ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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女性宮家1~女系容認が前提

2012-01-21 08:42:08 | 皇室
 昨年11月から野田政権が打ち出している女性宮家創設案は、問題が多い。だが、本年元旦の読売新聞は、「政府は女性宮家創設の検討を加速するため、2月から有識者への意見聴取に入り、今年秋の臨時国会への皇室典範改正案の提出を目指している」と報じた。
 政府は、女性宮家につき、当主となる皇族女子の夫にも皇族の身分を付与する方向で調整に入ったとも報じられる。この場合、皇族女子と民間男性の間に誕生する子は女系の皇族となる。歴代天皇の男系の血筋を持たない人物に皇位継承権を与えれば、女系天皇の道を開くことになる。
 世界に比類ないわが国の皇室では、皇位は男系で継承されてきた。明治以降は男系男子が継承するとし、歴史的には男系男子の継承を男系女子が補助した例があった。皇位継承はこうした伝統を踏まえ、男系継承を堅持しなければならない。
 私は、男系男子による皇位継承のための方策は、第一に旧皇族の皇籍復帰、第二に皇族の養子制度の許可、第三に女性宮家の創設と考える。第一の旧皇族の皇籍復帰は、大東亜戦争の敗戦によって占領期に皇籍離脱した旧皇族を対象とする。第二の養子制度は、養子の対象範囲を旧宮家の男系男子とする。養子を可能にすることで現在の宮家の存続ができる。第一及び第二の方策を組み合わせれば、皇位継承の安定性は格段と増す。これらの方策をはじめから排除して、第三の方策だけを考えるのは、消極的な発想である。
 女系天皇容認論は、旧皇族の皇籍復帰に反対し、国民の抵抗が大きく受け入れられないとして選択肢から排除する。だが、女性皇族の夫となる民間人を皇族とすることに対して、国民の抵抗ははるかに大きいだろう。民間人を皇族とする案は、旧皇族の皇籍復帰の排除する理由を自ら否定するものである。
 女性宮家の創設という案は、男系男子継承の堅持という大原則に立って設計されるのでなければならない。私は、内親王・女王が旧宮家の男系男子と結婚して新宮家を立て、皇族身分にとどまることができるように制度を変えるのがよいと思う。そのお子様は皇族となるし、また男子のない宮家へ養子に入れるようにもすれば、絶家を免れるのみならず、そこに生まれる子も皇族となる。このようにして、皇族の数が増えるならば、皇統の維持が補強される。
 以下は関連する報道記事。

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●読売新聞 平成24年1月1日

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111231-OYT1T00536.htm
「女性宮家」創設の場合、夫も皇族…政府検討へ

 政府は、創設を検討している「女性宮家」について、当主となる皇族女子の夫にも皇族の身分を付与する方向で調整に入った。
 複数の政府関係者が明らかにした。皇族と同様の公務を行うために必要との判断からだ。実現すれば、民間人の男性が皇族に加わる道が初めて開かれることになる。
 政府は女性宮家創設の検討を加速するため、2月から有識者への意見聴取に入り、今年秋の臨時国会への皇室典範改正案の提出を目指している。
 女性宮家を創設するには、「(皇室に生まれた女性の)皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と定めた皇室典範12条の改正が必要となる。政府内ではこの検討を進める中で、「女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない」とした同15条を改正し、皇族女子の夫を皇族とすることが必要との議論も出てきた。
(2012年1月1日03時00分 読売新聞)

●産経新聞 平成24年1月6日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120106/plc12010601310001-n1.htm
皇室典範改正、女性宮家創設に限定 慎重派に配慮「一代限り」案有力 
2012.1.6 01:30

 政府は5日、2月から本格的な議論に入る皇室典範改正について「女性宮家」創設だけに限定して検討する方針を固めた。女性・女系天皇容認にからむ議論に踏み込めば、男系継承の堅持を求める慎重派の反発を避けられないと判断した。さらに皇位継承議論と結びつかないよう、女性宮家は一代限りとする案が有力となっている。
 また、女性宮家の当主と結婚した男性には皇族の身分を付与する方向で検討している。女性皇族の婚姻による皇籍離脱を定めた皇室典範12条を軸に改正案をまとめ、今年秋の臨時国会にも改正案を提出する方針。
 政府は、有識者会議などは設けず、竹歳誠官房副長官が内閣官房や宮内庁など政府部内で検討を進める予定。2月から有識者へのヒアリングを始める前に女性宮家創設に反対する安倍晋三元首相らにも意見を求める方針だという。
 政府は、天皇の娘、孫娘に当たる「内親王」に限り、女性宮家の対象とする方向で調整しているが、女性宮家の子息が婚姻した場合、どのような地位となるかなどについてはさらなる議論が必要だという。
 現在、皇太子ご夫妻と秋篠宮ご夫妻の4人のお子さまのうち男子は秋篠宮家の悠仁さまお1人。現行の皇室典範では皇太子殿下の長女、愛子さまや、秋篠宮家の長女、眞子さま、次女、佳子さまは結婚されれば皇室を離れることになる。
このままでは皇族の減少が深刻化することから、野田佳彦首相は「皇室活動の安定性から緊急性の高い課題」と判断。昨年末から内閣官房と宮内庁が、女性皇族が結婚後も皇族の身分にとどまることができるよう女性宮家創設に向け、勉強会を重ねてきた。
 ただ、平成17年に小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」がまとめた報告書では、女性宮家創設について女性・女系天皇を前提にした検討対象と位置付けられた。政府高官は「女性宮家の議論を皇位継承問題とは切り離す」と強調するが、17年の報告書を踏まえると女性宮家創設が女性・女系天皇容認に結び付く可能性は拭いきれない。

