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「駿河安蘇備 上」を読む 69

静岡中央図書館から借りだした「硯屋日記」⑴~⑷
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「硯屋日記」は江戸中期、隠居した駿府の商人の日記である。県史編さんのため集められた資料の一つで、すべて筆で写したものである。しかし。県史に取り上げられることはなく、原本も失われて、今はここに残るだけである。今後も読まれる(解読)ことはないだろうといわれている。

日記の主は、硯屋与惣次。日記の始まった時、76歳と、自分の現在の年齢と同じで、親近感を感じた。800頁に及ぶ細かい文字で書かれた文書、最後まで読めるかどうか、わからないが、読み始めてみよう。江戸の駿府の商人がどんな老後を過ごしたのか、知れるであろう。

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「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。 

御巣鷹(おすたかやま) 御林八重山 入島村にあり。三河内山、大城山もこの村内なり。
何れも高山にて、なお深山、高嶽、数え難し。また大河内村の水源、この村
より出る。一つは甲斐、雨畑の麓より流れ、三河内と云う谷に寄りて、
五色崩れと云う所に出る石は、雨畑の石と同じくして、硯に
よし。一つは大代山の奥、わりほんまの沢(井川笹金山の梺なり)より出る。
大谷崩れを過ぎ、この間の石玉に似たるもの、烏(からす)水晶
の類いを出す。二水、日蔭沢の辺りにて、他の流れに合流し、
※ 二水(にすい)➜ 二つの流れ。
山々、谷々の沢水、入島の前にて落ち合い、谷間三里を
流れ、渡村、中平を過ぎ、中沢村にて、中河内川と一つに
なりて、安倍川となる。

温泉 この村、小地名三河内と云う谷間にあり。人家離るゝこと
一里、温泉は二所、川の西岸にあって、浴するもの宿る小屋は
東岸にあり。癬子(たむし)、瘡疥(そうかい)によし。幽谷なれども、文禄五年、
※ 瘡疥(そうかい)➜ できもの。
中村式部少輔一氏、領主たりし時、浚(さらわ)す処の古文書、梅ヶ島
名主義兵衛の家に蔵す。
(つづく)
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