日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「課外活動の『事前指導』、特に『四月生』」。

2010-06-24 07:57:29 | 日本語の授業
 明日は、いよいよ、課外活動「鎌倉一日旅行」です。集合時間は8時20分(行徳駅)で、(行徳駅に)戻ってくるのは、18時の予定です。途中、電車の乗り換えもあり、かなり歩きますから、ヒールの靴は避けるように、また、動きやすい恰好で来るようになどの注意事項は、今日のうちに、徹底しておかなければなりません。そうしなければ、「先生、足が痛い」だの「疲れた」だのと愚痴をこぼされ、せっかくの楽しさが半減してしまいます。また、アルバイト先への「連絡」や「お願い」などは、だいたい先々週に終わっています。

 DVDを見せながらの説明は、「Cクラス」だけは終えましたが、ほかのクラスはまだです。今日しかありません。午後の「A・Bクラス」は合同でします。このクラスは、皆、進学を希望していますから、「大仏様」や「鶴岡八幡宮」の他にも、鎌倉時代のことを少しは入れておかねばなりません。日本の歴史になりますと、(途端に漢字が増えてくるので)「非漢字圏」の学生に取っては敷居が高いのですが、それだからと言って避けて通るわけにもいかないのです。もちろん、関心がない人には(漢字圏の学生であろうと、非漢字圏の学生であろうと)、いくら説明しても、右耳から左耳へと通り過ぎていくだけのことですから、違いはないのですが。

 「Aクラス」の学生たちは、「漢族」のようには漢字がうまく書けなくても、一応中国人ですから、それなりに(授業に)ついて来られるのですが、「Bクラス」のガーナやカンボジア、インドの学生を見ると、少々気の毒になります。

 彼らは、漢字だけは必死に覚えてきており、読んだり書けたりはするのですが、まだそれが文章中に散在するというのに、慣れきってはいないのです。いくら聞くだけとは言え、漢字を見れば、大体の内容がすぐ把握できる人たちとは違いますから、大変でしょう。それでも、日本の大学や専門学校に進学したいと思っているのなら、日本の歴史も少しは知っておかねばなりません。

 「A・Bクラス」に比べ、四月に来たばかりの「Dクラス」の学生たちは、まだまだ太平楽を決め込んでいます。また事前指導も、そのような難しいことを考えなくていいのです。それどころか、愉しませることに集中させなければならないのです。上級と同じようなものを見せ、同じような説明をしても、意味はありません。彼らはまだこの学校でする「課外活動」というものの意味さえ判っていないのですから。甚だしきに至っては、「先生、友達のところへ行きますから、行きません」と言いに来たりする始末。

 そういうのは、まず、一つ一つ雷を落として潰していきます。なにせ、まだ彼我の間に共通語がないのです。私は課外活動に参加する必要性を、ベトナム語で説明する能力はありませんし、ネパール語でもできません。ただ、三ヶ月も共に暮らしていれば、互いのことは、ある程度、理解できています。彼らにしてみれば、「先生から叱られた(叱られるとは思っていなかったのです。課外活動へは、好きな人行くだけで、行きたくない人は家で寝ていてもいいんだくらいに考えていたようなのです)。行かなければならないんだ」という思考の流れに、案外スムーズになるようなのです。

 もっとも、時には、言いに来た学生を見つめて、「うううううう」と、唸り声を上げるだけで、「えっえっえっ」と言って、「行きます」と答えてしまう学生も出てきます(全く、言葉なんて必要ないのです。今の日本語のレベルでしたら、私が貓語で話しても、鶏語で話しても、牛語で話しても何語で話しても、私の気持ちを汲み取ってくれることでしょうから。難しい話は別にしても、気持ちだけは判ってくれそうです。実は、時々、彼らと犬語で話すことがあります。おもしろいのです、これは、とても。)

 それでも、「行きたくない」と駄々を捏ねれば、(捏ねそうな人は皆近くに住んでいますから)朝、私が電話し(たたき起こし)、部屋まで迎えに行きます。だいたいこういうことを二度ほどでも繰り返せば、音を上げるのは向こうの方です。「ちゃんと行くから大丈夫。来ないで」となるのです。で、私は「言ったのはそっちの方だからね。約束だからね」と大手を振って一人駅に向かうことになります。

 だいたい、半年も経てば、仲間と一緒に行く愉さも判ります。事前指導で、時には「日本の歴史」あるいは、「建物の特長」、その内容なども入れていきますから、日本に関する知識も増えていきます。目標を持って日本へ来ている学生は、(少しでも日本にいれば)自分が日本のことを何も知っていないのだということに気がつくはずです。進学を目指しているのなら、それはマイナスになるということにも。日本人と話す時でも、友達を作る上ででも。それでも、(それに)気がつかないようでしたら、それなりのところへ行く(進学する)だけしかないのです。

 また、一緒に行くクラスメートもいます。他のクラスには同国人もいます。一人ではありません。もし一人になったとしても、誰かが気づいて声をかけてくれるでしょう。それがクラスメートであったり、同国人であったり、あるいは教師であったりしても、変わりはありません。寂しくはならないと思います。もちろん、中には、私が行けば「しまった。また捕まった」と思うような輩も、四月生にしてすでにいるでしょうが。

日々是好日
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