リベルテールの社会学

生きている人間の自由とは、私の自由と、あなたの自由のことだ。そして社会科学とは、この人間の自由を実現する道具だ。

人を助ける職

2010-09-22 22:14:59 | 断片
 こんばんは。今日はお月見。私が見たときはくっきり満月(目が悪いのでオペラグラス経由ですが)。
 毎年雲に隠れるのが相場ですが、そういえば、この2,3年で今日のように動く雲に隠れた姿を(そのときは15年ぶりくらいに)見たこともありました.

 さて、月曜はお墓掃除にでかけまして、時は気温32度、とても昼間は行けないと夕方行ったのですが、想定はあったとはいえ、ヤブカの大群。いまさら後には引けず、線香を上げた頃には私の腕は100も200も膨れ上がり、かゆいとかじゃなくて、とにかく刺激刺激刺激。気が狂いそうでした。

 の結果は、帰れば両腕四、五百の発疹。
 これからちょっと旅行に行くのでみっともない格好もできず、今日は皮膚科にいって薬をもらいました。
「これを飲めばすぐ消えるわよ」という医者の勧めは副腎皮質ホルモン。
こうゆうのは怖いので過去飲んだことがありませんでしたが、さすがにすごい、ブレドニン10mg。飲んで2時間半で隆起が7割減しました。
 昨日は風呂のせいか酒のせいか、今ごろにまた頂点までひどくなったのが、今日は酒も風呂もものともせず、隆起度は5時間前の5割減は堅い。すごいねえ。手の下しようのない体の状態が、ごくちっぽけな粒2ヶのためにこんな。

 世の中、何が偉いって、副腎皮質ホルモンと抗生物質と抗結核薬の開発にはノーベル賞が値する(その他の発見開発業績なんて、ぜんたい、たいしたことないし。偶然や2,3しかない思いつきの果実)。にしちゃ、ネットに名前が載らないねえ。特に抗結核薬。ま、そんなもんさ。何とか賞なんて。年寄り学者仲間の褒め合いだからね。大半の年寄り学者は結核になんかかからないさ。ってゆうか、結核は若いやつを襲うので、そんな有意の人たちは消え、自分は実害がないし。(そういえば、こうゆうヒスタミン作用って、皮膚に記憶ができるんですよね、蚊であれ他の毒虫であれ、いったんできたヒスタミン系物質が体の中をめぐり、過去の記憶を皮膚が持ち続けるアレルギー拠点で腫れ上がる。ま、誰も言ってないことですが。世の中創造力のある人間て、非常に限られてまして)

 で、これは「断片」カテゴリーですが、ごく一部にためになる結論。
 なんとか人間を救おうとしているが、しかし貧乏なキミ。
 オオガネがないから医学部にいけない、なんて悲観しないで、勉強してちょっと易しい大学で無返還奨学金をもらって薬学部か化学科に行って、よい薬を作ってください。医者なんかより、何十万、何百万の人間のためになることができます。
 (ただし、デモシカで勉強してそこらの大衆薬品会社へいかないように。嫌いなんだ。理由があって。人にはいろいろな人生があるものです)

   あ、というわけで、わたくし1ヶ月遅れの夏休みのため、今週は更新をいたしませんので、よろしく。

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権力を使える人民へ

2010-09-19 22:40:37 | 歴史への視角
 こんばんは。
 まるでお盆の暑さですね。この夏、夕涼みにスイカを食べる、なんて気の利いた気温じゃなかったですが、今日は暑さはそれとして、スイカなんてもう売ってないのが残念。

 ここんとこどうも体力の低下が。会社でも若いもんは遊びでもばたばたして気持ちがいい。あんなに動いてよく疲れないな、って。まあ私なんか、仕事が忙しくないと体を使いませんで、困ったもんさ。ま、それでも動くだけいいけど。
 
 で、体力の低下のため、手短に。
 朝日新聞によると、尖閣列島問題で、中国当局は、若いもんのコントロール逸脱癖を恐れて、ひたすら世論の押さえに回っているそうな。
 さすがに、権力操作のプロだね。
 
