「止むにやまれず、やらねばならぬ」という思い、これを致知という雑誌では、「内発力」と名付けました。
致知の9月号の特集テーマは、その「内発力」。
外からの刺激に寄らず、自分自身の内からの欲求によって湧き出す力にほかなりません。
致知出版社が発刊した「プロフェッショナル100人の流儀」という本は、まさに各界一流のプロの珠玉のような言葉が紹介されていますが、この100人に共通しているのはその内発力です。
例えば人間国宝の講談師、一龍齋貞水さんのことば。「教えてくれなくちゃできないって言っている人間は、教えたってできない」
この9月号では、侍ジャパンの監督を務めた小久保裕紀さんが毎日新聞に書いた、『イチローについての忘れられない思い出』が紹介されていました。
小久保さんはプロ2年目に本塁打王を獲得したのですが、それで天狗になってしまって翌年は散々だったそう。
それに対してイチローは3年連続の首位打者へ驀進中。
その年のオールスターゲームの際に、外野を二人でランニング中に小久保さんはイチローに「モチベーションが下がったことはないの?」と訊いたのだそう。
すると返ってきた答えは、「小久保さんは数字を残すために野球をやっているんですか?」というもの。続けて「僕は心の中に磨き上げたい石があって、それを野球を通じて輝かせたい」と言ったのだそう。
彼の一言で、「野球を通じて人間力を磨く」というキーワードを得た、と小久保さんは述べたそうです。
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少しでもそんな姿にあやかりたいところですが、自分の内発力はどこへ向かっているでしょうか。
たまにこういう話を紹介されると、背筋が伸びる思いです。