弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

賃貸住宅における修繕特約につき、最高裁がついに判断!!

2005年12月16日 | 法律情報
賃貸マンションなどで用いられる契約書の中に、よ~く読むと、通常使用によって生じた損耗に関する修繕費についても借り主負担ですよ・・・と書いてあることがあります。
そのため、このような条項に基づいて貸し主側が敷金より修繕費を差し引きし、その残額しか返還しないという対処がよくとられていました。

ところが、そもそも家を借りている以上、損耗が生じるのは当然であって、ましちゃ通常使用による損耗についてまで負担させるのはおかしい!というトラブルが多数生じていました。

この手のトラブルにつき、ついに今日最高裁判所の判断が下されました。

報道によると、最高裁は、通常損耗の修繕費用は賃料に含むのが普通なので、契約書や口頭での具体的な説明と明確な合意がない限り、借り主に負担義務はない判断しました。

つまりたとえ契約書に書いてあったとしても、そのような特約は向こうとなる可能性を認めた画期的な(!?)判決と考えられます。


今後の賃貸借実務に大きな影響を与えるのは必至です。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051216-00000143-kyodo-soci

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仁義無き戦い!?-株データブック全銘柄版が会社四季報に似ているとして仮処分申請

2005年12月16日 | その他
内容的に酷似している表現があるとして、著作権法違反に基づく販売差止めの仮処分申請を行ったようです。

最近、日本でも権利意識が高まったためか、類似表現があった場合は著作権法違反の主張、類似品があったら不正競争防止法違反として裁判をしたいという相談が多くなってきています。

ただ、著作権法の場合、たとえ類似した表現を行ったとしても、自らが独創的に表現したものであれば、著作権法違反とはなりません。
このため、著作権法違反を問うためには、「表現が類似している」との主張・立証だけでは足りず、更に「表現を(参考にして)真似た」ことまで主張・立証する必要があります。
したがって、今回の仮処分申請は、事情を知らない第三者から見れば、結構申立人側にとって難しい訴訟進行となることが予想されますが、結果としてどのようになるのか注目したいと思います。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051215-00000316-yom-soci

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一目ぼれ女性を通り過ぎに見ただけで逮捕される!? 

2005年12月15日 | その他
報道によると、一目惚れした女性をしつこく見続けていた男性が逮捕されたようです。
逮捕容疑は、ストーカー規制法とのことです。

我々が依頼者から相談を受けて、警察に申し入れを行ってもストーカー規制法容疑ではなかなか警察が動くことはありませんが、今回はうまく!?警察も動いてくれたようです。


そういえば、警察・検察がなかなか動いてくれないと言えば、告訴受理もなかなかしてくれませんね。
私の友人の弁護士は一晩中警察署に居座り続けて受理させたと言っていましたし、結構やっかいです。
特にこの時期は年末にかかるので、警察・検察は受理を嫌がるという噂もちらほらと有りますが…


関連リンク
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/stalker.html?d=14mainichiF20051214p1500m040136000&cat=2&typ=t

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会社法施行令と会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う経過措置を定める政令が公布

2005年12月15日 | 法律情報
いよいよ来年5月に大改正される会社法につき、会社法で詳細を定められていなかった事項が公にされました。

まぁ、かなり細かな手続きに関する分野が含まれていますので、いきなり施行令や政令を読んでも分かりづらいと思いますので、やはり、まずは会社法から勉強するべきでしょうね。

ただ、日本で一番多い会社類型である「有限会社」について定めた有限会社法が廃止されますので、有限会社に関する経過措置については重要チェックポイントでしょう。

ちなみに法務省のホームページでは、有限会社に関する事項について次のように記載されています(以下、引用です)。

「有限会社法(昭和13年法律第74号)及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和49年法律第22号)の廃止に伴い,有限会社の持分の消却に関する有限会社法第24条第1項が準用する商法第213条の定款の定めを会社法の相当規定に定める事項の定めとみなすこととするなど,所要の経過措置を定めるものです(第1条~第11条)。」


いずれにせよ、年明けから本格的に勉強しなければ…


法務省へのリンク
http://www.moj.go.jp/HOUAN/KAISYAHOU/refer05.html

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姉歯建築士の証人喚問速報ニュースを見て-専門家としての役割と生活

2005年12月14日 | 経験談・感じたこと
速報版の報道を見たのですが、姉歯建築士は、「仕事の9割を特定業者から受注していたため、逆らうことができなかった」という趣旨の証言を行ったようです。

専門家としての責任を誠実に履行しなければならない反面、やはり仕事がなければ食べていけない…という板挟み状態の中、悪魔のささやきに負けてしまったようです。

上記事情は、同じ専門家として非常に考えさせられるものがあります。
我々弁護士も、特定企業と顧問契約を結び、その特定企業の利益のために弁護士活動を行うのですが、しょせん民間事業者に過ぎません。
したがって、特定企業に特に依存している場合、その特定企業と縁が無くなれば、即無収入ということもあり得るわけです。

そのため、顧問契約を維持したいばかりに、違法なことと認識しながら加担する弁護士が出て来るというのは十分予想されるところです。
特に、今後弁護士はいっきに増加することになりますので、ますます危険性は高くなると思います。

別に姉歯建築士に同情するつもりはありませんが、他人事ではないと改めて考え直したいと思います。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051214-00000003-yom-soci

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セクハラでうつ病になったら労災!

