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ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

ユダヤ135~アメリカ及びそれ以外のユダヤ教徒

2017-12-07 09:25:41 | ユダヤ的価値観
●アメリカ及びそれ以外のユダヤ教徒

 ここでアメリカのユダヤ人社会の信仰ついて捕捉する。アメリカでは、ユダヤ教の正統派・超正統派が合わせて約1割、改革派が約3割、保守派が約3割いるといわれる。うち最も政治的・経済的に活躍しているのは、改革派である。ユダヤ教徒の信仰は、キリスト教徒に比べて、しっかり世代間の継承がされているように見える。しかし、アメリカのユダヤ教徒全体では、シナゴーグの礼拝に参加するユダヤ人は人口の約4分の1にとどまるという報告がある。このことは、ユダヤ人社会でも世俗化が進んでいること、またアメリカ社会への同化が進んでいることを意味する。
 アメリカのユダヤ人社会で、超正統派は、正統派よりやや少ない。超正統派は、多産を神の御心にかなうことと考え、避妊を一切行わない。そのため、年間約5%の人口増加率という猛烈な勢いで、その数を増やしている。一方、改革派や保守派は、異宗教間結婚が多く、また出生率が低下しており、今後大幅にその数を減らしていくと見られる。
 1990年に実施された全米ユダヤ人口調査によると、既婚ユダヤ人の52%が非ユダヤ人を配偶者としていた。非ユダヤ人の配偶者が結婚を機にユダヤ教徒に改宗するケースはせいぜい5%に満たない。その多くはユダヤ人男性と結婚したキリスト教徒の女性である。また、ユダヤ教徒同士ではない結婚によって生まれた子供のうち、ユダヤ教徒として育てられるケースは28%に過ぎない。約7割の子供は、伝統的なユダヤ教徒として育てられていない。この調査以後、この傾向は一層進んでいると見られる。こうした趨勢が続くと、将来、アメリカのユダヤ人口は激減するだろう。その懸念が、アメリカのユダヤ人にとってホロコーストに代わる最大の脅威になっているという。

●その他の地域のユダヤ人

 世界の81.1%(2010年現在)のユダヤ人は、イスラエルとアメリカに居住する。アメリカ=イスラエル連合の動向は、これら2国以外の国家・地域にいるユダヤ人に強く影響を与える。今後もその構造は続くだろう。
 世界のユダヤ人口の残り約19%のうち、居住者が多い国は、順にフランス、カナダ、イギリス、ロシアである。また、他の欧州諸国、インド、中国、東南アジア、南米など、世界各地にユダヤ人は居住している。そして、彼らはその集団の特徴であるネットワークを広げ、経済的・政治的・科学的・芸術的等に優れた能力を発揮して活躍している。
 ユダヤ教の各宗派の傾向は、先に書いたイスラエルとアメリカにおける長期的な傾向と、それ以外の国家・地域における傾向は共通していると見られる。すなわち、正統派は人口を増やし、次世代に厳格な信仰を継承する一方、改革派や保守派の多くは結婚や世代交代を通じて脱ユダヤ教化していくと見られる。
