開高 健 / 吉行 淳之介 「対談 美酒について―人はなぜ酒を語るか 」読了
ふたりの作家による他愛のない対談録だが、それでも芥川賞作家の対談だけに含蓄あるものだ。まさしく、「男」の酒の呑み方だ。僕も、こんな酒の呑み方をしたいものだが、そんな脳みそも肝臓もないのが残念だ。その前に、片道2時間の通勤ではそんな時間もなく、生来の性格で人との交わりも苦手だからやっぱり遠い世界だ。
今は家で自分で肴を作ってひとりで呑むことばかりだが、海外のパブやバール(と言うんだったか)なんかを紹介したテレビを見ると、こんなところで時間を忘れてゆっくりお酒を呑みたいなと思ってしまう。
前回読んだ本の著者の渡辺裕一も、「思うに、人間はたわいもないはなしをしながらいきていく動物なのではないだろうか、どうでもいいことをああでもない、こうでもないと話すことが、食事をとることの次くらいに必要なことなのではないだろうか、世界中に星の数ほど酒場が存在するのも、そんな理由からではないだろうか。」と書いているが、きっとその通りなのだろうなと思う。
僕は一生そんな酒場を知らずに生きていくと思うとちょっと残念だ。
せめて、どこかの酒屋さんでシェリー酒でも買って釣りたての魚をあてにひとり寂しくだが、ゆっくり呑んでみよう。