2005年12月13日 | 法律情報
厚生労働省は、セクハラでうつ病等の精神疾患になった場合、労災の対象になることを徹底するべく、全国の労働局に通達を行ったようです。

うつ病等の精神疾患の場合、どうしても「個人の問題」とか「その個人の意思が弱いだけ」と扱われてしまう傾向があること、外傷の場合と比較して明確な判断基準がないため、うつ病と言われても本当にうつ病なのか?と疑いが入ってしまうことなどなど様々な理由で、労災となかなか認定されなかった実情があるようです。

ただ、セクハラでうつ病になったら即労災と認定されるわけではなく、その後の事業主側の対応も考慮事情として含めるようです。
したがって、当然に労災が認められると考えるのは禁物です。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051213-00000073-kyodo-soci

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最高裁諮問委員会、井上判事を「再任不適当」と答申

2005年12月12日 | その他
以前にもこのブログで記載しましたが、井上判事にとっては都合が悪い方向で進んでいるようです。

ちなみに、何故裁判官はこの様な問題が生じるかというと、憲法80条1項で、裁判所の任期は10年と定められていることに由来するものです。
通常は、10年経った後に「再任」(=要は更新ですね)されますので、特に問題がなければ定年まで裁判官として働けます。

しかしながら、やはり問題のある裁判官が人を裁くのは問題ですので、10年ごとに当該裁判官の評価をし、問題のある裁判官は再任しない(=裁判官として採用しない)という制度を憲法上設けているのです。

今回の井上判事も、この10年目の「再任」につき、「再任が不適当」と諮問委員会で評価されたということで問題になっているわけです。

まぁ、私は井上裁判官が担当する裁判に当たったことはありませんが、報道されているように、裁判官の判断が実質2行であれば、ちょっと不信感を持ってしまうかも知れません。

いずれにせよ、最高裁がどのように判断するのか興味があります。


関連リンク
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20051210/K2005120903770.html

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イタリアの裁判では…

2005年12月09日 | その他
イタリアの裁判所が下したとんでもない判決です。

・単発的で衝動的なものであれば、女性のお尻を触ってもセクハラにならない
・ぴったりのジーンズを履いていたのだから強姦されてもやむを得ない
・「汚らしいニグロめ!」と罵っても人種差別には当たらない

詳しい事案が分からないので、何とも言えませんが、これだけを見てしまうと「とんでもない」と思うのは当然ですよね。

日本の裁判所ではあり得ないことだと願いたいものです。


関連リンク
http://www.excite.co.jp/News/odd/00081133944087.html

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妻の監督下にあった子供を連れ去った夫は未成年者の誘拐にあたる!?

2005年12月09日 | 法律情報
最高裁が12月6日に行った判決によると、「妻と離婚係争中の夫が、妻の監護養育下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った行為につき、未成年者略取罪が成立する」と判断しています。

離婚事件では、親権の問題でなかなか離婚成立とならず、法律的な手続きを行っていては時間がかかって仕方がないとして、実力行使に及んでしまう事例が結構あったようです。

でも、この最高裁判決を読む限り、たとえ親権の行使だと抗弁しても犯罪成立となってしまうようです。

よく離婚を考え、子供を引き取りたいと希望する場合、子供と一緒に家を出ていけ!と言うことがありますが、事実上の対処法としては、この対処法が効果的なのかもしれません(離婚係争中の場合、子供を引き取った片親は、他方の親に子供を会わせることはなかなかあり得ませんので…)。


最高裁のホームページ
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/308B9F6FEE05AD13492570D1000CD52D?OpenDocument

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行政訴訟を提起できる当事者は誰か-小田急訴訟で最高裁判所が広く当事者適格を認める

2005年12月08日 | 法律情報
当事者適格というと、法律家以外の人は今一つイメージが付きにくいと思われますが、「当事者適格」とは、要は、裁判所に申立を行うことができる人は誰かという問題と捉えれば良いと思います。

例えば、ちょっと前に話題になりましたが、動物を当事者として訴訟を提起しても、動物に権利があるわけではありませんので、裁判の当事者となれるわけではありません
(たしか鹿児島かどこかの離島の自然破壊が破壊されるとして、工事の差し止めに関する裁判を提起した際、その離島に住んでいる動物を当事者にしていました。ちなみに、裁判所からは、その動物の住所を明らかにせよと言って、結局、その動物は裁判の当事者から外れたようです…)。

今回の小田急訴訟の場合、当事者として、工事周辺の住民が含まれるのかが争点となりました。

従来の裁判所の傾向では、まさにその工事が行われる土地の地権者にしか当事者適格が認められていなかったのですが、このような判断を改め、「騒音、振動で健康や生活環境に著しい被害を直接受ける恐れのある者」も含まれるとしたものです。

当事者適格が広く認められることになったという意味で画期的な判決とはなりましたが、結局「直接被害を受けるおそれのある者」とは誰なのか明確な判断基準がないのも事実です。
まだまだこの手の解釈論に関する争いは続くと考えた方が良さそうです。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051207-00000275-kyodo-soci

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