平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「駿河安蘇備 上」を読む 58
改修なった静岡浅間神社
午後、静岡県立中央図書館に用があって、女房とに行く。用件は思ったより早く済み、少し遅いが、静岡浅間神社に初詣。
「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。
寶永六丙申年二月二十八日、日野中納言輝光卿、奉納。
春ハ者那 秋ハ紅葉乃 色可へて
丹しき織出春 志津者多のやま
(解読) 春は花 秋は紅葉の 色変えて
錦織り出す 賎機の山
賎機山を詠む歌 権中納言為綱卿
む可し堂禮 衣をり介ん 志王ざよ里
志川゛者多山の 名尓もた川らむ
(解読)むかし誰れ 衣織りけん 仕業(しわざ)より
賎機山の 名にも立つらむ
志豆機山 光鏡太夫實陰
雲鳥能 阿やをも山乃 志川゛者多に
織や丹しきの 春秋の以ろ
※ 雲鳥(くもどり)➜ 雲に鳥、特に鶴を配した文様。
(解読)雲鳥の 綾(あや)をも山の 賎機に
織るや錦の 春秋の色
また廟後ろの山より、不二の峰、甲信の山々見渡し、眺望言うべくも
あらず。弥生の頃は、人々袖降り延えて、さゝえ、わりこ、小瓶、また瓢(ふくべ)
※ 袖振り延う(そでふりはう)➜ 袖を大きく振り動かす。
※ ささえ ➜ 酒を入れる携帯用の竹筒のこと。
※ わりこ(割子)➜ そばなどを盛り付ける木製の容器。
というものへ、酒調え来りて、おのがじし、たうべつゝ、糸竹の調べおかしく
※ おのがじし ➜ 各自それぞれ。思い思いに。
※ たうぶ(食ぶ)➜「飲む」「食ふ」を改まっていう丁寧語。いただく。食べる。
※ 糸竹(いとたけ)➜《「糸」は琴・三味線などの弦楽器、「竹」は笛・笙などの管楽器》和楽器の総称。
だみたる声に、今様唄ふなど、いと興あることになん。
※ だみたる(訛みたる)➜ 言葉がなまる。声がにごる。
※ 今様(いまよう)➜ 今の世のはやり。当世風。今風。また、今様歌。
〇う春く(薄く)こく(濃く) 立(たつ)や霞の ぬきを阿らミ
志づ者多山の 明可多の空 可安
〇薄く濃く 立つや霞の ぬきをあらみ
賎機山の 明け方の空 可安
※ ぬき(緯)➜ 織物の横糸。
※ あらみ(粗み)➜ 粗いので。
神部神社 名古屋社を言うとなり。式内の一社なり。
【上段の記事】
一 浅間社神主を、端午の節句尓、茅巻(ちまき)を
神納春る。餅飯(もちひ)の中尓、椿の灰(あく)を入れる越、
古製といふ。源氏物語、若紫の上の
巻、蹴鞠の宴の條、つばい餅飯とあるなど、
異製の残れるなり。
※ 椿餅飯(つばいもちひ)➜ 平安時代に、軽食代わりとして食べられた餅菓子。
(つづく)
読書:「刺客 鬼役 弐」 坂岡真 著
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