 イスラエルとアメリカ以外の国で、ユダヤ人の状況が最も注目されるのは、ロシアである。
ソ連解体後、1990年代のロシアで、エリツィン政権は、国家財政立て直しのため、国際通貨基金(IMF)の支援を受けた。国営企業の民営化を進めるために、バウチャー方式が採られた。これは一種の民営化証券のようなもので、一部の者がバウチャーを買い集めて企業を立ち上げた。そこから民間銀行家が育っていった。彼らは財政赤字に悩む政府に融資を申し出た。政府は天然資源の国営企業を融資の担保として取られた。こうして国営企業を手に入れた銀行家たちは、新興財閥「オルガリヒ」として、経済社会の様々な分野を支配するようになった。オルガリヒの多くは、ユダヤ人である。IMFの支援を受けるということは、欧米の巨大国制金融資本のロシア市場への大規模な参入を認めるということである。その動きの中で、欧米のユダヤ人資本家とロシアのユダヤ人資本家が連携してきたと見られる。
 2000年にボリス・エリツィンの後を継いで大統領になったウラディミール・プーチンは、オルガリヒに政治的圧力を加えた。これは、プーチンの欧米・ロシアのユダヤ人コネクションへの反攻と見られる。
 当時オルガリヒには7財閥あり、そのうち6つがユダヤ系だった。ユダヤ系オルガリヒの中で、石油大手シブネフチのボリス・ベゾレフスキーは、イギリスに亡命した後、自宅で自殺体として発見された。メディア王ウラディミール・グシンスキーは、横領詐欺等の容疑で逮捕・釈放された後、スペインに亡命した。他のオルガリヒも、プーチンの反攻を受けた。
 最後までプーチンに抵抗した石油大手ユーコスのミハイル・ホドルスキーは、大統領選に出馬を表明した。ホドルスキーは、欧米のユダヤ系の指導者たちと親しい関係にある。ジェイコブ・ロスチャイルド卿と組んでロンドンに「オープン・ロシア財団」を設立し、キッシンジャーを理事に招聘した。プーチンはホドルスキーを逮捕・投獄し、ユーコスを解体した。
 ロシア国家とユダヤ人資本家の国際ネットワークの攻防は、19世紀前半のアレクサンドル1世の時代から続いている。ユダヤ系の巨大国際金融資本にとって、ロシアの徹底的な市場開放と金融的従属化は、世界単一市場、世界統一政府の実現という目標に向けた重要な課題の一つだろう。それゆえ、今後の世界において、ユダヤ系の巨大国際資本とロシア政府との関係がどのように展開するかは、国際社会の変動の重要な要素となっていると見られる。プーチンと首領とするロシア政府のユダヤ系巨大国際金融資本への挑戦は、プーチンがユダヤ的価値観の問題点を理解し、それを超克しようとしているが故のものではない。ユダヤのエスニシズムに対するロシアのエスニシズムの反発とそれによる主導権争いである。この点で、ロシアに過度の期待を抱くことは危険である。

