊日本語教室を支援してくださっているチロ基金支援者の日本の皆様に読んでいただけるようになったことが嬉しいです。
 他の受賞者の作品も読めるようになりましたので、勉強になります。

2024年8月17日。ウクライナ侵攻から908日目

2024-08-17 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年8月17日。

 ウクライナ軍によるロシア・クルスク州への越境攻撃が続いています。
 周辺地域のロシア軍部隊に弾薬や食料を渡すために使われていたクルスク州グルシュコボにあるセイム川にかかる橋がウクライナ側の攻撃によって破壊されました。

 ロシア側では住民ら18万人の大規模な避難が進められていますが、ウクライナの越境攻撃は想定外だったようで、食料などの物資が不足しています。戦争中なのに避難や疎開の支援物資など事前に準備していなかったということですね。あらゆることを想定しておかないとけないのに、すぐにウクライナが降参すると思っていたら、もう侵攻開始から900日を超えています。

 AP通信によると今日、ウクライナのスムイ州ではロシア軍のドローンやミサイルによる攻撃により、2人が負傷したほか、車や建物が被害を受けるなど国境沿いでの戦闘は激しさを増しています。

 ロシアの政府系の世論調査団体によりますと、当局の行動に不満を感じると答えた人は25%と、先月下旬より7ポイント増えました。

2024年8月16日。ウクライナ侵攻から907日目

2024-08-16 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年8月16日。
 
 今日からベラルーシで登録されているすべての乗用車のリトアニアへの入国が禁止されました。
 現在リトアニア領内にある乗用車は、2025年1月18日までにベラルーシから出国しなければいけません。これを守らなかった場合、罰金そして車が没収されます。
 所有者や運転者の国籍には関係がなく、乗用車のナンバープレートによります。
 1ヶ月前の7月18日からリトアニア当局はベラルーシのナンバープレートをつけた乗用車の入国制限を導入していました。
 今日までは、「販売目的ではない乗用車」で「ベラルーシ人が所有しており」「リトアニアでのビザ、一時的または永住許可を持っており」「自らがその乗用車を運転する」いるという条件に合えば、入国できましたが、もう全て入国禁止になりました。
 ただしこの禁止は外交官ナンバープレートを装着した車には適用されないので、万が一ベラルーシに戦火が広がることになったら、大使館職員はすぐに陸路で退避するのではないでしょうか。私は夫の車でリトアニアへ移動することはできません。ベラルーシに住んでいる日本人は少ないので、政府のチャーター機も飛ばないそうです。 


 CNNの報道によると、ロシア軍は少なくとも1000人で構成される旅団相当の部隊が複数、ロシア南西部のクルスク州に振り向けられたそうです。
 ロシア軍がどこにどれだけの兵力を割り当てるのかといった問題に直面しているようです。
 ロシアはクルスク州防衛に当たり、国内の他地域から動員した未熟な徴集兵を第一の戦力としているようです。


 ウクライナによる越境攻撃が長期化して首都モスクワで支援物資が集められています。しかし国の支援は官僚主義的で遅いのでボランティアが精力的に始めたようですが、本来ならこれは国が組織しないといけないことですよね。
 支援物資集めや募金は、ロシアの野党グループが呼び掛けたもので、モスクワやサンクトペテルブルグなど各都市で行われています。
 越境攻撃を受けている地域や住民らの避難先で、政府による支援物資が足りていないなか、市民らは国に頼らず助け合う方法を模索しています。
 この調子だとロシア大統領への批判が高まるでしょう。

2024年8月15日。ウクライナ侵攻から906日目

2024-08-15 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
2024年8月15日。

 ベラルーシ大統領は今日、ロシア国営テレビのインタビューで、
「交渉のテーブルに着いてこの戦いを終結させよう。ウクライナ、ロシア、ベラルーシのいずれの国民も戦いを必要としていない。必要としているのは彼ら(西側諸国)だ。戦争の継続を望んでいるのはアメリカの高官たちだけだ。西側諸国はウクライナとロシアがお互いを破壊し合うことを望んでいるためウクライナの戦闘を支援している。」との見方を示しました。
 ベラルーシの大統領が、ウクライナ、ロシア、ベラルーシのいずれの国民も戦いを必要としていない、と国民の目線で発言してくれたのは嬉しいです。兄弟国だと思っている一般人が多いと思うんですよ。ただ、ロシアの東の端に住んでいる人はそのように感じていないかもしれません。


