ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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キリスト教244~人類最大の危機:核戦争と地球環境破壊

2019-08-29 09:39:19 | 心と宗教
●人類最大の危機~核戦争と地球環境破壊

 近代西洋文明は、人類に飛躍的な進歩をもたらした。だが、その半面で多くの弊害をもたらした。弊害の最たるものは、人類を絶滅しかねない核兵器の開発であり、また文明の土台を危うくする地球環境の破壊である。これらの地球規模の諸問題の発生と深刻化に深く関係しているのが、キリスト教である。
 現代の人類は、今日の危機をもたらした原因を究明し、文明のあり方を根底的に改めるべき時に来ている。核兵器・地球環境破壊等の問題は、まぎれもなく、人間の心が生み出したものである。物欲や金銭欲、支配欲や権力欲等が、こうした危機の原因になっている。そして、より深く危機の根底を見すえるならば、現代の根本問題は、近代科学の急速な発達によって、欧米人を始めとする人類が人知を過信し、傲慢不遜になっている事実にあることが浮かび上がってくる。近代から現代にかけて、人間は知恵ばかり発達して、道徳的にはほとんど進歩していない。いやむしろ後退しているとすら言える。この点を反省し、自己過信の愚を改めなければならない。
 人類存亡の危機の時代にあって、人類を善導すべきものが宗教であるが、既成の宗教は、キリスト教をはじめ、ユダヤ教にせよ、イスラーム教、ヒンドゥー教、仏教その他の宗教にせよ、みな科学が未発達だった時代に生まれた宗教である。これらの前近代に生まれた宗教は、旧来の価値観を絶対化し、それと異なるものを否定したり、排除したりする傾向がある。今後もその態度を取り続けるならば、宗教間の対立・抗争をはじめとして、それと深く絡み合っている民族間・国家間・集団間の対立・闘争はどこまでもやむことがないだろう。果ては、共倒れによる滅亡が待っている。
 既成の宗教が生まれた時代に人類が使っていた武器は、剣と槍と弓だった。しかし、その後、人類は核兵器を開発し、とてつもない破壊力を手にした。核兵器による第3次世界大戦という最悪の事態に至れば、人類のほとんどは死滅し、地球上の生物の7割までも死滅する恐れがある。そのような核の時代において、既成宗教は、かつての剣・槍・弓の時代に生じた観念にとらわれていてはいけない。そして共倒れによる絶滅ではなく、共存共栄の道を求めなければならない。
 キリスト教には、世界最大の宗教として、危機的な状況を打開し、人類を平和と繁栄へと向かわせる役割が期待されるところだろう。だが、キリスト教は、その期待に応えられていない。それどころか、今日の世界の対立・抗争を助長・激化させてさえいるのが、これまでのキリスト教である。
 人類は、20世紀に2度の世界大戦を行った。2度とも大戦の舞台となったヨーロッパで戦いを繰り広げたのは、キリスト教国であり、またはキリスト教が支配的だった国である。キリスト教徒は、その戦争の中で新たな科学兵器を開発し、殺戮と破壊の規模を拡大し、遂に核兵器を開発・使用するに至った。
 第2次世界大戦後は、年々核兵器が威力を増し、多くの国に拡散し、人類は自滅の瀬戸際に迫った。キリスト教国のアメリカに対抗して核兵器を開発し、これと対峙したのは、ソ連だった。ソ連は、キリスト教への批判の中から現れた無神論的共産主義に基づく国家だった。共産主義は極度の合理主義の思想であり、宗教に対して否定的で、これを厳しく規制する。米ソ二大超大国の対立は、キリスト教対反キリスト教という一面を持っていた。
 米ソの冷戦期は、恐怖の均衡が続いた。ソ連が崩壊に至ったことによって、当面の核戦争は避けられた。その後、米国が唯一の超大国となり、一時は「パクス・アメリカーナ」が実現した。しかし、21世紀に入ると、米国の衰退が目立ち始め、一極支配から多極分散の傾向が強まっている。その中で共産中国が急速に強大化し、米国と世界的な規模で覇権を争っている。今後、米中の対立・抗争が激化すれば、世界は再び熱戦すなわち世界戦争へと向かう可能性を孕んでいる。共産中国は、宗教に厳しい規制をかけ、チベットでは仏教、新疆ウィグルではイスラーム教を迫害し、また本国ではキリスト教への弾圧を強めている。
 世界戦争と核開発の原因の一端は、キリスト教にある。キリスト教には、そのことへの真摯な反省と自己改革を通じて、人類の最悪の危機を回避するための貢献が期待される。また、キリスト教に限らず、それ以外の宗教にも、危機回避のための努力が求められている。 

 次回に続く。

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