◇  ◇

■皇室典範 皇位継承の資格や順序、皇族の範囲などを規定した皇室の基本法。第1条で皇位は男系の男子で継承することを定めている。「皇室典範に関する有識者会議」は平成17年、皇位の安定的な継承には「皇位継承資格を女子や女系の皇族に拡大することが必要」と結論付けたが、翌18年、秋篠宮家に悠仁さまが誕生されたことを受け、皇室典範改正の議論は止まっていた。

●産経新聞 平成24年1月7日

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120107/imp12010702480001-n1.htm
【土・日曜日に書く】
論説委員・石川水穂 旧皇族復帰の検討も必須だ
2012.1.7 02:48

◆女性宮家でヒアリング
 天皇陛下は2日の新年一般参賀で、東日本大震災の被災者を気遣い復興を願うお言葉を述べられた。皇后さまは足首を捻挫しながら5回お出ましになった。天皇陛下は昨年11月、肺炎で東大病院に入院されたが、体調を回復したご様子だった。両陛下のご健康は国民の等しく願うところだ。ご公務の負担軽減策が急がれる。
 現行の皇室典範では、女性皇族が結婚されると、皇籍を離脱しなければならず、陛下の孫の代で唯一、皇位継承権を持つ悠仁さまの代の宮家が1つだけになってしまう懸念がある。皇族の減少防止は喫緊の課題といえる。
 そのための「女性宮家」創設に関する識者からのヒアリングが来月から始まる。女性宮家は、女性皇族が結婚しても、皇族の身分を維持できるようにする制度だ。野田佳彦政権は、この問題を皇位継承問題と切り離して検討する意向のようだ。しかし、この2つの問題は決して無関係ではない。
 平成17年、小泉純一郎元首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は、これらの問題を議論し、「女性・女系天皇容認」「男女を問わず長子優先の皇位継承」「女性宮家創設」を骨子とする最終報告を示した。
 だが、これは男系で維持されてきた日本の皇統の歴史を根底から否定するものだった。女性宮家創設が安易な女系天皇容認論につながることがないよう、国民は厳しく監視すべきだ。

◆GHQの方針で皇籍離脱
 皇室の裾野を広げるためには、旧皇族の皇籍復帰も併せて検討する必要がある。
 昭和22年10月、秩父、高松、三笠の3直宮家を除く伏見、山階、久邇、賀陽、朝香、東久邇、北白川、竹田、閑院、東伏見、梨本の11宮家が皇籍を離脱した。
 GHQ(連合国軍総司令部)は皇室を財閥の一種とみなし、皇室財産を国庫に帰属させるなど徹底的な封じ込めを図った。皇族の共倒れを防ぐため、やむを得ず行われた皇籍離脱だった。
 昭和23年に作成された「皇室に関する諸制度の民主化」と題する外務省秘密文書が、その間の事情を詳しく物語っている。
 「財産上の特権が剥奪され、財産税が徴収せられ、且(か)つ皇族費は国費として計上されるとしても各皇族が品位を保たれるに充分な国家支出をなすことは困難と考えられ、皇族方を救う一つの道は臣籍降下(皇籍離脱)である」
 秘密文書は、日本側がGHQに抵抗した経緯も記している。
 「十一宮家は故伏見宮邦家親王から出ている…現皇室からは相当離れた家柄である」としながら、「明治天皇の皇女、四方(4人)が夫々(それぞれ)、竹田、北白川、朝香、東久邇各宮に嫁しておられる」として、この4宮家を残そうとしたことがうかがえるが、日本側の要望は入れられなかったようだ。
 11宮家には、一時金が支給されたものの、生活は苦難を強いられた。香水の製造販売に乗り出したり、新興宗教の教祖になった元宮さまもいたが、事業に失敗したケースが多い。跡継ぎに恵まれず絶えた家もあるが、多くは民間会社や団体の役員などを務め、家を維持している。
 旧皇族・竹田家出身の作家、竹田恒泰氏によると、男系の血を引く未婚の男性は、久邇、竹田、東久邇、賀陽の4家に9人いるという。皇室と旧皇族は今も、「菊栄親睦会」などの定期的な会合を通じ、交流が続いている。
 江戸時代にも皇統断絶の危機があった。病気がちの後桃園天皇は22歳で崩御した。天皇には欣子(よしこ)内親王しか子がなく、急遽(きゅうきょ)、東山天皇の男系の血を引く閑院宮家から祐宮(さちのみや)を養子に迎えた。祐宮は8歳で天皇(光格天皇)に即位し、欣子内親王はその皇后になった。
 閑院宮家は、新井白石の進言により、後の男系皇位継承に備えるために創設された宮家である。先人たちは男系維持のため、さまざまな知恵を絞ってきた。

◆皇族の意見も聴くべきだ
 三笠宮家の長男、寛仁さまは平成18年、月刊誌などで、女性・女系天皇を容認した有識者会議の結論を「拙速」と批判し、旧皇族の皇籍復帰を主張された。
 これに対し、羽毛田信吾宮内庁長官は「皇室の方々が発言を控えていただくのが妥当」と述べた。朝日新聞は2月2日付社説「発言はもう控えては」で、「寛仁さまひとりが発言を続ければ、それが皇室の総意と誤解されかねない。そろそろ発言を控えてはいかがだろうか」と書いた。
 言論封じを二度と繰り返してはならない。野田政権は皇族のご意見も聴くべきだ。有識者会議の結論を白紙に戻したうえで、女性宮家の問題に絞らず、皇統の歴史を踏まえた幅広い議論を求めたい。(いしかわ みずほ)
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