 ためになるブログ。本日は、「思想の如何に関わらず、政治に手を染め得たグループは、またその出自に関わらず、対抗権力となる第1段階をクリアする」こと。
 
 たとえば、賭場の上がりで食ってただけのヤクザったって、明治維新後の幕府勢力その他による地方擾乱に際し、明治政府の手先として、「士分」として取り立てられ、何部隊もの兵隊勢力となったわけです。そういう人たちが、戦闘方法を忘れた正規武士の替わりに、戦闘の先頭に立ったわけで。
 とはいえ、どこでも鉄砲玉は戦さが終われば不要になる。
 幾ばくかの一時金で追っ払われた元ヤクザの「武士」は、今度は自由民権運動の担い手として自由党の戦闘分子となる。(注)
 ここでは、思想ではなく、「思想を根拠に生きる」手立てを教わった、ということです。
 
 世の中というのはそういうもの。
 ブルジョワ民主主義というのもそういうものです。
 民衆に必要なのは、権力に刃向かえる、という立ち位置なのですね。
 その経験であり、そこに立つものの(思想という)力の支持の遣り方、そこで培った人脈、そこで培った各種の賞賛の入手法、そして新しい階級の入手と得た賞賛の使用による次の世代の育成。などなど。
 
 権力に縁のない人民は、まずは、時の政府に近寄って、寄りかかって、権力の使い方を知る。
 それが対抗権力の手早い入手方法なのです。
   それだけじゃだめだけど。
   
   なんていうことを次の本に書くもんで(今回は基礎理論。次回は応用理論)。中国人もお読みなさい。
   今の本もまだできておりませんが。まだるっこしいことは嫌いさ。
   
     こんな大事なことを、世間に明らかよいかって。
     近視眼なことをいいなさんな。知識は万人に益する。
     で、万人が向く方向は、常に人間の自由の成就です。


(注)長谷川昇、博徒と自由民権 ― 名古屋事件始末記、中央公論新社、1977.



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国家概念への筋道

2010-09-12 15:03:24 | 社会学の基礎概念
というわけで、国家とは何か。(シンプルに書くといろんな方がみえるので)(国家意識の話は除いてます)

 なんだ、またおんなじことを、という向きもあるでしょうが。

 いえ、1ヶ月くらい前、五百籏頭 真という防衛大学校長が、新聞の1面全部を使って国家がどうの、と話してまして。ただの社会契約説でしたが、こんなのに反論するには、いくらでも他の左翼がいるだろうと、と思ってたところです。なんだか、ネットで見たら、ウヨにも嫌われてるみたいで。ウヨに同調したくないしね。

 そしたら、日本現代史調査中に、安東仁兵衛という、昔自称左翼でその後人民のことなど忘れ去って民主党前身のプロパガンダをしていた老人が、「国家暴力機関説は諸悪の根源」とかぬかしていたのが目に入り(読者の皆さんには言葉が悪くて失礼。恥知らずは嫌いで)。

 もしかすると、国家が暴力機関だなんて知らない人がいるのではないかと、心配になり。

 さて、社会制度というものの説明は、当初、自分の行為の将来に沿ってなされます。
 なぜかというと、そんなものは「存在」しないから。
 すべて社会制度とは行為者が未来に受けるだろう他者の反応に応じて仮に構成されます。
 フィクションですね。
 ところが、このフィクションは社会では同じ傾向を持って継続して為されますので、こういうものは、行為にとっては「存在する」といったほうがよい。水が飲みたいときに家の前の川に行く人間にとっては、家の前に川が「存在する」といったほうがいい。ほんとは昨日の上流での土砂崩れで「存在しない」かもしれませんけどね。
 ま、というわけで、社会制度は、行為者の行為に伴って2次的に存在するわけです。