 次回に続く。

ユダヤ134~米猶を結ぶ宗教的な絆

2017-12-04 08:50:14 | ユダヤ的価値観
●米猶を結ぶ宗教的な絆

 アメリカとイスラエルの関係の強化には、宗教的な理由もある。
 ユダヤ・ロビーには、キリスト教団体が参加している。
 アメリカのキリスト教徒には、左派と呼ばれるリベラルと右派と呼ばれる保守派がいる。ユダヤ・ロビーに参加しているのはキリスト教右派で、全米で約7000万人、有権者の14~18%を占めるとされる。歴史的には、ユダヤ人社会とキリスト教右派は、犬猿の仲だった。だが、神学的理由からキリスト教右派がイスラエルを支持するようになり、それゆえに、ユダヤ・ロビーと連携するようになった。
 キリスト教右派は、聖書の字句を神の御言葉として文字通り解釈する。これを原理主義という。彼らは、キリスト再臨の時、神は地球上に離散したユダヤ人たちを再びイスラエルの地に集めて国を築かせるとし、再臨の条件としてユダヤ人が神から約束された土地を手に入れることが必要だと信じてきた。彼らは、第2次世界大戦後のイスラエル建国を、神の予言の成就と解釈した。そして、1967年の第3次中東戦争でイスラエルが電撃的な勝利を得ると、これを文字通り「神の御業」と理解した。それからキリスト教右派による熱狂的なイスラエル支持が始まった。
 この1967年以降の時期と、ユダヤ・ロビーが勢力を増強した時期は、重なり合う。ユダヤ人のノーマン・フィンケルスタインは、著書『ホロコースト産業』で、大意次のように述べている。第3次中東戦争におけるイスラエルの圧勝によって、アメリカのユダヤ人社会は自信を強めた。それ以後、彼らはホロコーストを以前に増して声高に唱えるようになった。中東でイスラエルが圧倒的な強者となると、それまで被害者意識をそれほど出さなかったユダヤ・ロビーは、ドイツをはじめとする世界に対し、ホロコーストの犠牲者性を強く主張するようになった、と。
 1969年からのニクソン政権・フォード政権の時代は、キッシンジャーが米国の外交を取り仕切り、ユダヤ系の巨大国際金融資本家の意思が国際政治に強く影響するようになった時期でもあった。
 こうして複合的な要因が相乗して、アメリカ=イスラエル連合は、一層強固なものになっていった。
 アメリカ=イスラエル連合は宗教的な絆を持つが、さらに1980年代に入り、連合に世界的な戦略を与えるようになったのが、ネオコンの理論である。
 ネオコンにはユダヤ人が多い。ネオコンの理論の顕著な特徴は、政治思想とユダヤ=キリスト教の世界観が結びついて、イスラエルを強力に擁護するところにある。ネオコンの理論の影響の下、アメリカの社会にシオニストのキリスト教徒が増加し、キリスト教が復興・活発化するとともにシオニズムも拡大・増強するという構造が生まれたと考えられる。
 ただし、いかにアメリカ政府を親イスラエル、シオニスト化したとしても、国民の理解と支持がなければ、国家全体は動かない。イスラエル、ロスチャイルド家、ネオコン・グループは、同時にアメリカの大衆への働きかけも進めていた。アメリカでは、イスラエルの極右政党のように戦闘的なシオニズムをそのまま打ち出したのでは、大衆の賛同は得られない。そこで彼らはビル・クリントン政権時代から、アメリカの新保守主義という姿を取って、キリスト教の保守派を取り込む活動を進めた。キリスト教徒をシオニスト化する活動である。
 先にも書いたが、ピルグリム・ファーザーズを祖とするアメリカ社会では、カルヴィニズム的プロテスタントが主流である。カルヴィニズムは、神を絶対的な権威とし、人間を全く無力な存在とする。救霊予定説は、神の意思の絶対性を極限まで強調する。また、ユダヤ教の聖典トーラー(モーゼ五書)を含む聖書を信仰の根本とする。こうした特徴を通じて、カルヴィニズムは、キリスト教の再ユダヤ教化を進めた。それゆえ、シオニストにとって、アメリカのキリスト教徒をユダヤ教と親和的にし、イスラエルは絶対に守るべき聖なる国家という意識を持たせることは、容易だったのだろう。
 ここで大きな作用をしたものが、キリスト教的終末論である。キリスト教的終末論とは、人類の滅亡を説くものとは違う。世の終わりに、イエス=キリストが再臨し、最後の審判が行われて、救済が実現するという説である。なかでもヨハネの黙示録は、善と悪の最終戦争が行われた後、神が降臨し、正しい者のみが救われ、千年王国が建設されることを、象徴的な表現で描いたものとされる。
 終末論は、キリスト教圏で歴史上、繰り返し高揚した。それが、20世紀から21世紀への世紀の変わり目に再燃した。ビル・クリントン政権の末期、西暦2000年は、ミレニアム(千年紀)運動が高揚した年だった。
 そして、その翌年の9・11をきっかけに始まった戦争が、終末論的な最終戦争とイメージされ、善と悪の戦いという構図が生み出された。その戦いを唱導し、指揮したのが、ブッシュ子大統領だった。
 キリスト教的終末論において、特別の意味を持つのが、イスラエルの存在である。聖書の解釈の一つに、世の終わりが近づいた時、救世主(メサイア)が再臨する前に、カナンの地にユダヤ人の国家が建設されるというものがある。その国家がイスラエルであると考えるキリスト教徒の一部にとって、イスラエルは絶対に守らなければならない国家となる。こうしてユダヤ教の強硬派とキリスト教的終末論が結びつき、アメリカとイスラエルの連合は、不離一体のものとなった。
 こうして、ユダヤ・ロビーは、半世紀を超える年月の活動の結果、政治活動・選挙運動に注がれる巨額のユダヤ・マネーと、信徒人口約7000万というキリスト教右派の大票田とを結びつけることに成功し、アメリカの政府や連邦議会に対して強力な働きかけを行えるようになっているのである。

