日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「大寒」。様々な国から来た人々のこと。

2022-01-20 08:46:14 | 日本語学校
晴れ。

「大寒」。今朝は零度を下回ったそうな。聞くだけで寒さが応える。とはいえ、「大寒」の次は「立春」。「春遠からじ」ですね。

学校で勉強を始めて、だいたい一年ほどが過ぎると、学生たちは教師の習慣を呑み込むだけでなく、だから「こうしよう」というふうになってきます。(教師)対策がうまくなってくる。留学生の場合は、頼る先が学校ですから、その呑み込みも速いだけでなく、応じ方もなるほどと思わせられるほどになるのですが、最近のように在日生ばかりになっても、それは同じことのようです。

いや、数歳上だからでしょうか、高卒の人たちのように、何かあったら直に訴えるのではなく、遠慮がちか自分の方が退いて譲ってしまう…ような傾向にある…。

ネパール、スリランカの学生はこの傾向が強く、パキスタン、インドはちょっと違う。ベトナムは、しょうがないかと諦めるという感じ。お国柄でしょうが、ただ、これに甘えていると、学生たちの方に皺寄せが行ってしまうので、教師の側がちと気をつけておかなければなりません。

外国の人に日本語を教え始めた頃、最初の学生は、皆、中国人。勉強の習慣がない人たちが多かったので、大変は大変でしたが、できようができまいが気にならない…らしい、向こうが。だから、楽と言えば楽。なにせ、たいして教える気もなく、技術もない人たちは「学生が悪い」で責任を回避できますから。

それから、勉強したいという中国人が増えて、随分、ある意味、面白くなりました。何せ漢字もわかれば、読解力も日本人と同じ(読書の習慣がある人が少なくないので、あまり気を遣う必要がないのです)。日本人に教えるつもりで教えていれば、それでいいのですから。

それから次に、スリランカ人が増え、漢字がわからないので、「『読解』なんて知ったこっちゃねえ」という人たちのオンパレードで、「どうすりゃいいのさ」と途方に暮れる始末。

当時、学校にきていたスリランカ人は、最初っから、「読む」「書く」気がないので、10回書かせようが、100回書かせようが、絵を写しているだけ…と思っていたのでしょうね。工夫して「篆書」から導入してみたりしたのですが、結局は、卒業時に「一」から「三」までは書けても、「四」から先は心許ないという状態。無駄にカリカリ来ていた…だけでした。もっとも、不思議なことに、それを何とも思わないようなのです。写すだけでは「責め苦」と思うのですが。

ただ、スリランカ人は、中国人と違い、ヒアリングがいいので(これは南アジア、西南アジアも同じです)、下手をすると、学校が長期休みになると、日本語が上手になって戻ってくる…(なんということか)。だから、働くだけであったら、多分雇い主には、重宝されていたのでしょう。反抗するとか、文句を言うという人たちはあまりいませんでしたから。

そうこうしているいるうちに、「日本で暮らすなら勉強せねばならない」という自覚のある人がパラパラと入ってくるようになり、本格的に「漢字を身につけさせるには」と考え、覚えるための小冊子(電車の中でも開いて覚えられるように…これは読み方を覚えるためです)を作ったり、教科書毎に新出漢字については筆順から調べてそういう冊子を作ったり…まあ、苦労はしました。どういうものが「当たる」か、わかりませんでしたもの。

当時、今のようにの「N5」「N4」漢字で外国人用のものがなかったので、小学校の漢字の辞書をいくつか利用して作っていたのですが、今は、外国人用のものがあるので、それを利用しています。「N5」「N4」の漢字の筆順さえ、しっかり覚えていれば、「N3」からは楽勝です。本当に楽になりました。

そのうちに、ベトナム人が来るようになり、三重苦の人たちとの対決です。中国人のように「漢字」がわかるわけでなく、スリランカ人のように「ヒアリング」がいいわけでなく、しかも、「文法…語順」でしょうね、それがつかめない。

こういう人たちをどう教えていったらいいか、最初はやることなすこと失敗。これもだめ、あれもだめ。じゃあ、こうしてみるか、ああしてみるかと試行錯誤が続き、けれども、やってみるものですね、なんとなく道が拓けてき、そのうちにきちんと勉強する人たちも増え、これはこれなりに、ベトナム人が来ても身構えなくてよくなりました。

そして次はネパール人です。覚えているのは「て形」の次に「ない形」を入れようとしたときのこと。どうしても「Ⅰグループ」「Ⅱグループ」「Ⅲグループ」とグループ毎に姿を変えるということが理解できなくて、半べそで、「わかりません」と訴えた高卒の少年のこと。「て形」まではとにかく必死に覚えたのでしょうね。ところが次に「ない形」なんぞが来てしまった…それで、パニックになってしまったのでしょう。この少年も、卒業時には無事に「N2」に受かっていましたから、半べそも無駄ではなかったようです。それくらい理解したかったということでしょうから。

高卒者は「N5」に合格していないと留学できないようになってからは、こういう人はいなくなりました。が、アフリカからの人はどうなるのでしょうね。以前聞いたときには、日本語を教えるような所はないと言っていましたから、そういう所から日本に来たいといった場合はどうなるのでしょうかしらん。

日々是好日
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