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「駿河安蘇備 上」を読む 72

2月15日、咲くかと見えた庭のシュモクレン
後の寒さにつぼみのまま先枯れしてしまった

はりはら塾の展示、午後に行き、準備を終えた、6人ほど手伝いに来ていただいたが、10分も掛からずに終わった。

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「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。

一 御霊社 手越村にあり。 高林寺
略縁記 駿河国安倍郡手越村、御霊大明神は、甲斐源氏一條右衛門
太夫信龍三代、松井総左衛門正近の長男、母、玉を呑むと夢見て、
懐胎十七ヶ月を経て、寛永十六卯(年)十八日卯上刻、泰産す。左に白玉
※ 泰産(たいさん)➜ 安産。
を握りて誕生し給いぬ。八十郎と名付く。その成長、凡(ぼん)ならず。常に
人の上に席を設け、足、土を踏まず。、他に越え給いぬ。既に星霜十三歳、慶安
※ 術(じゅつ)➜ わざ。技芸。また、学問。学術。
四年卯九月十二日より病を生ず。正近、夢見る事あり。白馬、白衣にて
相向いて云わく、わが死近かるべし。剃髪する事なかれ。装束を對し、葬るべし、
※ 對す(たいす)➜ 対応する。応じる。
と告げて夢覚めぬ。果して七日を過ぎ、同十八日卯上刻、俄然として逝(ゆ)きし
給いぬ。前の告げの如く装束を着、葬三七(27)日を過ぎて、正近の所に来たり。悦然として、
   我れなしと 流れを汲むや 一筋に
     なお水上(みなかみ)の あるに任せて
一首の和歌を詠じ去りぬ、翌年の春、
禁庭御夢、白衣(びゃくえ)の童子侍り、我は駿河の国、手越の郷に住して、
※ 禁庭(きんてい)➜ 宮中。御所。禁裏。
国家を守護し、開運長久を守るべしと 御夢覚め給いしに、
(まさ)しく、前なる和歌の短冊ありて、その裏に、駿州松井氏亡子と書きたり。
勅在りて問わしむるに、符合す。則ち、宸筆を給り、吉田兼起
※ 宸筆(しんひつ)➜ 宮中。御所。禁裏。
勅を承て、神祇勧請、幣帛、宝輪御箱を下し、正近頂戴し、
また翌年四月朔日、二位大明神の 勅許在りしめ給う。
この地、森なるによって、高林と言いしより、高林庵という。吉田家より
高林霊社と書き給わりぬるより、社地を築き、高林寺と改め、正近
遁世して、この庵に住しという。
(つづく)

読書:「白浪五人女 日暮左近事件控 11」 藤井邦夫 著

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