 次回に続く。

ユダヤ132~アメリカの政治とユダヤ・ロビー

2017-11-30 09:12:25 | ユダヤ的価値観
●アメリカの政治とユダヤ・ロビー
 
 今日、アメリカでは、ユダヤ・ロビーが最大のロビー団体となり、アメリカの外交政策に強い影響を与えている。ユダヤ・ロビーとは、ユダヤ系米国人が、イスラエルを宗教的な信仰によって擁護するキリスト教右派等と連携して、米国の政治・外交をユダヤ人社会やイスラエルに有利なものにしようとして政府・議会・政治家に働きかける団体である。
 ユダヤ人ロビイストは、豊富な資金と積極的な働きかけにより、アメリカの政策をイスラエルに有利なものへと誘導している。そして、アメリカ=イスラエル連合を確固としたものすることに成功している。
 これに対し、アメリカ国民の中から、合衆国政府はアメリカの国益よりもイスラエルの国益を優先しているという批判が上がっている。なかでも高名な国際政治学者ジョン・ミアシャイマーとステファン・ウォルトによる『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』(2007年刊行)は、言論界に一石を投じた。著者たちは、ユダヤ・ロビーではなく、イスラエル・ロビーという用語を使う。前者は、ロビー活動の主体がユダヤ人集団であることを端的に表すが、後者は、イスラエルの利益を追求する団体であることを強調する。
 ミアシャイマーとウォルトは、イスラエル・ロビーの強い影響力により、アメリカの政策論議は合衆国の長期的安全保障を損なう方向に向かっていると主張する。また、イスラエル・ロビーの団体は、イスラエルの極右政党リクードに近い団体・個人で構成されていると指摘する。他の団体・個人との境界線は曖昧で、多くの学者、シンクタンク、政治活動委員会、ネオコン・グループ、キリスト教団体等がロビー活動を支援しているという。
 イスラエル・ロビー、私の用語によれば、ユダヤ・ロビーは、非常に大きな成果を上げている。具体的には、たとえば、アメリカ政府は政権が共和党・民主党の違いに関わらず、イスラエルに大規模な無償の軍事援助を行っている。アメリカ政府が世界各国に行う経済・軍事援助は、その約5分の1が世界人口の0.1%程度にすぎないイスラエルに送られている。2006年の時点で、イスラエルは約30億ドルを受給した。この金額は、一国としては最高額だった。2007年から10年間、毎年30億ドル、合計300億ドルの援助が続けられている。
 一般の国は、アメリカ政府からの援助金を年4分割して与えられる。ところが、イスラエルだけは、会計年度の初めに一括して援助金を受給する。その援助金のうち当面、使用しない分は連邦準備銀行へ直接預金され、年利8%の利子を稼ぐことが許されている。イスラエルはこの特権を享受する唯一の国である。
 これに加えて、毎年、約5億ドルのイスラエル国債がアメリカ国内で購入されている。イスラエル国債は米国国債より利率が低く、格付けもBBBと低い。それにもかかわらず、全米3000以上の大小の銀行が購入している。これは、もしイスラエル国債の購入を拒めば、地元のユダヤ人富豪たちが預金を他の銀行に移すことを恐れるからと見られる。
 国連安全保障理事会でイスラエルに不利な提案が出されると、アメリカ政府は必ず拒否権を発動している。イスラエル非難の国連安保理決議に対して、1982年以来、実に32回(2006年現在)も拒否権を発動して、イスラエルを擁護し続けている。イスラエル・パレスチナ問題においては、イスラエル側に立って関与しており、アラブ諸国の批判や反発を受けている。
 米国では2004年10月に、反ユダヤ主義監視法が成立した。同法は、世界各地で頻発する反ユダヤ主義をアメリカ政府が監視し、適切な対応を取ることを定めたものである。米国務省内に、反ユダヤ主義に対処する特別部局の設置を定めている。イスラエルではなく米国の国家機関が反ユダヤ主義に世界的に対処するというのである。米国は、今やそれほどまでに、ユダヤ人及びイスラエルの強い影響下にあることがわかる。
 こうしたアメリカとイスラエルの特殊な関係は、アメリカのユダヤ・ロビーの活動が生み出しているものである。

