ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

明治天皇6~国民に呼びかけた教育勅語2

2012-08-04 08:38:28 | 皇室
 次に教育勅語の原文と現代文訳を掲げます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●原文

教育ニ關スル勅語

朕惟フニ我カ皇祖皇宗国ヲ肇ルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥ノ美ヲ済セルハ此レ我カ国體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス

爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン

斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

明治二十三年十月三十日

御名御璽

●現代文訳

 私は、天照大神を皇祖とし神武天皇を初代天皇とする私達の祖先が、八紘一宇の理想世界の実現という遠大な理想のもとに日本の国を始め、また祖先が立てた道徳は、実に奥深く慈しみ厚いものであることを固く信じます。そして、国民がよく君に忠義を尽くし、父母に孝行を励み、全国民が心を一つに合わせて、今日に至るまで、忠孝の美風を作り上げてきたことは、日本の国柄の最も優れた美点であって、私は教育の根本もまた、この点にあると信じます。
 国民の皆さんは、子は親に孝養を尽くし、兄弟、姉妹は互いに仲よく、夫婦は敬愛の心をもって睦まじく、友人は誠の心をもって信じ合い、他人に対しては礼儀を守り、自分に対しては慎み深く、広くすべての人々に愛の手を差し延べ、学問に励み、職業を習って身につけ、知識を広めて才能を伸ばし、立派な人格を完成し、さらに進んで、公共の利益を増進し、世の中のためになる仕事をすることが大切です。また、いつも法律や秩序を守り、もし一たび国家に非常事態が起こったならば、正しい勇気をもって、真心を捧げて、天地とともに限りなく栄える、皇室を中心とした日本国の運命を助けなければなりません。
 これらの道徳を良く実行することは、単にわが国の立派な国民としての当然の務めであるばかりでなく、私達の祖先が、今日まで身をもって示し残された、忠孝という伝統的美風を、更にいっそう明らかにすることでもあります。
このような国民の歩むべき道は、祖先が残し、代々受け継がれてきた教訓であって、皇室の子孫も、国民も等しく守ってゆかねばならないところであると共に、昔も今も、いつの時代に行なっても誤りがない道であり、日本だけでなく、世界中どこの国で行なっても、間違いのない道であります。
 私もまた、国民の皆さんとともに、父祖の教訓を常に胸に抱き、この道徳を守り実行して共にすることを、心から念願するものであります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 さて、ここで特に注意したいのは、教育勅語は、明治天皇が天皇が国民に一方的に命令したものではないことです。天皇は自ら実行するともに、国民に一緒に実行しようと呼びかけているのです。すなわち、敬神崇祖・忠孝一本の道であり、親子一体、夫婦一体、国家と国民が一体の精神を、天皇は国民に対してともに実行しようと呼びかけているのです。
 教育勅語には、わが国の教育の理念・目標が説かれています。さらにその短い文章の中に、教育勅語には、日本人が古来受け継いできた自己本来の日本精神が、よく表現されていることがわかるでしょう。
 ところが、大東亜戦争の敗戦によって、わが国は外圧によって、教育勅語を失うこととなりました。GHQの銃砲の圧力の下で、昭和23年(1948)6月19日、衆議院は「教育勅語等排除に関する決議」を行い、参議院は「教育勅語等の失効確認に関する決議」を行いました。こうして教育勅語は事実上、廃止されるに至りました。
 戦後日本の教育は、日本国憲法と教育基本法の下で行われてきました。そして、教育勅語は、廃止されたまま顧みられずにきました。その結果、明治天皇がおそれたことが起こっています。教育勅語は、西洋文明の摂取に急ぐあまりに、伝統的な道徳を軽視していた風潮に対して、わが国の教育の根本となる理念・目標を打ち出したものでした。それゆえ、教育勅語を否定すれば、必然的に、学校教育から伝統に基づく道徳が欠落し、西欧の模倣追従となります。同時に、家庭での教育も指針を失ってしまいます。学校で家庭で道徳的な価値観が喪失され、物事の判断基準が見失われます。まさにそれが、戦後日本において起こったのです。
 教育勅語という支柱をなくした教育が、戦後長く続いていることによって、教育には甚大な影響が出ています。将来を担う青少年の退廃、堕落は、底知れぬ深刻さを示しています。また、家庭が崩壊に向かい、社会は混乱し、国家の溶解が進んでいます。このまま精神的な支柱を見失っていれば、わが国は、亡国の道を歩むでしょう。
 戦前の教育がすべてよかったわけではありません。欠陥もあれば、ゆき過ぎもあったでしょう。しかし、その中の良いものもすべて否定してしまっては、精神的な低下が起こるのは当然です。教育勅語には、何千年もかかって培われてきた日本独自の道徳が結晶しているからです。そえゆえ、教育勅語の再評価と復権を行い、その内容のうち、現代に生かせることは、生かしていくべきなのです。
 ただし、教育勅語の復権だけで充分なのではありません。21世紀において、大きな危機を乗り越えるためには、さらに深く、日本精神の真髄を学ぶことが必要です。またそれによって真の教育改革を実現でき、また新しい日本を築いていくことが初めて可能となるのです。

 さて、明治天皇の遺徳を称えるには、昭憲皇太后の事績を振り返ることが欠かせません。そこで続いて、昭憲皇太后について掲載します。

関連掲示
・拙稿「教育勅語を復権しよう」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02c.htm
 本稿のもとになっているものです。本稿はその短縮版です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