 ロイター通信はリトアニア国防相の発言として、ロシアの飛び地カリーニングラードからロシアが自国軍をクルスク州に部隊を移動させていると伝えています。
 ロシアの独立系メディアは、本来は戦地に送られないとされる定期招集で兵役に就いている新兵らが、クルスクの防衛にあたれるよう国防省との契約を結ぶことを強いられていると報じました。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は今日、ロシア西部クルスク州への越境攻撃で、同州の町スジャを完全制圧したと主張し、この町への軍司令部の設置を表明しました。もちろんロシア側は制圧を否定しています。


 ウクライナ軍のシルスキー総司令官は今日、クルスク州の約1150平方キロの地域と計82集落を制圧したと主張しています。一方でロシア国防省は、ウクライナ軍にいったん制圧されたクルスク州の集落クルペツを奪還したと発表しました。1箇所だけですか。ロシア軍はウクライナ東部では攻勢を続けています。ロシア国防省は今日、ウクライナ東部ドネツク州の集落イワニウカを制圧したと発表しました。この集落から約20キロに位置するポクロウシクの制圧を目指しています。


2024年8月14日。ウクライナ侵攻から905日目

2024-08-14 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年8月14日。

 ロシア西部のウクライナ国境沿いに位置するベルゴロド州が今日、非常事態宣言を出しました。
 ベルゴロド州知事はSNS「テレグラム」に投稿したビデオメッセージで「州内の情勢は引き続き極めて厳しく、緊迫している」と述べました。同州では12日から住民の避難が始まっています。
 同知事によると、地方当局は連邦当局に対し、全国的な非常事態宣言を要請している。
 ロシア全国で非常事態宣言を出してほしいと大統領に頼んでいるんですか? 例えばウラジオストクでも危険ということですか?
 同知事は、州内の2カ所にウクライナ軍のドローン攻撃があったと述べました。死傷者は出なかったものの住宅2棟が被害を受けたそうです。

 一方、ロシア国防省は今日、前夜から朝にかけ、防空システムで「飛行機型」のドローン117機などを迎撃したと発表。その一環として、クルスク州でドローン数十機と戦術ミサイル4発を撃墜したと述べました。

 クルスク、ベルゴロド両州と隣接するボロネジ州の知事は、ウクライナから飛来したドローン35機あまりを破壊したと発表しました。その落下した破片で建物や車両、市のインフラが損傷したそうです。ドローンを迎撃しても結局が被害が出てしまいます。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、クルスク州で74の集落を制圧し、「次の段階」に向けて準備を進めていると述べました。
 ウクライナ軍は今日、クルスク、ニジニーノブゴロド、ボロネジ各州の露空軍基地計4か所を狙った過去最大規模の無人機攻撃を行いました。燃料や弾薬を標的としています。これが「次の段階」なのでしょうか。
 ウクライナから見るとニージニーノブゴロドはモスクワの向こうに位置します。私はこれが一番驚きでした。

 ウクライナ大統領は大きな成果を上げるにはミサイルの使用が欠かせないと指摘し、パートナー国の「大胆な決断」を求めています。


 2022年9月下旬、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプライン「ノルドストリーム」4本のうち3本が破壊された事件についてドイツ連邦検察庁は今日、ポーランド在住のウクライナ人男性に破壊行為などの容疑で逮捕状を出しました。
 容疑者はウクライナ人のダイビングインストラクター「ヴォロディーミル Z(Volodymyr Z)」で、氏名はすべて明らかにされていません。。事件当時、ヨットでバルト海を航行していた疑いがあり、押収したヨットから爆薬の痕跡などが見つかったそうです。
 容疑者は最近までワルシャワ近郊に潜伏していましたが、既に国外逃亡しており、身柄を確保することはできなかったということです。今どこの国に隠れているのでしょう。

 ドイツ政府は「今回の逮捕状の発出でウクライナとの関係が悪化することはない」としていますが、「ウクライナはノルドストリーム破壊の損害を補償すべきだ」と主張する連邦議会議員もいます。
 米国でも今日にウォール・ストリート・ジャーナルが「ウクライナのザルジニー総司令官(当時)がウクライナの実業家から30万ドル(約4500万円)の資金を得て実施した作戦だった。この作戦を察知した米国からの中止要請を受けてゼレンスキー氏は作戦中止に動いたが、間に合わなかった。」と報じています。

 実行役だった容疑者はこの中から報酬金を受け取ったということでしょうか。それにしては金額が少なすぎませんか?
 ウクライナ政府はこの報道を否定しています、名指しされたザルジニー氏(現・駐英大使)も「このような作戦は知らない」との回答です。当然ですね。


 ウクライナ軍が越境攻撃してロシアの天然ガス輸出拠点を制圧したため、欧州の天然ガス価格は年初来高値となりました。
 また物価が上がります。今はまだ夏ですが、冬場の暖房はどうなるのでしょう。

