ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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小沢氏は、潔く議員辞職せよ

2010-02-02 19:47:37 | 時事
 小沢一郎氏は、ベストセラーとなった「日本改造計画」(講談社)で、「政治家が政治資金で私腹を肥やしたり」して政治に歪みが生じているとし、「政治資金規正法違反者に対する罰則を強化し、政治腐敗防止制度を確立すべきである」と提言した。小沢氏の主張は、国民を魅了した。
 ところが、その言葉と裏腹に、小沢氏は長年にわたって、巨額の不正蓄財をしていた。小沢氏は田中角栄・金丸信の弟子だが、角栄・金丸以上のワルである。

 小沢氏の不正蓄財は、現在東京地検特捜部が捜査の中心にしている東京都世田谷区の秘書寮の土地購入に関わることだけではない。小沢氏の父親は、小沢氏が学生だった時に亡くなった。小沢氏は父親から文京区湯島の土地を相続したが、相続税を払った形跡がない。
 小沢氏は、この土地を売って、自宅のある世田谷区深沢の土地を買った。湯島の土地は、売っても3億数千万円。深沢の土地は推定10億円という。買うには6億数千万円足りない。不足分はどこから得たのか。
 住まいとしている豪邸の建築には、3億円かかったと推定される。土地建物で計13億円使ったわけである。自宅を購入後、2億円残ったと小沢氏は言う。すると、原資は15億円あったことになる。小沢氏は湯島の土地売却による3億数千万円しか明らかにしていないから、差し引き11億数千万円は、どこかから得たわけである。もちろん税金は払っていない。
 徴税を逃れて11億数千万円もの巨額のカネを貯めるのは、議員の報酬や著書の印税程度では、無理。可能性としては、企業からの裏献金、政治資金の私財化、贈与税を払わぬ贈与、相続税を払わぬ相続だろう。
 小沢氏の不正蓄財の闇は深い。深沢の自宅購入が原点となって、小沢氏は、不動産業と見まごうばかりの財テクに走った。総額10億円以上といわれる不動産を、政治資金の資金洗浄で購入して、小沢一郎個人名義にしてきた。小沢氏の説明は二転三転、一貫性がなく、自分は関与していないと言いながら、土地購入のための銀行融資の書類に自分で署名している。そのほか明らかなウソを乱発している。

 民主党で、小沢氏の責任を指摘する国会議員は、最近まで一人しかいなかった。ここへ来て、小沢氏に距離を置いていた政治家が、小沢氏の責任を示唆する発言をするようになった。
 前原誠司国交相は、小沢氏の土地疑惑事件に関し「新たな局面が生まれたときには、厳しく自浄能力を発揮していかねばならない」「民主党が一番厳しくなくてはならない『政治とカネ』の問題で、代表、幹事長が渦中にいる。説明責任を果たすよう促さなければならない」と発言した。ようやく閣僚から多少まともな意見が出てきた。
 その前原氏は、国交相として、八ツ場ダムの中止を決めた。しかし、本当に問題なのは、小沢氏の地元で建設中の胆沢ダムである。小沢氏とゼネコン・地元建設会社の癒着は、西松建設の違法献金問題で、ようやく明るみに出た。前原氏は、国交相として、この問題の解明に、覚悟ありや。自民党を始めとする野党には、「小沢ダム」ともいわれる胆沢ダムを始め、東北地方の公共工事に絡む利権構造を、国会で追及してもらいたい。

 私の予想は、小沢氏が政治資金規正法違反の共同正犯として起訴される可能性が高いと思う。土地疑惑に関する相続税・贈与税の脱税の方は、早期の立件は難しいらしい。しかし、政治資金規正法違反は、形式犯の微罪ではない。5年以下の懲役刑は、収賄罪と同等の重罪である。
 平成15年、自民党の坂井隆憲元代議士とその秘書は、1億2千万円の虚偽記載で逮捕された。懲役2年8ヶ月の実刑判決を受けた。現在問題になっている小沢氏の秘書寮の土地は、坂井氏の金額の3倍以上となる4億円の未記載である。かつて小沢氏が著書で主張したように、「政治資金規正法違反者に対する罰則を強化し、政治腐敗防止制度を確立すべき」である。

 1月28日に発表された日本経済新聞とテレビ東京による世論調査では、小沢氏の幹事長辞任を求める意見が、65%に達した。2月1日発表の毎日新聞社の世論調査では、元秘書で衆院議員の石川知裕容疑者が起訴された際、小沢氏は「辞任すべきだ」と76%が回答した。私は、小沢氏の政治的道義的責任は、幹事長辞任ですむ問題ではないと思っている。自らの過去の主張に照らして、小沢氏は、潔く議員辞職すべきである。
 マスメディアからも議員辞職を求める主張が出てきた。以下に転載する。

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●産経新聞 平成22年2月2日

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100202/stt1002020246002-n1.htm
【主張】小沢氏再聴取 議員辞職が責任の取り方
2010.2.2 02:46

 民主党の小沢一郎幹事長が1日の記者会見で、前日に東京地検特捜部による2回目の事情聴取を受けたことを認め、「私自身が刑事責任を問われることになれば、責任は非常に重いと思う」と述べた。
 自らが刑事責任を問われる可能性に言及し、責任の重大さを認めたのは初めてだ。起訴された場合を想定しての発言だろうが、その場合は幹事長辞任にとどまらず、議員を辞職することが出処進退の取り方だろう。
 昨年の西松建設の違法献金事件に加え、資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金規正法違反容疑で元秘書ら3人が逮捕された。石川知裕議員は4日に勾留(こうりゅう)期限を迎えるが、小沢氏の政治的かつ道義的責任は明白だ。
 それだけにとどまらない。小沢氏は1回目の事情聴取で、ゼネコンからの裏献金や収支報告書の虚偽記載への関与を否定し、これまで政治資金について「すべて公表している」と違法性はないことを強調していた。
 しかし、そうした発言は、小沢氏が起訴された場合、その多くが虚偽であることが示されよう。政治家としての信を失うことになる。もはや幹事長辞任では、責任を取ることにはならないのだ。
 鳩山由紀夫首相はこれまで「小沢氏の潔白を信じる」などと擁護してきた。政権与党の最高実力者が直接、捜査の対象となる異常事態を見守ることは許されない。鳩山政権と小沢氏の問題を切り離すべきである。
 捜査が新たな段階を迎えるのを前に、民主党内からは小沢氏の幹事長辞任など進退に関する発言が出始めた。前原誠司国土交通相が「新たな局面が生まれたときには、厳しく自浄能力を発揮していかねばならない」と強調したほか、枝野幸男元政調会長は「国民の理解と納得が得られなければ、けじめをつけてもらわなければいけない」と語った。
 石川容疑者らの逮捕後も、首相が小沢氏の続投を容認し、それに表だった異論は出なかった。そのことで民主党自体の自浄能力の欠如が指摘されてきた。前原氏らの発言は遅きに失した感は否めないが、自浄能力の大事さに気付いたのだろう。
 小沢氏の政治責任の明確化に加え、党独自の調査チームを設置するなど、自浄能力を具体的な行動に結び付けることが必要だ。
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