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イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「鮭サラー その生と死」読了

2010年12月26日 | Weblog
H・ウィリアムスン/著田中清太郎訳「鮭サラー その生と死」読了
開高健が講演のなかで、お勧めしたいということで紹介されたいた本を見つけた。「サラー」と名づけられたアトランティックサーモンが幸運を携えながら、いくつかの苦難を乗り越え生を全うするという話だ。
動物を主人公にした物語というのはいくつか読んだことがあるが、ほとんどが人間のような感情を持った主人公の冒険物語というもので、ちょっと子供向けのような物語ばかりだったが、この本はサラーの一生が淡々と語られている。だから余計に普通一般的に鮭というのはこんな苦難を乗り越えて魚生?を生き抜くのだという感動が迫ってくる。
最後のサラーが死を迎えるシーンも淡々としたした表現で書かれているが、君たち人間もいつかは死ぬ運命にあるわけで、それまではただ自分の役割を淡々とこなして静かに最後を迎えなさいと諭されているようでもあった。

こんな話を読んでいると、「魚は釣ってはいけない。彼らも一生懸命生きているのだ。」などとついつい思ってしまう。
釣り上げた魚を〆ているときには僕の姿は彼らの目にどんなふうに映っているのだろうとも考えてしまう。
魚の頭にナイフを突き刺したり、コンクリートブロックに頭をぶち当てたり、あげくには背骨にワイヤーを通してギコギコやりにくるやつというのは悪魔以上の悪人に見られているのだろう。
魚には痛いと感じる神経がないというのを聞いたことがあるが、それも本当かどうか・・・。ひょっとしたら、喜びも悲しみも怒りも痛みもちゃんと彼らは認識できるのではないだろうか。

前回の釣行がボウズでよかったとなぜか安心させてくれる一冊であった。