 で、防衛大学校校長にとっては、国家は、「国家とわれわれは契約しているので、普段恩恵をこうむる変わりに国家の危急存亡の折にはみんなで戦ってもらう」てな話ですな。

 冗談ばかり。わたしゃ契約なんぞしてませんぜ。
 だいたいなんの恩恵をこうむっているというんだ。迷惑ばかりじゃねえか。
 というと、日本の紙幣を使って買い物して生活しているだろう、とかって話になる。
 そりゃ契約じゃなくて国家の牢獄にいて他に食う道がないということですな。
 資本主義が嫌いなら出て行け、の論理。普段会社の給料で食ってるんだから、鉄砲玉になってライバル会社にトラックで突っ込め、て話です。

 要するに現状肯定の論理というのはみなそういうもので、こういうのに立ち向かうにはそんな現状を変革するという前提がなければならない。国家ではない環境、資本主義企業ではない環境を行為の先に据えるものだけが、バカ言ってんじゃないよ、とすぐさま反論できる。だから昔、ルカーチという人は、【変革を使命とする労働者階級だけが真理を把握できる】といったのです。
 こうゆうことが分かる人も、既にほとんどいないでしょうねえ。

   ところで、ここのポイントは、「私はそんな契約をしていない」というところで。
   嘘や比喩でこさえてよいなら、どんな馬鹿げたことだって通るものです。
   『「私は」していないかもしれないが、人々の「一般意思」がしたのだ』などという馬鹿げた話もありまして。なんだよ、一般意思って。見せてみろよ。
   目に見えないものは見せられない、とかいう話ではなく、それによって特異に継続的社会現象が説明できるわけではない概念使用は科学ではないということで。さて、何が一般意思かな。他の現象を例示してください。
   
 これに対して安東の話は、今は民主主義の世の中で、政権にはいろいろな人がつける。その人たち次第でみんなが幸せな国家が作れる、てな話で。
 それのどこが、国家が暴力機関だということの反論になるのだ。(だいたい議員次第で世の中が幸せになるってほんとに昔マルクス主義者かよ。こいつが代表を勤めた『現代の理論』なる雑誌の程度が知れるぜ。前から知ってたが。
 いくら正太郎君がいい人間でも操縦器を奪われたら鉄人28号は破滅の道具になるのだ。
 もちろんこの場合、国家は鉄人28号である。なぜ国家は議員がいなくとも大統領がいなくとも巨大にして強いか。それはもともと人民を操作する装置であり、今でもそうだからだ。
 ウヨが投票した新自由主義者どもが政権を取れば、この世などいっぺんに全体主義に逆戻りだ。
 国家の悪口をいって笑ってられるのはいまのうちだぜ。 あ、俺か。
 そのときは、防衛学校長は、国家と国民は同じ一体の生物だ、とかいいだすわけだ。
 
   ところで、ポイントは、「議員の主義などで国家は変わらない」ということだ。
   国家が議員を選ぶ。
   あるいは、同じことだが国民が議員を選ぶといってもいい。
   「なんだ、民主的だ」、って?
   そりゃそうだ。日本は議員制度だもの。
   議員の主義ではなく、国民の利害と価値、すなわち行為者の生理的利害と賞賛と優越的自由が、そのとき人民に理解されている事実体系において選ぶ。
   従って、資本主義国家とは資本主義体制による人民の抑圧制度である。
      あまりにもとうぜんな。
      ところで軍部というものは資本主義の恩恵を受けないから、危険なんだぜ。死亡年金は高いはずだし。マルクス主義的理解とは違って、軍部は上記の例外だからね。軍部の主義で戦争は起こしうる(自前じゃ継続できないけど)。気をつけたほうがいいよ。
   
      なお、ここに挙がっていない国家の見方は意味がない。何を指しているかというと極端に若い人の、教室で座って考えた「国家」。概念は、社会の生活行動に伴って意味があるの。まだ社会的行動に遠い人たちは、無理に考える必要はありません。
   