 次回に続く。

ユダヤ131~今日の米国ユダヤ人の政治力

2017-11-26 08:51:43 | ユダヤ的価値観
今日の米国ユダヤ人の政治力

 アメリカのユダヤ人は、政治的には、リベラルと保守の二つに大きく分かれる。大まかに言って、リベラル(修正自由主義者)は多数派であり、民主党を支持し、イスラエルの中道左派である労働党を支援している。保守は在米ユダヤ人の5分の1ほどの少数派で、共和党を支持し、イスラエルの右派であるリクードかカディマを支援している。保守は正統派ユダヤ教徒を中心とし、巨大勢力であるキリスト教右派と連携している。保守の中には、自由至上主義者(リバータリアン)や新保守主義者(ネオコン)もいる。
 このような政治的多様性を示すアメリカのユダヤ人だが、彼らの大多数に共通しているのは、親イスラエルの感情・思想を持つことである。そして、アメリカのユダヤ人団体の多くはイスラエルと結託して、アメリカという国家がイスラエルにとって有利な政策・行動を行うように、強力に働きかけている。ユダヤ系米国人には、政治・経済・科学・文化・芸術・教育等で活躍している知識人や有力者が多く、社会的な影響力がある。彼らの活動によって強固なアメリカ=イスラエル連合が築かれ、またそのもとで、アメリカのユダヤ人は強力な政治力を発揮している。
 佐藤唯行は、著書『アメリカ・ユダヤ人の政治力』で、20世紀の後半以降、ユダヤ人がアメリカで類まれな政治力を振るってきた理由を8つ挙げている。
 (1)財力、(2)重点特化の戦術、(3)格別に高い政治関心、(4)人材の育成とリクルート・システム、(5)政治家予備軍としての法曹集団に占める高い占有率、(6)ユダヤ人団体のネットワークと広報・宣伝活動、(7)抜群の投票率、(8)大統領選挙の勝敗を左右する大州に人口が集中――である。
 佐藤は、他の著書でもこの点について書いている。それも踏まえて、彼の見方の概要を書く。
ユダヤ人の政治力が彼らの強大な経済力に拠っていることは明らかである。彼らの経済力については、先の項目に書いたが、ユダヤ人社会の財力は、過去半世紀の間に大幅に増えている。民主党の政治資金のおよそ60%をユダヤ人が提供している。共和党においても35%は超えている。ユダヤ・マネーなくして大統領選挙、連邦議会選挙等を戦い抜くことは不可能になっている。
 票田としてのユダヤ人のパワーは、ユダヤ人口が長期的に漸減している中で、ゆるやかな衰えを見せている。しかし、選挙資金調達者としての彼らのパワーは、過去半世紀の間衰えることなく増大の一途をたどってきた。莫大な選挙資金を集めるユダヤ人大富豪たちのネットワークと彼らの発言力こそが、ユダヤ人の政治力を生み出す源泉となっている。
 ユダヤ人は、政治的要求を絞り込み、そこに持てる力を集中して投入することによって、戦略的に行動し、政治的影響力を見事に発揮している。
 ユダヤ人は、政治に対する過度といえるまでの関心を示す。タルムードは学識ある者が公的活動へ参加することを推奨しており、政治への関心は伝統的にユダヤ知識人の宗教的情熱の表れだった。
 ユダヤ人社会には、高い政治意識を持った若者たちを政治の世界へリクルートし、彼らを将来の人材として育成するシステムが存在する。また、ユダヤ人は古くから法曹の世界へ大量に進出し、高い占有率を持つ。法曹集団が有力政治家の人材輩出源となっている。
 ユダヤ人口が減少しているにもかかわらず、彼らの政治力はむしろ増大している。2009年の時点で、ユダヤ議員団は上院の13%を占めた。定数100人のうち13人である。下院には6.9%となる30人の議員がいた。うち8人がカリフォルニア州の選出だった。これは、ハリウッドの娯楽・メディア産業のユダヤ人大富豪が献金する潤沢なユダヤ・マネーによっている。ハリウッドは、ウォール街と並ぶ民主党の2大集金源の一つである。
 アメリカには、政治的メッセージを発信・伝達する全国的なユダヤ人団体のネットワークがある。また、世論に影響を及ぼす広報・宣伝活動のスキルと能力の高いスタッフとボランティアがいる。
 ユダヤ人の政治意識は高く、投票率は他のいかなるエスニック・グループ(民族的集団)よりも、はるかに高い。全米平均の2倍近い90%前後に達している。
 ユダヤ人は大統領選挙の勝敗を左右する大州に多く住んでいる。人口の約81%が都市化・産業化の進んだ9つの州に集中している。ニューヨーク州やカリフォルニア州等がそれである。50州に割り当てられた選挙人団のうち、その9州の持ち分は38%を占めている。
 こうしたことによって、ユダヤ人は20世紀の後半のアメリカにおいて、類まれな政治力を発揮できている、と佐藤は説いている。これも卓見だと思う。

