電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

サム・リーヴズ『長く冷たい秋』を読む

2008年08月17日 05時27分47秒 | -外国文学
ハヤカワ・ミステリ文庫で、サム・リーヴズ著、小林宏明訳『長く冷たい秋』を読みました。奥付の記録メモを見ると、実は前回の単身赴任時に購入し、読んだものです。風邪を引いて寝ている時に、床の中で何の気なしに読みはじめたら、止まらなくなってしまった記憶があります。

タクシー運転手、クーパー・マクリーシュは、ベトナム戦争を生きのびた帰還兵で、恋人のダイアナからは、大学を出た経歴にふさわしい職業につくように言われています。けれども、ベトナム後遺症なのか、依然として人間関係が苦手で、危険をともなうタクシー運転手を続けています。ある日、新聞で、復員後に大学で知り合っていた女性ヴィヴィアン・ホーストマンの死亡記事を見つけます。状況からみるとどうも投身自殺らしいのですが、クーパーには信じられません。切ない思い出を胸に葬儀に出席しますが、彼女のたった一人の息子が失踪しているというのです。いろいろな話を総合すると、どうも自分と彼女との間にできていた子供ではないかという疑いが生じます。そして、ようやく探し出したドミニク少年は、母親は事故死ではなく、殺されたのだと主張するのです。

父と子のテーマを背景に持つ現代ミステリー作品で、これが著者サム・リーヴズのデビュー作とは驚きです。そういえば、昭和の末期に渡米したとき、多くの人が「あの戦争以後~」という言葉から話し出すことに気づきました。当時、米国の中堅の人たちにとって、「あの戦争」とは即ちベトナム戦争のことだったのです。白い墓標が並ぶ広大な米軍墓地を見たとき、ガイドから太平洋戦争の死者よりもベトナム戦争での死者の数が上回っていたと聞き、驚いたことを今さらながら思い出し、ある年代のアメリカ人にとって、ベトナム戦争が与えた影響は甚大なものがあるのだな、と感じたことでした。もしかすると、今の米国青年たちにとっては、イラク戦争が同様のものになりつつあるのかもしれません。

写真は、先月上旬に撮影した、最上郡金山町にある「シェーネスハイム金山」という宿泊施設。ふだん利用しているビジネスホテルとは違い、ずいぶんリッチなところです。本とCDを持って、ゆったりと連泊してみたいものです。
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