   
      同じ結論でも、このブログはためになるでしょ。
      人と同じことなんかいわないぜ。
   
   そういえば、戦前のファッショ確立期にはヤクザ以外のウヨは国家権力に排外されたんだって。
   冷たいよね。方向転換期にはさんざん鉄砲玉にされてね。今じゃみんなにコケにされ。
   ま、そういうもんだよ、世の中。権力を取った者勝ち。
     いや、個人の自由を主張したものが最後に勝つんだよね。


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日本のモニュメント

2010-09-11 22:50:27 | 断片
 こんばんは、今日も気が付けばいつのまにか10時を過ぎて。
 世の中、この歳の中では自分が一番アルツハイマーではないかと思う今日この頃。
 もちろん、満足に生きているくせにアルツハイマーだなんていってはいけないのですが、世の中いろいろありまして。(とはいえ、いろいろあることに、私がどんなにアルツハイマーでも、そのへんの諸教授の百倍はまだ使えてるな、という)
 でも天気予報があさってには夏は終わるというからだいじょうぶです、ってなにが。

 今日も時間がないので断片もので、朝日新聞に出ていた、東北地方は田老町の津波話題。
 
 学生の頃、今日のようにいつのまにか気が付けば東北地方にいるという事態がありまして、友人との旅行なのですが、その際、いつのまにか、巨大なモニュメントのような防潮堤に囲まれた港にいまして。巨大というのは高さ20メートルほどの分厚いコンクリートの堤のことで。川から小さな港へ出る出口にダムのようについている。そこに鉄のこれまた巨大な扉が備えられているわけで。小さな入り江なので、前は海、背中の後ろはコンクリの大壁という、今大波が来たら壁にはさまれてぺちゃんこ状態なところ。
 「なにいってんだよ、うちの裏じゃないか」って、そう、そこ。
 見たの一箇所じゃないし。さらに私はそれ以前にも見たこともあるのですが、それにしてもその内側にいるとなかなかな圧迫感というか閉塞感というか。
 
 さて、それがどこか分からない。田老と田野畑の間であることは分かるのですが。

 1年に一回くらい、大津波の夢を見まして、その大堤上から眺めたり裏に隠れたりしてますのでいまだに親しみがあります。
 
    はい、ただの昔話。ちょっと軽いぱんちもあって。
    
    ためになる(つまらない)話は、あしたの予定です。
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朝日夕刊4題

2010-09-07 21:52:04 | 断片
 こんばんは。なによりも体力を回復したい今週この頃。
 ただ、体力と精神力では、わずかに精神力が優先なんですね。特に酔っ払ってる間は。
 何しろ、この場には悪口が残っていて気分が悪い。、

(その1)
 まずは褒めることができて、私がうれしい神野紗希。
 ぜんぜん知らなかったけど、よい句を。
 おいくつ? 31くらい?
 年がどう関係あるかって、顔と年を見ればその後検索すべき価値があるかどうか、も分かるの。(注:突然来た人へ。もちろん美人かどうかとかなんて話ではない)

(その2)
 困ったもんだ、池澤夏樹。なにいってるかわかんねーよ(水村美苗について)。
 前の朝日新聞上評論もそうだけど、2回やられちゃ、こいつは日本語できないって評価するしかないぞ。
 前って、福永武彦の子供だって知った半年前ね。
 あの絢爛たる福永、あの美文の福永の息子がこれか。
   まだ人生間に合う。がんばれよ。(はい、私もヘタですんませんな)
  
(その3)
 献血の呼び込み、大変だねえ、って夕刊漫画。
 おめえ(漫画作家)、献血したことないだろ。
 どこの街頭の呼び込み人でも、豆腐の青木屋以上にデスパリットじゃないか。
 青木屋はまだしもやる気があるか、疲れてるかの2択だが、献血は声を聞いて心にトゲが刺さらないか。
 とりわけひどいのが新宿西口。外のホームレスと2択のような呼び込みはたまらん。(赤十字は正社員、雇い入れ、単なるアルバイトの3階層があるんだろうね、知らんけど)
 