 ウクライナとロシアは今月、カタールで部分的な停戦について交渉する予定だったそうですが、越境攻撃のせいで中止になりました。ロシア側は「ウクライナ軍が自国領内から徹底させない限り和平交渉には一切応じない。」としています。でもそれがウクライナの狙いだったのではと思います。こちらに不利な条件で停戦交渉に臨む前に、今のタイミングでの越境攻撃ですよ。
 ウクライナ大統領は「越境攻撃の目的は緩衝地帯の設置だ」としていますが、本音とは思えません。

2024年8月12日。ウクライナ侵攻から903日目

2024-08-12 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年8月12日。

 ベラルーシの選手は中立の立場でパリ五輪に参加しましたが、その数は合計 17 人。
 その結果、ベラルーシはパリオリンピックで4つのメダルを獲得しました。
 ベラルーシのトランポリン選手イワン・リトビノビッチとヴィオレッタ・ボルディロフスカヤが金と銀、ボート競技のエフゲニー・ゾロトイが銀メダル、重量挙げ選手のエフゲニー・ティホンツォフは銅メダルを獲得しました。もたらしました。

 トランポリンのリトビノビッチ選手は東京五輪に続いての2個目の金メダルです。すごいですよね。
 しかし、東京五輪の時は純粋によかったと思えるものの、今回は中立選手としての立場を証明しなくてはいけないとか、大変だったろうなと思います。ウクライナに攻め込んだロシアと違って、ベラルーシでは中立の立場イコール、プーチン大統領を支持していないから、選手を責めるということもありません。ロシア選手よりまだ精神的ストレスが少なかったと思います。それがメダルの数にも反映しているように思えます。


 今日、ロシア大統領は軍や自治体関係者との会合を開きました。
 ウクライナ軍の進軍状況について話そうとするクルスク州知事代行の発言をロシア大統領が遮ったりするシーンがありました。
「数字は軍が報告するでしょう。あなたは支援についてだけ話してください。」
 テレビカメラの前でしゃべられたくないことがあるのでしょう。
 12日の時点でクルスク州の避難区域に指定された地域には18万人が住んでいて、そのうち12万1000人がすでに避難。
 現在ウクライナ軍の支配下にある28の集落の住民2,000人の安否が不明であると明らかにしました。

2024年8月11日。ウクライナ侵攻から902日目

2024-08-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年8月11日。

 ウクライナ大統領は今日、ロシアが占拠するウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所でロシア軍が火災を発生させたとSNSに投稿しました。
 同大統領はザポリージャ原発の敷地内にあるタワーから大きな煙が上がる映像をテレグラムに掲載。放射線の数値は正常だとした上で、ロシアが「ウクライナと全欧州および世界を脅すために」原発を利用していると非難しました。
 近く(隣国ですが)に住んでいる人間としては、こういうニュースが一番心臓に悪いです。
 
「我々は世界の反応を待っている。我々はIAEA(国際原子力機関)の反応を待っている」とウクライナ大統領は述べ、「ロシアはこの責任を負わなければならない」と強調しました。

 原発の対岸に位置するニコポリのウクライナ当局者は、ロシア軍が冷却塔で大量のタイヤに放火したという非公式情報があると指摘。「挑発あるいはパニックを引き起こそうとする試み」と位置付けた。原発については「占領された状況下で可能な限り正常に稼働している」とした。
 ああ、よかった。(でもこういった情報のどこまでが本当なのか・・・。)

 一方のロシアは、ウクライナが原発の敷地内で火災を発生させたとして非難しています。
 いつものことですが、このようにお互いが相反する情報を流すので、ニュースを見ているとときどき頭がこんがらがってくる錯覚を覚えます。
 
 ザポリージャを占領するロシア側の当局者は、「ウクライナ軍がエネルホダルの街を砲撃した結果」として火災が発生したと述べ、その上で原発やエネルホダルが放射線によって脅かされる状況ではないとも述べています。
ロシア側の別の当局者は、ウクライナがドローン(無人機)で原発を攻撃したと述べている。
 ロシア外務省の報道官は、ウクライナが「核テロ」を行ったとして非難、IAEAに対応を促しています。IAEAも大変ですね。
 IAEAは今日、「夕刻に複数の爆発音が聞こえ、原発の北部から黒煙が上がるのを専門家が目撃した。同原発からは、冷却塔の一つがドローン攻撃を受けたとの報告があった。原子力の安全性に関する影響は報告されていない」とする声明をXに投稿しました。


