電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第252回定期演奏会で西村朗、モーツァルト、ベートーヴェンを聴く(2)

2016年05月16日 19時47分28秒 | -オーケストラ
写真は開演前のホールの様子ですが、記事としては昨日の続きです。

ワルター・アウアーさんを迎えての協奏曲の二曲目は、モーツァルトのフルート協奏曲第2番、オーボエ協奏曲を転用して依頼主のご機嫌を損ねたという、例のK.314のほうです。楽器編成は、6-6-4-3-2 の弦楽5部に、Hrn(2)、Ob(2)、独奏フルートという組み合わせ。演奏は、とりわけ第1楽章の最後のように、弦の終わりの音が澄んでいてすーっと消えていくところがステキです。そして、華やかで、編成以上に音楽の大きさを感じさせるこの曲でもまた、自由闊達、どこにも困難はないとでもいうような独奏フルートに聴き惚れました。

聴衆の拍手はひときわ大きいものがあり、アンコールはパガニーニの「24のカプリース第11番ハ長調」より。思わず絶句(^o^)/



休憩の後の後半のプログラムは、ベートーヴェンの交響曲第5番。言わずと知れた「ウンメイ」です。軟弱な素人音楽愛好家である当方は、第1楽章は脳内演奏ですっとばし、第2楽章から聴き始めることが多い(*1)のですが、本日はそういう傍若無人な聴き方はできず、カクゴして最初から拝聴しました。そうしたら、いや~これがおもしろいのなんのって、第1楽章:バロック・ティンパニの、ヌケの良いスピード感のある響きにノリノリになり、第2楽章:もしも指揮者コーナーがあったら、大好きな開始後の数小節を指揮してみたいな~とか思いつつ、第3楽章:ホルンの響きが鮮やかに、弦のピツィカートとファゴットとのかけあいに魅せられ、アタッカでなだれ込む第4楽章:ピッコロとコントラファゴットとバス・トロンボーンも加わっての迫力のフィナーレに日頃のストレスも吹き飛び、溜飲を下げるという結果となりました。
いや~、「ウンメイ」はやっぱりスゴイ曲です(^o^)/

土曜日の終演後のファン交流会では、飯森さんが興味深いエピソードを話してくれました。飯森さんが北ドイツ放送響を指揮した時、アウアーさんはフルート奏者として在籍していたのだそうで、実は初対面ではなかったのだそうです。また、今回の山響との初めての練習の際には、アウアーさんは「山響はどうしてモーツァルトのことをこんなによく知っているんだ?」と不思議がったのだとか。実は山響は、8年以上かけて交響曲全曲を演奏しており、録音もしているんだと説明したら、「なるほど!」と納得していたそうです。このあたりも、嬉しいお話でした。

また、聴衆の中に、7月の第254回定期で指揮をされる、田中祐子さんがいらしていて、飯森さんに引っ張り出されていました。池辺晋一郎さんの小交響曲と、伊藤恵さんのピアノでシューマン「ピアノ協奏曲」、それにベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」という3曲の予定とか。これも楽しみな回で、できれば妻と一緒に聴きたいところです。

(*1):耳タコなほど聴き慣れた曲目を再び楽しむ法~「電網郊外散歩道」2007年9月

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