  (これは関係ないが、献血関係者はあの不愉快な200CC対象者侮蔑はやめさせろ。
   そのまんま不愉快でもう絶対新宿西口では受けない。今は知らんけどね。受けないから)

(その4)
 どうも、労働量が大変なはずの朝日夕刊1面特集は、事前取材みたいね。
 で、松本氏がやめた次は、渡辺周という人の、これも労作。いわゆるおかまのテーマ。(まともな呼び方もないまま、次の時代を迎えてしまった。今なんと呼ばせたかっているかは知らない。覚える気ないし)(う~ん、それにしても不愉快な語だ。しかし、そういうことばなんだから直さない、って訂正アップ3回目じゃ。早く寝たい)
 なかなかだね。人間は、まだ信じてないけどね。関西出身ふうだけれど、まだ興味本位に流れてない。
 こうゆうのは立派なんだよね、自分の育ち持った志向を表さない克己というのはね。
 松本氏が東京本社の編集主幹なら関西本社の編集主幹になるかもね。(注、突然来た人へ。私は松本氏のことは好きではありません。社会上の評価をしてるだけ)
  いや、朝日の組織は知らないけどね。

 以上、文の流れ直しでした。また来週。
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蝉のイメージ

2010-09-05 21:47:43 | その他
 こんばんは。
 今日はもう一回真面目な話にしようかと思ってましたが、気が変わりまして。
 (って、前回でその手の話をする人のことが不愉快になったってわけで。
  普通、若い人には不愉快くらいでなんだ、っていうわけですが、残念ながらもう悟りましたので、
 自分がどうやって生きてきたか知ってるわけですね。
 確信犯は反省しませんやね。)

 で、蝉。
 蝉が土中に7年いるってのはご存知でしょうが、(別に5年でも13年でもいいんですが)
 4週間前の朝日新聞に、誰だか、記者か朝日の御用評論家が、じゃあその土中の7年が蝉というものではないか、などといっていて。

 ちえ。
 お前も赤んぼが本体なんだろな。

 なんて思うほど人は悪くありません。単に虫の居所が悪いだけで。

 さて7年の間、彼はじっと動かずに木の根から樹液を吸っているわけですな。
 なんでも、それは栄養分のない導管の水だそうな。動物には栄養のない樹液を吸って、少しづつ大きくなってやっと7年で体ができる。
 実はその前に、卵時代もあって、枯れた木の幹に植え付けられた卵が、やっと2,3ミリの動ける体となって、地上に落下する。これにかける月日が1年。
 
 赤ちゃんが母体の栄養をとって育つのに計8年かかるというわけで。
 
 それでも土中から顔を出す。成虫へ脱皮。それは綺麗なもんですよお。
 そのとき、やっと眼ができるわけです。
 おんぎゃあ。
 そこから7日~2週間、ひたすら鳴いて奥さんを見つける。
 そして、ある蝉は卵を産み、ある蝉はカラスやヒヨドリに食われる。

 この1週間が蝉というものでさあ。
 海から上がった多細胞生物は、始めから土中になどいはしない。土中が安全だから、小さいうちは土中で過ごすものもある。しかし、その本体が土中生活といわれたら、それは違う。蝉もそう言うだろう。そうでなければなんで地上でカラスに食われなきゃならないんだ?
 べつに交尾が必要とか、そういう問題ではない。蝉個人にとってはそんなことは問題ではない。
 最後の1週間に、樹液を吸う以外の行動を体に漲らせたとき、彼は自分の思うとおりの新たな行動を表現しまくる。それが蝉の本体であり、そのための土中の7年間だ。
 土中でケラや蟻に食われた幼虫は、本体ではなく、志半ばに死んだ者なのだ。
 
    そりゃ、実際はどちらでもないさ。ただ、生命体が1年と7年と7日間存っただけ。
    そんなことはあたりまえだ。他人がどうとかいうことではない。
    しかし、生きているものの心の中では、蝉は最後の7日があるから蝉なのだ。