 ロシアは、パリ五輪に国としての参加が認められず、個人の中立選手(AIN)として出場しましたが、獲得メダルは1個だけで、ロシア・オリンピック委員会(ROC)として出場した前回東京五輪の71個から激減しました。存在感がほとんどゼロです。

 テニス女子ダブルスのミラ・アンドレエワとディアナ・シナイジェルは唯一のメダルとなった銀メダルを獲得しました。記者会見では、侵攻を正当化したり支持したりする交流サイト(SNS)の投稿に「いいね」をつけていた点を問われました。メダルを取ってよろこんでいるときに記者会見でこんなことをきかれるんですね。
 シナイジェルは「政治的な質問には答えられない。今日の試合について聞いてください」と答えました。

 今回のパリ大会には、ロシア人が個人の中立選手(AIN)として15人が参加しましたが、AINに認められるにはウクライナ侵攻を積極的に支持しないことが条件なので、プーチン政権の意向に従わなかったことになります。国内では参加者に対して批判の声が出たそうです。同じ国の人からも責められるんですね。国内でも批判され、オリンピック記者会見ではスポーツと関係ない質問が出るんですね。

2024年8月10日。ウクライナ侵攻から901日目

2024-08-10 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年8月10日。

 9日にウクライナからベラルーシ領内に侵入したドローン数機を撃墜したと発表したベラルーシ国防相は今日、ウクライナ国境の部隊を強化したと発表しました。ついこの間、大統領が国境地帯の緊張は解消されたからと国境地帯に配置していた軍を移動させていましたが、もう緊張状態に逆戻りです。

 ベラルーシ大統領は今日の記者会見で、ウクライナから飛来したのは攻撃型ドローンだったとの見方を示し、この「挑発」に対して安全保障の対抗措置を取るよう軍参謀本部に指示したことを明らかにしました。
 またウクライナ軍が最近、ロシア西部クルスク州に仕掛けた越境攻撃に言及し、ウクライナ側には和平の用意がなく、引き続き緊張を激化させていることが分かると主張しています。

 国防相も会見で、ウクライナとクルスク州をめぐる情勢を受け、大統領がウクライナの挑発に対抗するため、国境に近い南東部ホメリとモジルの部隊編成を強化するよう指示したと説明しました。特殊部隊、地上部隊、自走多連装ロケットシステム「ポロネズ」や核弾頭の搭載が可能な弾道ミサイル「イスカンデル」を含むロケット部隊などが現地に向かい、防空システムや航空部隊が強化されていると述べました。

 またベラルーシ外務省は今日、ウクライナの代理公使を呼び出し、強く抗議したと発表。挑発が繰り返された場合、ベラルーシ側は領土保全のために報復措置を取り、首都ミンスクのウクライナ公館についても存続の必要性を問い直す可能性があると伝えたことを明らかにしました。
 相当に厳しい表現です。怒りすぎかなとも思います。いやわざと強く言っているようです。これもベラルーシ側の作戦ですね。

 さらに、ウクライナが事態を緊迫化させたことは「犯罪行為」であり、紛争拡大を図る危険な試みだと非難。近隣の欧州諸国に向けて、紛争が拡大すれば「EU諸国を含む地域全体に炎が広がり、だれも勝者にはならないだろう」との警告を発しました。
 ベラルーシはEUから攻撃を受けることを最も避けたいと考えていますから、この発言は当然です。
 ドローンを飛ばしてくるなど、ウクライナはいらないことをベラルーシにしてくれるなと思っていますよ。


 ウクライナ大統領は今日の声明で、「戦線を侵略者の領内に押し込んでいる」と強調しました。露領への越境攻撃を事実上認めたということです。「ウクライナが侵略者に圧力をかけられることを証明している」とも述べました。


 露当局は今日、クルスク州の国境地帯から7万6000人超が避難したと発表。国境から約20キロの州内の村で敵を阻止したとしています。一方、露軍がハリコフ州北部などから部隊を増援したとの情報もあります。
 今度はロシア人の避難民です。国が広いので、国境から離れたところへ避難すればいいのですが、ロシアの一般市民がどんどん巻き込まれています。

