リベルテールの社会学

生きている人間の自由とは、私の自由と、あなたの自由のことだ。そして社会科学とは、この人間の自由を実現する道具だ。

芸術的主体性の原理

2014-11-09 21:31:46 | その他
 こんにちは。もう立冬とか。わたしなど、蚊に(も)好かれるたちで駅で立っているといつものことながら顔の周りで蚊がうろついていたり。そういうときは必ず刺されているのですが、今回はもう刺す気にもなれないようです。蚊もたいへんです。

 
 さて、昨日はひょんな縁で朗読劇(フジテレビアナウンサー他)というものを見てきました。「イキヌクキセキ」森浩美原作、(その他)というの。
 東北の震災の話で、なんでも昨日がフィリピン台風被害1周年なんだそうですが、そのチャリティ。
 ネット情報の(別の劇団の)あらすじは脚色をしてあるのかどうも悪化しているようですが、こちらは情景はわかりにくいものの、筋立てはシンプルで、良いようです。
 まあ筋立てがどうのというより、関係者がいっしょうけんめい人間のことを考えていることに感動しました。(わたしの偏見では)「金もうけのフジ・サンケイグループ」 という気のするところですが、どうしてどうして。ここんとこ(ヒマがあるので)アクセスする、反吐の出る将棋掲示板ほかのネット関係者とはエラい違いです(こんなやつらが将棋ファンなら私はファンでは決してない)。
 ともかくも、水準に達する芸術、ごくろうさまでした。

 
 つぎに、さて、あまり書かない美術の話題。
 物事の内容の伝達というのは、ある一瞬の違和感で決まるものです。あるいは決まらないといけない。
 外界の物事の様子の伝達というのは簡単に、そのクニの単語にすればいいわけですが、一見誰もが知っているかのように思われている物事の、その基盤の情報の伝達というのは、なまじ表面的に知っているその共同体の成員には、「違和感」なくしては伝わらない。もっと細かく言うと、その「違和感」は、共同体成員間の「違いによるな」と思わせるものではなく、「こいつ何いってんだ」という、異次元の「異和感」です(なんて苦労してるのはword2000だと「いわかん」がでないため)。要は、みんな同じにわかっているつもりのことが実は人によって違うのだけれど、それにどこで気づくか、ということで。
 で、本題は画家石川滋彦氏の本。この人は風景画の一応の大家のようで、某勤め先所在区の図書館で古いものですがともかく気に入って日曜画家用の本を2冊借りてきました。
 で、その中で彼氏いわく、"風景の構図は4号の扱いと30号の扱いは違う。
ある日本の屋根は、適当に書けば4号ならもつが、30号ではもてあます。もっともっとしっかりした表現が必要になる”
 ううううむむむ
 30号なら「イギリス風景画のようなそのまま具象画」になるか、えたいの知れぬ「モネのような印象画」になるか、の2通りだ、といっている、以外に解せません。
 だから日展だがね。(ト、バカにしている)  あるいは日曜画家。

 
 人間が造る創作物とはそういうものじゃないだろうが。
 (って、前の将棋‐コンピュータ論議と趣旨は一緒)
 「君のやり方じゃ描けないから方法を変えろ」って、それは本末転倒。
 絵が芸術である限り、詩と同様にある個人である人間の感動を伝えるためになくてはならないものである限り、ある方法は固定してその方法が伝えるべき情報を基に感動を再構成すべきだろうが。
 われわれ個人が伝えるものは風景や人物という対象の有様ではない。
 たとえば写真のない時代に江戸城を伝えたいならば、それは伝えたい人間が職業絵師にその実在の写し絵の制作を依頼することであって、江戸時代の感動者がその実在状態を絵で書くことではない。
 そんなことは今の写真家なら良くわかることだと思いますが。
 江戸城に感動した1庶民が写真機を持って、あるいはスマートフォンを持ってなすことは自分の「感動の所以」 を、フィルムに、あるいはデータに落とし込むことです。
 決して8インチの乾板フィルムを持ち出して江戸城全体を克明に写し取ることではありません。
 といえばシンプル。
 このシンプルなことを数秒で読んだだけで違和感として感じ取るわたしはえらい。
 「そんなのあたりまえだろ」、とわかった皆様は、この事態は、すべての芸術分野に、あるいは正しく言えばすべての人間の趣味分野に、つまり、ある人間が生きていてこの自分の生の一瞬を止め、その感慨を誰かに語ろうとする作業のすべてに、該当する真理であるということもわかってくださると思われます。

 
 が、といってもこちらの方、20年前に亡くなってしまったようで。ほんと、長生きしていろんなことがわかるようになっても、苦情を言いたい相手はみんな死んじまうんだよね。
 みなさま若人も、年寄りは死ねばいいわけですが、中高年は大事にするように。
 
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