ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

9・11の真相を求めて12

2007-11-17 10:32:06 | 国際関係
●アフガン=イラク戦争は、早くから計画されていた

 『アメリカ防衛の再建』は、イラクに対する戦争が、アフガニスタンに対する戦争と同様、9・11より前に、アメリカ政府高官によって計画されていたことを裏付ける。
 イラク戦争は、サダム・フセインを排除し、イラクを民主化することを真の目的とするものだったのか。『アメリカ防衛の再建』は、次のように述べている。
 「アメリカは何十年もの間、ペルシャ湾岸地域の安全保障にもっと恒久的な役割を果すことを求めてきた。未解決のイラクとの紛争は、当面の正当性を提供するものであるが、サダム・フセイン体制の問題は湾岸におけるアメリカの確固とした軍事的プレゼンス(存在)の必要性に比べればとるに足らないものである。」
 ブッシュ政権の中枢メンバーは、9・11の1年前に、PNACの出版物で、サダム・フセイン政権を転覆する目的を公言していたのである。彼らの主な関心事は、「湾岸におけるアメリカの確固とした軍事的プレゼンスを獲得すること」であって、フセイン体制の打倒は、そのために当面の口実を提供したにすぎないのである。

 『アメリカ防衛の再建』の様々な構想は、中東・ユーラシアにおける石油・資源の確保という目的と結びついて、ブッシュ政権の9・11以後の世界政策に、主要なテーマを提供したと考えられる。この文書は、米軍の望ましい再編が「新しい真珠湾攻撃のような何か破局的で世論を刺激する触媒的な出来事がない限り、長い時間を要するだろう」と記している。そして、この文書の著者たちは、文書刊行後、間もなくブッシュ政権の高官に就任し、彼らの構想を実現する好機を得た。それが、9・11だったのである。
 平成15年(2003)9月、『ガーディアン』紙に、イギリスの元環境大臣マイケル・ミーチャーは、「9・11はPNACの計画を実行に移すうえで、きわめて都合のいい口実を提供した」と書いた。この記事は、大きな反響を巻き起こした。実際、9・11の攻撃は、アメリカの軍事費の増大を要求するのに格好の機会となった。
 ブッシュ政権の中枢メンバーは、政権に入る前から「新しい真珠湾攻撃」を願望していた。そして、ブッシュ大統領自身によって「21世紀の真珠湾」と呼ばれたこの事件は、予測可能な多くの利益をもたらした。そのことが、政府高官の共犯の動機と想定できるだろう。

 ところで、アメリカでは、9・11を真珠湾攻撃にたとえる表現が多く使われている。このたとえは、注意を要する。真珠湾攻撃の場合、ルーズベルト大統領は、日本軍の攻撃を事前に知っていて、ハワイを攻撃させ、それをきっかけに国民を報復戦争に駆り立てた。この場合、アメリカを攻撃したのは、国外の勢力である。これは、9・11で言えば、黙認利用説にあたる。
 ただし、真珠湾攻撃は、日本という国家がアメリカを攻撃したものであり、国家による宣戦布告を伴う。9・11は、テロリストによる自爆テロとされており、国家間の戦いとは違う。わが国の兵士による特攻とも違う戦時国際法無視のテロ攻撃である。

 これに対し、9・11に政府の関与を推測する利用加担説、政府共犯説、自作自演説は、政府が外国勢力によるものと見せかけて、自国民や在米の外国人を無差別攻撃し、それに対して報復を呼びかけ、自国民や他国民を戦争に引き込んだ可能性を提示する。もしそれが事実であれば、9・11は歴史上、類例のない巨大な権力犯罪となるだろう。

 次回に続く。