弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

実名報道とプライバシー侵害

2009年11月02日 | 法律情報
光市で発生した母子殺害事件で、実名を記載した書籍の出版差し止めを求める仮処分手続きが行われている旨の報道は先月ありましたが、これと同時並行で、損害賠償請求訴訟も提起されていることが報道されています。

元少年が提訴 実名本出版差し止めと損賠求め(毎日新聞)


少年法の問題はさておき、個人的には、実名を出すことにどれだけの意義があるのか若干疑問を持っているのですが(別に少年保護を絶対視すべきであるとかその様な観点からではなく、単に出版の意図・目的の達成のために実名公開が絶対に必要かという問題意識です)、出版差し止めの仮処分手続きについては、未だ裁判所の判断はなされていないようです。
まぁ、現実に出版されていますので、今さら出版差し止め決定が出ても、時期既に遅し…というような気がしますが、出版社側の理屈が少年法の趣旨に勝るのか、判断には大きな興味を持っています。



ところで、この実名報道のニュースを見て、ふと思ったのですが、最近報道されている、結婚をネタに(?)男性数人から金銭を詐取した事件(殺人の問題もリンクしているようですが)がありますが、何故、これなんかは実名報道されないんでしょうかね?(写真もぼかしが入っていますし…)。

詐欺事件であれば、通常、実名報道されているような気がするのですが、今回ここまで報道規制が入っているのは、ちょっと不自然のような感じもしています。

結局、実名報道するか否かは各報道機関の裁量になると思います。
が、少年法で実名非公開とされているものについては公開がなされる一方、少年法の枠外の事件については非公開とされています。
これだけを見ていると、何だかアンバランスのような感じがしまするのですが、そういうものなんでしょうかね?
(婚活詐欺事件については、もちろん報道機関は諸般の事情を考慮してのことだと思いますが…)

ふと実名報道をするかしないかの基準というのが気になりました。



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