平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
亜熱帯ジェット気流の仕業
梅雨も後半に入り、日本のあちこちでゲリラ豪雨が暴れて被害が出ている。「観測が始まって以来の大雨」というのが、慣用句になってしまった感がある。都市では短時間の豪雨で下水道が捌ききれずに噴出し、道路や店舗が冠水、地下街が沈没というような都市型洪水が起きる。山間地では土石流が砂防ダムを乗り越えて落ちてくる。もはや、表層の山崩れに留まらず、「深層崩壊」という耳新しい言葉も飛び出している。鹿児島県、福島県、埼玉県など日替わりで大雨に襲われている。
世界に眼を広げると、ニューヨーク39℃、北京40℃、マドリッドで44℃、など、各地で異常高温を記録している。その解説を聞いていると、亜熱帯ジェット気流という新しい言葉が飛び出してきた。世界に広がるこの暑さはエルニーニョで温まった大気が亜熱帯ジェット気流に乗って世界をぐるぐると回っており、亜熱帯ジェット気流の直下にある都市が酷暑に見舞われているという。
亜熱帯ジェット気流は大きく蛇行しながら回っており、日本が酷暑の見舞われないのは、亜熱帯ジェット気流が日本上空で南へ大きく蛇行し、太平洋上空にあるためである。日本上空は北から流れ来る冷気との狭間になって、梅雨前線が停滞して、日本列島に雨をもたらすことになる。世界が酷暑の分、日本の梅雨は激しく降って、記録を次々に塗り替えることになる。どちらにしても異常気象はエルニーニョと亜熱帯ジェット気流が引き起こしているのである。温暖化が二酸化炭素のせいかどうかはまた別の次元の問題である。
同じ理由で、日本周辺では台風の発生が現在まで1個と、例年に比べて極端に少なくなっている。台風が発生する地域の近くを亜熱帯ジェット気流が通っているので、エネルギーをそちらに取られて、台風が十分に発達できないのである。この状態は何時まで続くのだろうか。
気象庁の予測では7月の終わりには南九州が梅雨明けすると思われるが、本州が梅雨明けするのは8月に入るかもしれないという。涼しくて凌ぎやすいのは良いのだが、梅雨が長引くと凶作の心配が出てくる。妙に昨日今日は涼しいのが不気味である。
同じように冷夏であった平成5年の自分の記録に、
冷夏の終わりに少しの残暑が来て、それもこの夏何度目かの台風に雲散霧消し、いよいよ秋になった。‥‥ 今年は冷夏のため蝉の羽化が遅れ、八月も後半になってクマゼミもツクツクホウシも一斉に鳴き出した。九月末の今鳴いている蝉はミンミンゼミである。懸命な鳴き振りだが、心無しか力がない。
とあった。平成5年の夏は梅雨の状態が8月まで及んで、暑い時期がほとんど無いままに9月を迎え、その秋はお米が大凶作となった。
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