ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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民主党に人権法案提出の動き

2011-07-02 08:42:27 | 時事
 民主党では、このほど人権侵害救済機関検討プロジェクトチームが、人権侵害救済機関設置法案の中間とりまとめ案を示し、近く国会への提出・成立を目指しているという。これは、日本の国家を解体に導く危険な動きである。
 平成21年(2009)9月の衆議院議員総選挙の前、民主党はマニフェストに「人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する」と記し、「内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する」ことなどを謳った。その後、人権侵害救済法案は国会に提出されることなく経過してきたが、改めて法案成立を目指す動きが出てきたのである。
 人権関連法案は、もともと自民党が成立を図ったものである。現在もそうだが、当時も自民党は、よほどどうかしていた。平成20年(2008)に人権擁護法案がまとめられたが、人権侵害の定義があいまいであり、救済機関の権限が強大であることや、公権力による民間の言論活動への介入の根拠となるおそれのあることなどにより、自民党内でも異論が多く出た。そのため、国会には提出されなかった。
 民主党は、自民党に対抗して独自の法案を作り、その成立を図ってきた。民主党案は、自民党案より、一層問題が大きい。今回準備されている法案は、人権侵害救済機関を内閣府ではなく、法務省の外局に設置するという修正がされた。内閣府だと、政権政党の意向が強く反映されると懸念されたので、自民党案に譲歩したものだろう。民主党案は救済機関を、公正取引委員会と同等の強力な権限を持つ「三条委員会」としようとしているという。三条委員会は国家行政組織法3条に基づく機関であり、民間の言動をめぐる議論に公権力が介入する余地を与える恐れがある。民主党案は、救済機関を中央だけでなく、各都道府県に置くとしている。
 最大の焦点は、従来の案では人権委員に国籍条項がなく、外国人も就任可能であり、外国人が自国民の人権を守るために利用し、日本国民の自由と権利が侵害される危険性にあった。この点、今回の法案では、中央の人権委員は日本国籍を持つ者に限定したとはいう。だが、各都道府県の人権擁護委員は「地方参政権を有する者」としている。これが問題である。民主党や公明党などは永住外国人に地方参政権を付与しようとしており、地方参政権が与えられれば、外国籍の外国人が人権擁護委員に選ばれる可能性がある。
 日本人が在日韓国人・朝鮮人や在日中国人の言動を批判した場合、それが「人権侵害」として訴えられ、出頭が命じられ、捜査・家宅捜索・押収が行われたり、罰金が科せられるという事態が予想される。歴史認識の問題だけでなく、領土や資源等をめぐる国益に関することであっても、訴える側の外国人が「人権侵害」だとみなせば、人権委員会が動く可能性がある。そして、「人権」という普遍的な権利の名の下に、民族的な利益や政治的利益が主張され、「人権」として「擁護」されるだろう。
 民主党の人権侵害救済法案の原案は、同党の支持団体である解放同盟の要望が、ほぼそのまま取り入れられたものだった。解放同盟は、左翼的で過激な行動で知られる。そういう団体が人権侵害救済法案の成立を図っている。法案が出来ると、解放同盟のような団体の行動を批判することを言えば、「人権侵害」だと言って、取り締まられるおそれがある。
 民主党は原案に修正を部分的に加えて、党内や他党に賛同者を増やそうとしているが、毒饅頭であることには、全く変わりがない。毒饅頭の上にクリームを塗ったり、フルーツを盛ったりして、食わそうとしているだけである。

 かつて人権擁護法案を準備していた自民党では、人権侵害救済法案に反対する意見が増えつつある。人権侵害救済法案は、永住外国人への地方参政権付与法案、夫婦別姓法案とともに「日本解体3法案」である。これら3法案は、日本の家庭、社会、国家を解体する強力な爆弾である。夫婦別姓法によって日本の家庭が解体され、人権侵害救済法によって日本の社会が解体され、永住外国人地方参政権付法によって、日本の国家が解体される。私は、強く反対する。そして、経済の面から、これらの破壊力を倍増させるものが、TPPへの参加である。日本人は、これらの危険性を理解し、日本の選択を誤ってはならない。
 
 以下関連する報道記事。

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●産経新聞 平成23年6月10日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110610/stt11061003360003-n1.htm
人権救済機関 言論統制の恐れ変わらず
2011.6.10 03:35

 民主党の人権侵害救済機関検討プロジェクトチームが、人権侵害救済機関設置法案の中間とりまとめ案を示した。
 救済機関の設置場所をマニフェスト(政権公約)にあった内閣府から法務省に変えるなど、自公政権が提出を試みた人権擁護法案に歩み寄った内容だ。しかし、言論・表現の自由を侵害しかねない重大な危険性をはらんでいることに変わりはない。
 民主党案の最大の問題点は、救済機関を公正取引委員会と同等の強力な権限を持つ「三条委員会」として設置しようとしていることだ。これは国家行政組織法3条に基づく機関で、民間の言動をめぐる議論に公権力が介入する余地を与える恐れがある。
 民主党案は中央の人権委員を日本国籍を持つ人に限定したものの、各都道府県の人権擁護委員は「地方参政権を有する者」とした。民主党はマニフェストで永住外国人への地方参政権付与をうたっており、実現するようなことがあれば、外国人が人権擁護委員に選ばれる可能性もある。
 人権侵害の定義もあいまいで、救済機関がどんな言動を規制するのかがはっきりしない。
 民主党は秋の臨時国会への提出・成立を目指しているが、こんな危険極まりない法律を提出すること自体、問題である。
 自公政権時代の平成14年、法務省が示した人権擁護法案にはメディア規制条項があり、マスコミが批判した。その後、メディア条項を凍結する修正案などが示されたが、成立には至らなかった。
 マスコミだけの問題ではなかったことも明らかになった。当時、人権委員会が設置された場合、政治家や学者らを含めた一般国民の言論活動に及ぼす悪影響が懸念された。例えば、拉致問題解決のために「北朝鮮への経済制裁」を訴えることが人権侵害とされかねない危険性も指摘された。
 もちろん、人権を守ることは大切である。政府の拉致問題対策本部は先月、人権教育の一環として北朝鮮による拉致事件を各学校で取り上げるよう教育委員会に指示することを決めた。こうした啓発は今後も必要である。
 公権力による人権侵害はチェックされるべきだが、逆に、公権力が自由な言論・表現活動を縛りかねない法律や組織は民主主義社会に不要である。
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関連掲示
・拙稿「日本解体に導く人権侵害救済法案」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/fdd85f1389a4b18db3df5aa32823dd7d
・拙稿「民主党の爆弾:日本解体3法案」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/c6a71a531629e1c11250d2b202739382