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「駿河安蘇備 上」を読む 81

庭のヒヤシンス
もう20年も植えたままで、毎年季節に花を咲かせる
しかし、色や花数などは段々手抜きになっている

「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。

薬沢 井川の内、金山なれども、外にては出さず。この村のみ河原
の砂を沙汰して、砂金を採りて出す。俗に、ホン金又沢流れと云う。
田代 諏訪神社あり。諏訪山というなり。井川七郷の惣氏神にて、
三年に一度、七月二十六日大祭りあり。河原へ神輿を幸せしめ、
※ 幸す(こうす)➜ 天皇・法皇・上皇が外出する。 行幸する。
男女とも昼夜集会して、歌舞をなす。唱歌、古雅にして、
※ 古雅(こが)➜ 古風で優雅なこと。
踊りもまた古風なりとぞ。男女、手を携えて、古えの歌垣もかゝる
※ 歌垣(うたがき)➜ 古代、求愛のために、男女が春秋二季、山や市などに集まって、歌い合ったり、踊ったりした行事。
さまなりやと云う。三住嶽、この村にあり。
小河内 井川の極まりなり。刎橋(はねばし)あり。長さ十五間、高さ七間余、大井川に架(か)す一本
の大木を、山岸の大巌に穴を掘り、それより刎ね出ず。その下、急流
なり。その橋へ登る時は、河原より岩上まで階子(はしご)七間余ありとぞ。
その上より、橋懸かりたれば、見るだにも怖ろしと云う。薪木(たきぎ)
背負いて、架する。その土(土地)に生れたるものならでは、往来し難し。
余国にまれなりという。
三ッ峯山御林 登り一里余の大山なり。笹金山、大日嶺に連
なり、西おもて、山崎、上坂、小河内に跨る山の後ろは、梅ヶ嶋
なり。この山、金山にして、古く金を掘りし所にて、今も間歩(まぶ)の跡あり。
※ 間歩(まぶ)➜ 鉱山で、鉱石を取るために掘った穴。坑道。
河内嶽、聖ヶ嶽、赤石嶽 井川の奥山、高大なること知るべし。
嶮岨なること、四時(しいじ)雪の消える事なし。この嶺を越えれば、かの
※ 四時(しいじ)➜ 一年の四つの季節、春夏秋冬の総称。四季。
甲斐、信濃へ四十里、人家なき地なり。
(つづき)
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