ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

友愛を捨てて、日本に返れ41

2010-02-01 08:50:09 | 時事
●東アジア共同体は、中国の帝国主義的膨張を助長する

 鳩山氏は、北朝鮮も東アジア共同体の対象に含むと言うから、東アジア共同体は、日中韓を中核とし、北朝鮮も加えた北東アジア共同体を作りうるかどうかに、成否がかかるだろう。しかし、中国・韓国・北朝鮮は、反日的な姿勢が強い。アジア諸国のうち反日的なのは、これら三国のみであり、特定アジアともいう。
 中国・韓国は、国益のために、わが国に対して歴史問題や靖国神社首相参拝問題を持ち出して利用してきた。両国は友愛を掲げる日本への外交攻勢を強め、贖罪の意識に駆られる鳩山政権は押し捲られるだろう。しかも、中国と北朝鮮は、体制の違う国である。政治的社会的な体制の違いをどうやって乗り越えるのか。また韓国と北朝鮮は統一が出来ていないうえに、北朝鮮はいつ体制が崩壊するか、また冒険主義的な行動に出るかわからない。中国と台湾の関係も、台湾の独立か中台の統一かという深刻な問題が存在する。経済的社会的な危機にある中国がファッショ化し、台湾の武力統一を図る可能性はある。
 これが、北東アジアの現状である。状況判断を誤って、北東アジアで東アジア共同体構想を進めると、わが国は大失敗すると思う。
 東アジア共同体構想は、鳩山氏の意図にかかわらず、中国の東アジア全域への膨張に助力することになる。中国の中華帝国主義を助長するような政策は、自滅行為である。中国の拡大とともに、周辺諸国は中国に呑み込まれてしまう。チベット、モンゴル、香港、新疆等に前例がある。
 中国は今日、かつてのイギリス、アメリカ、ソ連を上回る史上最大の帝国主義国家として、急速に成長し続けている。石油・金属等の資源獲得のために、アフリカの全域に猛烈な進出を行っている。スーダンのダルフール問題等では、国連安全保障理事会で拒否権を行使して、自国の利益を追求する。西アジアやラテンアメリカにも進出している。
 鳩山氏は、アジアの地域大国であり、さらに世界的な覇権獲得をめざす中国におもねり、身を摺り寄せて庇護を受け、中国の野望を手引きして、分け前に預かろうとするものだろうか。しかし、そのような目論見は、覇権国家を目指す中国を利し、日本が中国の属国と化す危険性がある。

●大東亜共栄権の二の舞になるな

 仮に朝鮮半島で南北統一がなったとしても、半島はやがて中国に併合され、朝鮮省のような状態になるだろう。朝鮮が中国の一部となれば、次はわが国である。鳩山氏の友愛政策が実現されると、わが国は中央集権国家から地域主権国家に変わってしまう。また永住外国人は、強大化した地方自治体で、参政権を行使する。そのように主権を国内外に分散・分譲した状態で、日本は東アジア共同体に加入することになる。
 そうした日本に中国から多数の移民が押し寄せ、中国国籍のまま、行政への影響力を強める。我が物顔で行動する中国人によって、日本のシナ化が進み、日本は中国に併合されていきかねない。日本の西半分(愛知県・岐阜県・石川県より西)は「東海省」、東半分は「日本自治区」にされてしまうかもしれない。2050年の東アジアとして、日本が二つに分かれた地図が流布している。鳩山氏が掲げる東アジア共同体とは、日本をそのような未来へと進める、非常に危険な構想である。
 東アジア共同体の歴史的な原型は、昭和戦前期のわが国が目指した大東亜共栄圏である。わが国は大東亜戦争に突入後、自存自衛という戦争目的に加えて、後から目的に加えたのがこの共栄圏構想だった。昭和18年(1943)11月、大東亜会議を開催し、中国・タイ・フィリピン・ビルマ・満州国の各代表が参加し、自由インド仮政府代表も陪席した。アジア諸民族が西洋白人種の支配から脱し、独立を勝ち取るというアジア解放の大義が掲げられた会議だった。
 しかし、この構想は、日本の敗戦によって、挫折に終わった。東条英機政権は「アジアは一つ」という理想を、力づくで実現しようとして、早咲きに終わらせてしまった。日本は、物量に勝るアメリカに叩き潰され、占領・支配された。わたくしの見るところ、鳩山氏の東アジア共同体構想もまた時期尚早である。理想としてはよくとも、時を誤って焦って進めれば、大失敗に終わる。
 人類社会は、これから大きく変化していく。EUのような国家連合・地域共同体の形成が、北米等でも進むかもしれない。しかし、東アジアは、まだまだ大きな課題をかかえている。東アジアの地域統合は、いつか将来、朝鮮半島に民主的な統一国家が生まれ、日本の統治時代を評価して日本に感謝するようになり、中国が民主化され、愛国主義・反日思想・中華思想をやめ、少数民族の自由を認めるようになって、東アジアでも民主的な国家連合を構想できるようになった段階で、改めて考えればよい事柄だと思う。今は、経済協力を拡大・深化するので十分である。そして、経済協力を通じて、もっと文化の交流が進み、相互理解を深めていくこと。統合の構想は、ずっと先でよい。

 次回に続く。