(注:いいたがりのネット情報に、「蝉はもっと長く生きる」とかいうのがあります。
   ところで、当家の8メートル先の地帯では蝉が5百から千、生まれた穴が開きます。
   でジージーと(その後ミンミンと)鳴きだすのが7月末、蝉が当家の玄関前で死にだすのが8月始め。とゆうわけで、少なくとも油蝉は7日ほどの命ですね(毎年計算してるもんで)。そうでないと、玄関前の死体の生体は幽霊になっちゃいますね。
   蝉穴の数が膨大になるのが8月始め、狂ったように集団で死に出すのがお盆の最中から。なのでミンミンゼミは15日生きる可能性はありますが。)
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見田の「関係の絶対性」って

2010-09-02 22:34:35 | 社会学の基礎概念
 こんばんは。
 疲労解除で忙しいのですが、朝日新聞の夕刊が気になって。
 一般の方は読まずにどうぞ。パスしてください。
 
 朝日の夕刊に、例の松本記者の特集があるのですが、(毎日書いてるのかな? そうならそれもすごいが)
 本日は見田宗介が出てまして。
 いわく
「見田は、憎しみや復讐の感情が、抑制のきかない力として人間を支配してしまうことを、(吉本隆明をふまえて、)関係の絶対性と呼ぶ。」ここまでは、前に挙げた松本記者のまとめの言。いいよ、新聞記者が吉本隆明を知らなくても罪はない。
 で、見田いわく、そこに「イラク戦争の最も困難な本質と核心がある。」だとか。

 見田という男は、曲がりなりにも長年東大教授だったくせに、社会学に何一つ果実を残さなかった男だが、害毒まで流されては困る。

 吉本隆明の関係の絶対性とは
 「人間の意志はなるほど、選択する自由をもっている。選択のなかに、自由の意識がよみがえるのを感ずることができる。だが、この自由な選択にかけられた人間の意志も、人間と人間との関係が強いる絶対性のまえでは、相対的なものにすぎない。(…)人間は、狡猾に秩序をぬってあるきながら、革命思想を信じることもできるし、貧困と不合理な立法をまもることを強いられながら、革命思想を嫌悪することも出来る。自由な意志は選択するからだ。しかし、人間の情況を決定するのは関係の絶対性だけである」(「マチウ書試論」1954)
(「芦田の毎日」よりコピー。芦田さんて誰かな?)

 関係の絶対性とは、決して感情の絶対性などではないのだ。
 てゆうか、わたしゃ吉本の専門家などではないが、上記によればそうじゃないでしょ?
 日本語を素直に読めば、人間が行動する際に考慮する背景(=情況)とは、彼の関係のみだ。すなわち、人間の(感情からも派生する)個人の意志は、現在人間個人が持っている彼の人間関係を越えて現実的表現をすることはない、といっている。

 つまり、平たく言えば、どんなに私の思想がどうだ、とか宗教があーだ、とかいいかっこしようと、彼が周囲に表明できることは結局自分の社会関係に規定されているのだ。といっている。

 なにが「感情」だよ。

 イラク戦争にはいくつもの困難があるが、少なくとも憎悪の感情が核心であったことはないし、これからもない。イラク戦争の核心は、どうやって、隣人や知り合いの彼や彼女とうまくやりながら家族を養って食っていくか、以外にあるものか。もちろん、「その中で、できれば」復讐もしてやりたい、ということなのだ。
 (注:さらにもちろん、「その中で」、つまりそうした人々に賞賛を供給されながら(ここが大事なのだ)、養う家族のない人間は、誰が見たって敵であるアメリカ軍とその手先に一撃を加えんとするのだ。ここまで読むような人は男だろうからシンプルに言うが、あなただって一緒でしょ。)
 イラク人民の持つ関係の絶対性とは、あるイラク人Aを取り巻く、家族、共同体、消費物資の供給組織、の持つ絶対的な抽象的人間影響力と、その影響力を肯定的に動因化する具体的個人の志向性のことなのだ。

 ったく。吉本が泣くぜ。

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