電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モンゴメリ『アンの青春』を読む(1)

2009年07月09日 06時21分35秒 | -外国文学
モンゴメリ原作の『赤毛のアン』シリーズ第二作、『アンの青春』(松本侑子訳、集英社文庫)を読み始めました。前作では、孤児のアンがマシューとマリラの兄妹に引き取られて成長し、クイーン学院に進学し奨学金をかち得るのですが、マシューの急死で運命ががらりと変わるところまででした。では、その続きは?

第1章「怒りっぽい隣人」第2章「慌てて売って、ゆっくり悔やむ」。問題は、牛です。怒りっぽい隣人の畑に飼い牛が入り込み、野菜を食べてしまうと抗議を受けたアン、また牛が隣家の畑に入っているのを見て大いに焦り、慌てて牛を売ってしまいます。ところがそれはアンの家の牛ではなかった、というオチです。
第3章「ハリソン氏をたずねる」第4章「体罰の意見さまざま」。意外なことに、アンはハリソン氏とうまくやれそうです。それよりも、ムチを使うべきか否か、という教育論議は、いかにもこの時代のものという気がします。
第5章「女性教師の巣立ち」第6章「男も女も人さまざま」。アンが習い心酔したステイシー先生は、村で初めての女性教師でしたが、さて、アン自身は何人目だったのでしょうか。初めての一日は、さぞや緊張したことでしょう。ドネル夫人のような人は、なんとなく今でもいそうです。村の改善協会というグループは、素朴な活動ですが、でも素朴なほど良いものなのかもしれません。今の時代なら、「選挙にでも出るのかい?」などと言われかねない(^o^)/
第7章「義務を語る」第8章「マリラ、双子をひきとる」。今の職を譲ってくれたギルバートと、家の前で話をするようになっています。ギルバートは、教師の仕事を通じて学費をためて、医者になろうと決心しているのです。マリラは双子を引き取ることになるのですが、いやはや、この双子の状況はすごいものです(^o^)/
第9章「問題は色だった」第10章「デイヴィ、刺激を求める」。村の改善協会の活動は、多くの賛同を得て、ついに公会堂のペンキの塗り直しを実現します。ところが、やっぱり最後の詰めが甘いですね。現場の立会いは必要でしょうに。さらに、泣き面に蜂の事件も起こります。双子の片割れの男の子デイヴィは、どうやら善悪の基準を充分に教えられずに成長してきたようなのです。

現代の流行作品とは異なり、古典的な世界名作なら、いくらあらすじを文章にしても影響は少なかろうと思って、2章ごとにまとめるようにしたおかげで、前作『赤毛のアン』は4回に分けて記事にしました。本作も、どうやら3~4回にはなりそうな気配です。もっとも、『モンテ・クリスト伯』の堂々14回(*1)や、『デイヴィッド・コパーフィールド』の5回(*2)連続などにはとても及びませんが。

(*1):デュマ『モンテ・クリスト伯』を読む(14)~「電網郊外散歩道」より
(*2):ディケンズ『デイヴィッド・コパーフィールド』(5)を読む~「電網郊外散歩道」より
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