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「駿河安蘇備 上」を読む 71

正月の鏡餅の、ボール紙の「三方」が
ひっくり返って花活けになる

土曜日、2講座の準備を終えた。明日ははりはら塾の発表会の準備をする。

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「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。

岡部日記 加茂翁の紀行 九月十日、俄かに思い立ちて、遠江に
まかる、云々。十三日、駿河の国府に至りぬ、云々。ここを過ぎて、
安倍川のこなたを佐渡(さわたり)と云う。今年五月の頃、安倍川の上、川
瀬に水あふれ、堤切れて、行く甲斐も絶えにきと、武蔵まで音
早く聞えし所なり。今はその水船の上に横ざまに、石込め
たる籠、多く差し出してければ、水向かうさまによりて流るれば、
こなたはかつ/\落つるなり。それがみさかりに、瀧もげに落ちけん
※ みさかり(真盛り)➜ ちょうどさかりであること。まっさかり。
かとも見えて、幅八町ばかり、長さは六十余町などにて、やがて
海に至れりと云えり。行く側辺(そばえ)の里、草木は水屑(みくず)となり、
人は魚とこそなりけめ。その折りのことを聞くに、或いは、家ながら
流れ行くに、老たるも若きも、「助け給え」と声を限り、
呼べど、(くが)に見る人、いかで/\と手かくものから、術(すべ)なく、
※ 陸(くが)➜ 陸(りく)。
※ 手搔く(てかく)➜ 手を左右に振って、中止や禁止の合図をする。
或るは命をからく遁れしも、なり所も家もあらず。老たるは
※ からく(辛く)➜ やっと。 かろうじて。 
※ なり所(業所)➜ 生産のための田地と、そこに設けた宅地。
子を失い、若きは親に離れ、悲しみ合えりとぞ。今も、
さる類いの人の、片羽となりて、そこら道に臥して、
何かなと、路行く人の心苦しく思わぬはなし、云々。

長者屋鋪跡 少将社の前にて、この辺(ほとり)すべての名なり。
長者の井というあり。上の井、下の井と二つあり。
(つづく)

読書:「遺恨 鬼役 四」 坂岡真 著
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