ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

9・11~欺かれた世界36

2007-11-02 08:55:23 | 国際関係
 最終回。

●9・11の真相がどうであれ、日本は共存共栄の道を

 9・11及びアフガン=イラク戦争によって、世界は大きく変わった。文明間の対立が鮮明になっている。その世界を協調の方向に進めるには、相当時間と労力がかかるだろう。粘り強い取組みが必要である。仮に9・11の真相が、アメリカ政府高官らが関与したものであったとすれば、世界にもわが国も衝撃が走るだろう。
 しかし、共同謀議は、一部の指導層の犯罪である。アメリカ国民全体の意思ではない。その点を見極めて、わが国はアメリカという国家との関係を、保持していかなければならない。今後、アメリカ国内で9・11の真相解明がどのように進むか、その展開を注視して、柔軟に対応する必要がある。真理と正義を追求することを急いで、現実を見失い、日本の安全保障と国家国民の利益を損なってはいけない。

 ハンチントンが予想した西洋文明とシナ文明の対立は、アメリカと中国の冷戦という形で現実化した。そして、太平洋を隔てて、西洋文明とシナ文明の中間に位置するのが、日本文明である。日本文明は、自己の存立のためには、西洋文明とシナ文明の融和を図らざるを得ない環境にある。アメリカに盲従するのでなく、また中国に媚びへつらうのでもなく、堂々と主張する日本を目指さねばならない。
 それとともに、わが国は、イスラエルとアラブ諸国の対立を和らげるように助力しなければならない。日本が中東の石油を安定的に確保するには、中東和平を目指さざるを得ない。セム系一神教文明群の内部抗争は、非セム系自然教文明群の仲介によってのみ、協調の方向に転じられる。非セム系自然教文明群の中でもユニークな特徴を持つ日本文明は、西洋文明とイスラム文明の抗争を収束させ、調和をもたらすためにも重要な役割がある。
 西洋文明とイスラム=シナ=東方正教文明連合、アメリカ=イスラエル連合と中国・ロシア・アラブ諸国連合が対立が決定的な形に進まないように、わが国はアメリカと中国の間で、またイスラエルとアラブ諸国の間で、自らの興亡盛衰をかけて、共存共栄の道を開かねばならない。それは、単に自国のためだけでなく、世界の平和と発展のためにも必要とされることである。
 
●日本精神を復興し、世界平和と環境保全に貢献を

 わが国及び日本文明が上記のような役割を果すには、まず独立主権国家としての自主性・主体性を取り戻すことが不可欠である。憲法を改正し、自主国防を整備し、その力の裏づけを持ってはじめて国際社会で発言力・影響力を発揮することができる。
 盲目的な従米は、一蓮托生の道である。アメリカが没落すれば、日本も一緒に没落する。それを抜け出るには、憲法を改正して、自主国防を整備すること。そして、親米だが自主性・主体性のある政策を行なうこと。長期的には、アメリカとの関係を従属から対等の関係に転じていけるよう、徐々に進めていく。
 これには時間がかかる。その期間は、アメリカの追従から自主へと徐々に転換していくしかない。急激な転換は無理を生じる。日米関係を対等な関係に成熟させ、着実に進んでいかなければならない。同時に媚中の姿勢をやめる。自主性・主体性を軽んじ、反米親中の政策を取れば、中国に呑み込まれかねない。アメリカと共に、中国の民主化を促し、脱ファッショ化・脱共産主義化に助力する。そして、中国にシナ文明の良き伝統が復活するように、日本文明から文化を発進していく。

 わが国は、国家間関係(international relationship)においてだけではなく、文明間関係(inter-civilizational relationship)においても、地球全体のキーポイントとなる立場にある。そこで求められるのは、日本文明の特長を良く発揮することである。現代世界人類の二大課題は、世界平和の実現と地球環境の保全である。そのためには、核戦争を防ぎ、また環境と調和した文明を創造しなければならない。これらの課題を実現するうえで、日本には重要な役割があると私は、確信している。人と人、人と自然が調和する日本精神には、人類の文明を転換し、この地球で人類が生存・発展していくための鍵があると思う。
 私たち日本人は、この21世紀において、日本精神を取り戻し、世界的にユニークな日本文明の特長を活性化し、新しい世界秩序の構築と、新しい人類文明の創造に寄与したいものである。(了)