電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

コーンウェル『証拠死体』を読む

2009年07月24日 06時16分34秒 | -外国文学
パトリシア・コーンウェルの前作『検屍官』を読み、特異な世界の特異な筋立てにおそれをなしていましたが、急に何を思ったか、第二作『証拠死体』も読んでしまいました。なんのことはない、『居眠り磐音江戸双紙』や『赤毛のアン』シリーズなどという世界にどっぷりと浸っていて、ショック療法で眠気を覚まそうという魂胆。不純な動機のバチがあたり、寝る前にちょっとのつもりがつい深入りして、眠い眠い(^o^)/

売れっ子女流作家のベリル・マディソンが殺されます。どうやら、ストーカーふうの脅迫におびえていたようです。殺人犯に追われ、必死で抵抗し命乞いをしながら死んでいったことを物語る検屍結果に、バージニア州の女性検屍局長ケイ・スカーペッタは疑問を持ちます。なぜ、被害者はドアを開けたのだろう?

ベリルの後ろ盾となっていたピューリッツァー賞作家ケーリー・ハーパー、ベリルの未発表原稿を横取りしたとマスコミに検屍局を攻撃させる悪徳弁護士のスパラチーノなど、今回も多彩な登場人物が目白押しですが、なんといっても前作からの相棒になっている、強面の警察官マリーノと、気の強いケイがつい負けてしまう、昔の恋人のマーク・ジェームズが、なんともいい味を出しています。ミステリーのあらすじを書いてしまうのは野暮というものでしょうから、ここでは犯人像の意外性を指摘するにとどめたいと思います。

ところで、前作に登場したコンピュータ・フリークで驚異の十歳児、姪のルーシーは今回は登場しません。書斎のマニュアル片手にデータベースのSQL文を理解する頭脳が、その後どんな進歩を見せたのか興味深かっただけに、この点だけはちょいと残念(^o^)/
コメント