ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

憲法改正~衆議院解散権

2005-12-17 15:53:05 | 憲法
 昭和憲法では、内閣が国会で不信任されたとき、内閣は総辞職するか、衆議院を解散するかを選択する。この選択は、衆議院の解散を決定することは、しばしば首相の専権事項だといわれてきた。しかし、憲法に、そのような規定はなかった。
 第七条に天皇が内閣の助言と承認により、国民のために行う国事行為の一つとして、第七条の三号に「衆議院を解散すること」と定められているのみである。天皇は自ら主導的に解散を決定するのではない。決定するのは、内閣である。政局を左右する重要なことであるにもかかわらず、このことは、内閣の権限として明記されていなかった。

 私は、行政府と立法府の相互牽制の一つとして、内閣に衆議院の解散権がある、と憲法に定めるべきだと思う。この決定に基づいて、天皇が、統治権の象徴的な行使として、衆議院を解散する。これは、天皇の国事行為の一つとして、私案第五条4項に定める。また、どういう場合に解散できるのか、解散の目的を定めて置きたい。
 
 次に、内閣不信任決議の効果については、昭和憲法は以下のように定めていた。

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●昭和憲法

第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
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 「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、」という部分は、可決するのは内閣であるかのようにも読める。内閣と衆議院の関係が、より明確になる文言に改めることができる。
以下の私案は、上記までを修正・加筆したものである。

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●ほそかわ案

(内閣の衆議院解散権、内閣不信任決議の効果)
第百条 内閣は、衆議院を解散することができる。
2 解散の目的は、内閣の信任または重要法律案の可否について、国民の意思を問うためとする。
3 内閣は、衆議院で不信任の決議案が可決され、または信任の決議案が否決されたときは、十日以内に衆議院が解散しない限り、総辞職をしなければならない。
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 内閣が総辞職しなければならない場合については、昭和憲法の規定のままでよいと思う。

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●ほそかわ案

(内閣総理大臣の欠缼等と内閣総辞職)
第百一条 内閣総理大臣が欠けたとき、または衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
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 次に総辞職後の内閣について、昭和憲法は以下のように定めていた。

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●昭和憲法

第七十一条 前二条の場合には、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
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 前二条の場合とは、内閣の信任・不信任の決議、内閣総理大臣の欠缼、衆議院議員総選挙後の新国会の召集をいう。これらの場合には、内閣は衆議院を解散できないことを加筆すると、より明快になると思う。

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●ほそかわ案

(総辞職後の内閣)
第百二条 第百一条3項及び前条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで、引き続き憲法の定める職務を行う。
2 前項の場合、内閣は、衆議院を解散することができない。
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