北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

旅先でのおもてなし

2018-10-24 23:46:17 | Weblog

 

 出張中の車中で、同乗者と四方山話をしていて、「おもてなし」の話になりました。

 同乗者の一人の方が、「そういえば、数年前に秋の紅葉真っ盛りの時期に層雲峡に泊まったんです。シーズン最盛期なので、まず宿など取れないと思っていたのが、キャンセルがあったのか、偶然に部屋が一つ空いていたので、急きょ予約して妻と行ったんです」

「紅葉は綺麗でしたか」
「ええ、それはもう、ロープウェイで上る途中からもうきれいで、ロープウェイを降りて少し歩いたくらいでしたが、これは素晴らしい観光素材だなあ、と感心する美しさでした」

「ロープウェイも混んではいなかったのですか?」
「そうそう、それがね、泊まった旅館の女将さんの一言が良かったんです」

「…といいますと?」
「前日に宿に着いた時に、『ぜひ明日はロープウェイに乗って紅葉をご覧になると良いですよ』と言われた後に、『でもご朝食の前に行かれた方が良いと思います。朝食後になるともうロープウェイも混雑いたしますので』と来たんです。その一言で、こちらも『なるほど、じゃあ朝一番のロープウェイに乗ってきます』という、そんなやり取りがあって、早朝のロープウェイで良い思いをした、というわけなんです」

「それは良かったですね」
「ただ来たお客を泊めて、料理を出して、お金を取る、というのでも商売は成り立つのでしょうけれど、これが時間が遅れてロープウェイを散々待たされたりしていれば、折角の紅葉の印象もちょっといやな思い出になっていたかもしれません。こういう客思いのおかみさんの一言こそが『おもてなし』だなあ、と思ったのです」


    ◆


 そんな車中の会話をしていた出張から自宅への帰り道に一本の電話がありました。

 「080-××××…」とは見慣れないナンバーです。

 電話に出てみると、「もしもし、小松様のお電話でしょうか」「はい、そうですが」

 すると相手は、「私、網走○○ホテルの△△と申します」

 なんと昨夜出張先の網走で泊まったホテルの関係者からの電話です。一瞬、(なにか忘れ物でもしたかな?)と思ったのですが、違いました。

「小松様、本日はお部屋のLANケーブルについて、貴重なご指摘をいただき、まことにありがとうございました」

 ははあ、昨夜泊まったホテルでのLANケーブルのことのようです。

 このホテルでは、部屋に持ち込んだパソコンやスマホでインターネットをするのに、パスワード付きの無線LANサービスもあるのですが、セキュリティのために、部屋にあった有線のLANケーブルを使おうとしたのです。

 ところが部屋のケーブルは先っちょのコネクタの爪が取れてしまっていて、使えませんでした。ケーブルも机の裏から配線されていて、フロントに言って替わりのケーブルを持ってきてもらっても簡単に交換できないような感じだったので、結局通信は無線LANで行いました。

 ただ部屋を出る際に、メモに「部屋のLANケーブルの爪が取れていて使えませんでした。改善を希望します」と書いて、ケーブルの傍に置いて帰りました。

 この電話は、そのホテルからの単なるお礼の電話でした。

「ご指摘の点について調べて見ましたら、他のいくつかの部屋でもケーブルのコネクターの爪が折れているところがございました。早急に交換に入らせていただきます。貴重なご指摘へのお礼でございます。ありがとうございました」

 さすがに老舗のホテルだからか、対応がずいぶん丁寧で好感が持てました。

 折角部屋に備えてあるサービスが使えないというのは、残念なことです。

 ちょっとした指摘でしたが、これがより良いホテルとしてのおもてなしに繋がれば幸いです。

 お節介もたまには良いですね。 

コメント
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