電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

高橋昭男『仕事文の書き方』を読む

2009年10月25日 05時56分51秒 | -ノンフィクション
以前から、テクニカル・ライティングに関心がありました。清水幾太郎『論文の書き方』や木下是雄『理科系の作文技術』などには、なるほど~と感心しました。また、平成の初期頃から、機械翻訳やテキストマイニング等に関心をもっておりました。

岩波新書の中の一冊、高橋昭男著『仕事文の書き方』は、1997年の発行直後に購入はしたものの、当時の多忙な生活に取り紛れて、読み終えることなく現在に至っておりました。ひょんなことから再び本書を手にし、著者が山形県出身の大先輩であることにびっくりしながら、あらためて読みおえたところです。

本書の構成は、次のようになっております。

1. 仕事文とは何か
2. 仕事文の重要性を知る
3. 仕事文の準備
4. 正確な文章を書く
5. わかりやすい文章のルール
6. 読み手を疲れさせない
7. 説得力に磨きを
8. 文の構造を視野にいれて
9. 書き上げた後に
10.仕事文のひろがり

どの章も、実用的な観点からも、また着目する視点の面からも、有益な事柄が多く、たいへん参考になります。

当方が本書から得たことのポイントは、テクニカル・ライティングの本質は、誤解を受けないように、というか、曲解の可能性を排除することにあるのではないか、ということ。それが、結果として理解を助けることにつながるのかな、と思います。

断片的ではありますが、印象的な記述を拾ってみました。

 現在の日本語文法では, 文の頭にくる「は」という助詞は, 副助詞, 提題助詞と呼ばれている. けっして主語につく格助詞ではないことを銘記していただきたい. (p.107)
 自分が書いたものを自分が納得いくまで読んでみる. これは, 文章上達法の1つであり, 反復して読むことによって, 書いた文章のあらが見えてくる. それをリライトするのだ.
 素読では, つぎの項目に留意することが肝要である.
(1) 1回読んだだけで, 内容が理解できるか
(2) 一文が長すぎないか
(3) 読点のつけ方が適切か
(4) 文章全体にリズム感があるか
(5) 伝えたい情報の流れが円滑か
(6) パラグラフが長すぎないか」(p.177-8)

ごらんのとおり、本書は横書き文書の原則を守って、カンマとピリオドを用いています。当方は、しばしば横のものを縦にする(^o^;)関係上、どちらもテンとマルを使っていますので、そのへんは著者の真似をするつもりはありません。でも、機械翻訳と日本語の特徴については、また機会を見て考えてみたいテーマです。
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