ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

人権283~人権侵害救済法案の危険性

2016-03-24 08:54:33 | 人権
●人権侵害救済法案の危険性

 わが国では、21世紀に入ったころから、人権侵害救済法を制定しようとする動きが続いいている。人権侵害を救済するのだから、人権擁護のため、良い法案だろうと多くの人は思うだろう。だが、この法案は、人権という美名に隠れて、逆に国民の権利が侵害される危険性が非常に高いものである。私は、先に述べた永住外国人への地方参政権付与とともに、日本国民の解体を図る者と見ている。
 人権関連法案は、もともと自民党が、法務省の官僚の誘導によって、成立を図ったものだった。今もまだまだそうだが、当時の自民党は、考え方がかなりおかしくなっていた。平成14年(2002)、自公政権時代に法務省が示した人権擁護法案には、メディア規制条項があり、マスメディアが批判した。その後、メディア条項を凍結する修正案などが示され、マスメディアの多くは、人権侵害救済法案の危険性について報道しなくなった。そうした中で、自民党は平成20年(2008)に、与党として人権擁護法案をまとめた。だが、この法案はなにより人権侵害の定義があいまいであり、また救済機関の権限が強大であることや、公権力による民間の言論活動への介入の根拠となるおそれのあることなどにより、党内でも異論が多く出て、国会には提出されなかった。
 当時野党の民主党(現・民進党)は、自民党に対抗して独自の人権侵害救済法案を作った。民主党案は、自民党案より、一層問題が大きかった。民主党の法案の原案は、同党の支持団体である解放同盟の要望が、ほぼそのまま取り入れられたものだったからである。解放同盟は、被差別出身者の人権を守る団体のはずだが、左翼的・反日的な団体と化しており、過激な行動で知られる。そういう団体が政党を動かして人権侵害救済法案の成立を図っているのである。ここにわが国における人権をめぐる動きの問題点が集約的に表れている。
 民主党は、平成21年(2009)9月の衆議院議員総選挙で、自民党を破り、政権交代を成し遂げた。選挙戦で民主党は、選挙公約に当たるマニフェストに「人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する」と記し、「内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する」こと等を謳った。民主党は、以後、政権にあった3年間、人権侵害救済法案の成立を図る動きを熱心に続けた。
 平成23年(2011)7月、民主党は、法案に人権侵害救済機関を内閣府ではなく、法務省の外局に設置するという修正を行った。内閣府だと、政権政党の意向が強く反映されると懸念されたので、野党・自民党の案に譲歩したものだろう。救済機関を、公正取引委員会と同等の政府から独立した強力な権限を持つ「三条委員会」とし、また中央だけでなく、各都道府県に置くとした。
 当初人権侵害救済法案は、人権委員に国籍条項がなく、外国人も就任可能であり、外国人が自国民の人権を守るために利用し、日本国民の自由と権利が侵害される危険性があると指摘された。この点の指摘を受けて、民主党の修正案は、中央の人権委員は日本国籍を持つ者に限定した。だが、各都道府県の人権擁護委員は「地方参政権を有する者」とした。これが問題である。旧民主党や公明党等は永住外国人に地方参政権を付与しようとしており、地方参政権が与えられれば、外国籍の外国人が人権擁護委員に選ばれる可能性がある。外国人への地方参政権付与とセットになって働くとき、人権侵害救済法案は劇的な効果を生み出すのである。
 日本人が在日韓国人・朝鮮人や在日中国人の言動を批判した場合、それが「人権侵害」として訴えられ、出頭が命じられ、捜査・家宅捜索・押収が行われたり、罰金が科せられる。歴史認識の問題だけでなく、領土や資源等をめぐる国益に関することであっても、訴える側の外国人が「人権侵害」だと主張すれば、人権委員会が動く。そして、「人権」という普遍的・生得的な権利の観念に隠れて、外国人の民族的な利益やその所属国の政治的利益が主張され、「人権」として「擁護」されるという事態が生じるだろう。
 また、民主党の人権侵害救済法案は、当初から解放同盟の意向が強く反映していた。維新の党を吸収した民進党が今後、この法案をどのように扱うかは不明だが、もし旧民主党が作成した法案が成立すると、解放同盟のような団体の行動を批判することを言えば、「人権侵害」だと言って、取り締まられるおそれもある。解放同盟と在日韓国人・朝鮮人は、組織的につながっている。人権という理想の旗の下に、合法的に国家権力を簒奪しようとする政治団体・外国人組織が暗躍しているのである。

 次回に続く。