皇后 美智子さまが1998年9月20日から、インドのニューデリーで
開かれた、国際児童図書評議会(IBBY)第26回世界大会において、
ビデオテープによって、上映された基調講演を収録したものです。
子供時代の読書の思い出
いま振り返って、私にとり、子供時代の読書とは、なんだったのでしょう。
何よりも、それは私に楽しみを与えてくれました。
そして、その後に来る、青年期の読書のための基礎を、作ってくれました。
それはある時には、私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。
この根っこと翼は、私が外に、内に橋をかけ、自分の世界を少しずつ
広げて育っていくときに、大きな助けになってくれました。
読書は私に、悲しみや喜びにつき、思い巡らす機会を、与えたくれました。
本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人が
どれほどに深く物を感じ、どれだけ多く傷ついているかを、
気づかされたのは、本を読むことによってでした。
そして最後にもう一つ、本への感謝をこめつつ、つけ加えます。
読書は、人生の全てが決して単純でないことを、教えてくれました。
私たちは、複雑さに耐えて、生きていかなければならないということ。
人と人との関係においても、国と国との関係においても。
*** 文中より ***
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IBBYニューデリー大会の、皇后さまによる基調講演は、収録にあたって
きたNHKは、この段階でご講演の内容を惜しみ、国内でもこれを放送
出来ないものかと、宮内庁に許可を求め、ビデオは日本語版、英語版
ともに宮内庁を通じ、全テレビ局に渡されることになりました。
放映は大きな反響を呼び、是非書物で読みたいとの要望も多く、
ここにそのご講演を、出版いたします。
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読書によって、知り得ることは、沢山あります・・・・・。