
いろいろと準備を進めていた、都市計画セミナーの概要がようやく決まりました。
このセミナーは年に2回開催することになっていますが、今年の第1回目のテーマは、「鉄道資産・鉄道遺産を活かしたまちづくり」です。
これは、北海道の鉄道路線の維持問題が議論されるなかで、各地における鉄道遺産・鉄道資産を活かしたまちづくり事例、ならびに、鉄道資産を活用する地域のまちづくり計画などを学び、各地の活性化に資する議論の場としようという試みです。
考えてみれば、北海道の鉄道は昭和の後半をピークにして、採算の問題から既にいろいろな路線が廃線の憂き目に会っています。
それはそれで残念ですが、それでも残された鉄道関連の敷地や施設、そして鉄路まで未だに残っているところだってあって、それらが今でも観光や地域振興のために利活用されている事例は、そこかしこにあります。
それには地域それぞれの事情があったり、工夫もあったのでしょうが、そうしたことを改めて学んで、これからのまちづくりに生かしたいというのが、今回のセミナーです。
開催日時は、平成30年11月10日(土)の10:00~12:30で、会場は道庁赤れんが庁舎の2階にある2号会議室。
この企画を立ち上げた時に、何人かから言われたのが、「そういう活動をしている団体がもうあるのではないか」ということ。
それが、「北海道鉄道観光資源研究会(代表 永山茂 氏)」だったのですが、私は個人的に永山さんを存じ上げていたので、すぐにご相談に行ったところ、逆に、「それは多くの方が興味を持ってくれる良い機会になるかもしれないので、お互いに協力し合ってやりましょう」と快諾をしていただきました。
さらに、「それに、11月上旬に北海道鉄道観光研究会で、『2018展示博覧会「北海道の鉄道 過去、現在、未来」を開催することになっているので、そこで一緒にそのセミナーをやってはどうですか?」と逆提案までいただけました。
そこで場所と時間が決まり、あとはどんどんと話が進んだというわけです。
ある意味、鉄道ファンには当たり前の世界かもしれませんが、それをしっかりと観光行政やまちづくりに結び付けて行くという活動につなげたいところです。
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セミナーは、基調講演とパネルディスカッションの2本立てで、基調講演には釧路市立博物館学芸員の石川孝織さんにお願いしました。
石川さんは炭鉱や地域の鉄道の歴史などを調査研究している方で、私が釧路市役所にいた時代にもいろいろとお世話になった方ですが、自他ともに認める鉄道ファンで、いわゆる「鉄男」というやつです。
今回も、そんな地域の鉄道遺産・鉄道資産の魅力を高めるにはどうしたらよいか、という講演をお願いしたところ快諾してくださったのですが、さらに最近、石川さんがまとめ上げた「釧路・根室の簡易軌道」という報告書が、鉄道史学会「住田奨励賞」と、鉄道友の会「島秀雄記念優秀著作賞」を受賞したという報せが舞い込みました。
どんな面白い話が聞けるでしょうか。
また、パネルディスカッションでは、増毛町の堀 雅志町長をお招きして、廃線となったJR増毛線の旧増毛駅を、写真や住民の記憶を基に旧駅舎に近い建物として開業当時大きさに復元し、今年4月にオープンした事業について、まちづくりに与える効果など、堀町長の考えを伺えます。
さらにもう一人のパネラーは、陸別町商工会議所事務局長の杉本武勝さん。
陸別町では旧ふるさと銀河線の駅を道の駅「オーロラタウン93りくべつ」として活用していますが、こちらは廃線をものともせず、鉄路を残したうえに、駅構内で、かつて銀河線で活躍した列車の「乗車体験」や実際に運転できる「運転体験」、足こぎ式の「トロッコ」に乗ることもできるという鉄道ファン垂涎のサービス事業を行っています。
おまけに、今年度は銀河コース2回以上乗車のリピーターに対し、総延長2.8kmの新銀河コースまで新設されたとか。
どうしてこんな鉄道施設の残し方や利用の仕方ができたのか、まことに興味深い事業です。
基調講演の石川さんにはコメンテーターとして、この話の輪に加わっていただいて、大いに鉄道話とまちづくりの話で盛り上がってほしいものです。

鉄道はもちろん、人流・物流のための公共施設ではありますが、地域の歴史的なシンボルであり、それを生かすことで地域に魅力と活力を生み出せないものか。
当日は会場からも意見や質問を受けられるように準備をいたしましょう。
さて、まずは都市計画学会のホームページにこのチラシを貼り付けるところからです。
ご興味がおありの方のご来場をお待ちしています。申し込みはなくても入れるのですが、定員が一応100名となっています。
【都市計画セミナー 「鉄道資産・鉄道遺産を活かしたまちづくり」】
日 時 : 平成30年11月10日(土)10:00~12:30
会 場 : 道庁赤レンガ庁舎 2階2号会議室
札幌市中央区北3条西6丁目 (電話 011-204-5019)
参 加 費 : 無 料 (定員100名)