2024年8月8日。ウクライナ侵攻から868日目

2024-08-08 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年8月8日。

 ウクライナのロシア越境攻撃から2日経過し、国境沿いのクルスク州の住民が怒りの動画をSNSに投稿しました。
 ロシア大統領を名指しで
「情報を担当する指導者たちに真実を示すよう、本当の行動を示すよう伝えてください。なぜならこれは嘘だからです。嘘です。嘘なのです。」
と訴えています。
 一般人が大統領にビデオメッセージを作ったということです。21世紀の戦争ですね。
 彼らは家を失い銃撃の中を逃げ、「状況は安定している」という国防省の公式声明は真っ赤な嘘であると主張しています。地方自治体はほとんど機能しておらず、国境地域からの避難誘導も行われていないそうです。
 自力で避難してきたということですが、それをはっきりと発言しています。
 当局から弾圧される危険があるのに。「当局の発表は、嘘だ、嘘だ、嘘だ」と何十人もが顔を隠さずに声を上げる動画を見て、衝撃を受けました。大統領に向かって一般市民がこのように訴えているということは、命の危険が非常に高かったということでしょう。
 黙ったまま死ぬことと、言論統制の圧力をかけられ罰されることを考えると、命の方が大事なのですから、言いたいことを言ってしまえという心理状態になっているのではないでしょうか。

 そして今日、ロシア大統領は地元知事と会合をしました。今回の越境攻撃について、「戦争」や「侵攻」といった言葉を使わず、「挑発行為」だと呼び続けています。
 ロシア大統領が発言したのは避難者への補償ですが、提示したのはわずか1万ルーブル(約1万6000円)です。
 クルスク州から列車に乗って安全なところへ移動する片道切符ぐらいは買えるでしょうが、その後どうやって生きていけばいいのでしょう?
 ボランティアが支援物資をモスクワなど大都市で善意の市民から募っているそうですが、こういうこと、政府が手配するのが当たり前でしょう? 国(大統領)は無責任だ、と人心が離れていくきっかけになるかもしれません。


2024年8月6日。ウクライナ侵攻から897日目

2024-08-06 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
  2024年8月6日。
 広島原爆慰霊式典に今年もロシアとベラルーシの大使は招待されませんでした。
 再び核の脅威が高まっている現在の状況。原爆の犠牲者の魂に見せられません。
 
 今日未明に始まったクルスク州スジャ方面などへのウクライナ軍の越境攻撃。ロシア国防省軍事政治総局副局長が国境から少なくとも10キロまで侵入されたと認めました。ウクライナ軍は最大で20集落を制圧したそうです。
 ウクライナ軍がロシアの中に入って攻撃を開始しました。これから戦局が変化していきそうです。

 

2024年8月5日。ウクライナ侵攻から896日目

2024-08-05 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年8月5日。

 2021年の東京五輪期間中に日本でベラルーシからの亡命を求め、パリ五輪には陸上女子200メートルにポーランド代表として出場したクリスツィナ・ツィマノウスカヤが登場しました。
 ツィマノウスカヤ選手はベラルーシ代表として出場した東京五輪では自らの意に反して専門外の1600メートルリレーのメンバーに入れられたとし、コーチ陣を批判。これをインターネット上に流したのがよくなかったようです。ちなみいん政治的な発言をしたわけではありません。彼女は200メートル走の選手で、リレーの練習なんてしていなかったのです。
 コーチ陣は代表チームからの離脱、帰国を強制。同選手は成田空港で飛行機への搭乗を拒否した後、空港職員んい助けを求め、spの後ポーランド大使館で保護されました。そしてポーランドへ亡命しました。

 2023年8月には世界陸連が3年間の待機期間を免除して国籍変更を認め、ツィマノウスカヤ選手はポーランド代表として大会出場が可能になりました。
 片やベラルーシチームは、五輪出場を実質拒否されたので、もし、ポーランドに亡命していなかったら、ベラルーシ人選手としてパリ五輪に出られなかったでしょう。
 それがポーランド選手としてパリに行けたのですから運がいいです。

 しかし、念願の200メートル走は記録が伸びす、今日敗者復活戦に出場しましたが、23秒01というタイムで準決勝進出を逃した。試合後のインタビューで
「(昨年は)何度も体調を崩した。医師はストレスが原因だと言っている。自分が22秒50で走れることは分かっている。でも今年は無理。自分の国、自分の家に帰れないので幸せではない。この3年間は、特に精神的につらかった。両親は今もベラルーシを離れることができておらず、両親に会いたくなることもある。両親は自分を支えてくれる存在。五輪前の重要な時期にはなおさら。でも、私の置かれている状況で会うのは不可能。」
と話しました。
 メダルを取ったら、ポーランドの獲得数としてカウントされますから、亡命を受け入れてくれたポーランドに恩返しもしたいと考えていたでしょう。
 ベラルーシ側は、同選手がメダルを取ったら、悔しがっていたでしょうか。メダルを取れなかったことに安心したでしょうか。分かりません。自国の選手がほとんど五輪出場できず、もう亡命した選手のことなどどうでもよくなっているでしょうか。