 次回に続く。

ユダヤ130~今日の米国ユダヤ人の経済力(続き)

2017-11-24 08:55:03 | ユダヤ的価値観
●今日の米国ユダヤ人の経済力(続き)

 20世紀は、映画の時代の始まりであった。アメリカの映画産業の多くは、ユダヤ人に組織された。20世紀初頭、多数の映画製作会社が設立されたが、やがて8大会社に統合された。そのうち、ユニバーサル、20世紀フォックス、パラマウント、ワーナー・ブラザーズ、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、コロンビアの6社は、事実上ユダヤ人が設立したものだった。
 映画のプロデューサー、ディレクターにもユダヤ人が多い。ジョージ・ワシントン大学の政治学助教授ロバート・リクターの調査結果によると、1965年から82年の間に大手映画会社の中で働いていたプロデューサー、ディレクターの62%が、ユダヤ教を宗教とする家庭で、ユダヤ人として育てられた人物だった。
 映画は娯楽の手段であるとともに、情報を広める手段でもある。映画の内容には、映画会社の所有者や製作者のメッセージと価値観が込められている。ハリウッドは、大衆に手軽な娯楽を提供しつつ、娯楽を通じて見る者に、彼らの思想を吹き込んでもいる。映画は、アメリカ=ユダヤ文化の世界的な宣伝・普及に一役買ってきたと言えるだろう。
 次に、生活用品に話を移そう。アメリカの大規模製造業は、伝統的にWASPが支配してきた。また、アメリカでは、国際石油資本はアラブ産油国との友好を重んじ、ユダヤ人を雇用から排除し続けてきた。そうした中で、小規模な製造業や流通業は、ユダヤ人が進出できる分野だった。
 化粧品業界は、小資本のユダヤ移民の企業家が成功し得る産業だった。レブロン社、ヘレナ・ルビンシュタイン社、マックス・ファクター社、エスティ・ローダー社等は、ユダヤ人が創業者主である。世界最大の蒸留酒メーカーのシーグラム社は、ユダヤ人が創業したカナダの酒造メーカーである。アメリカの禁酒法時代に、カナダで酒造することで莫大な富を形成した。バービー人形で有名な世界的玩具会社のマテル社は、ユダヤ人が設立した。ユダヤ人は、百貨店や通信販売などで流通にも才能を発揮してきたが、大量小売業でも、ホームデポ、トイザラス等を生み出している。
 20世紀後半は、情報革命の時代となった。情報革命は、18世紀の産業革命以上に、人間の生活・文化・社会を大きく変えた。コンピュータの動作原理を考案した「コンピュータの父」ジョン・フォン・ノイマン博士は、ユダヤ人だった。ノイマンは第2次世界大戦のさなか、新しい計算システムをプログラムした近代コンピュータのひな形を開発した。また、サイバネティクスの創始者ノーバート・ウィーナーも、ユダヤ人だった。ウィーナーは通信工学と制御工学の総合の他、ロボティクスやオートメーションなどでも画期的な研究を行った。
 1990年代から、アメリカにおけるユダヤ人の最新事業は、情報通信産業に集中している。ビル・クリントン政権では、シリコンバレーを中心とした情報通信産業によって、世界を巻き込む情報革命構想が作られた。副大統領アル・ゴアの情報スーパーハイウェイ構想は、それに乗っかったものといわれる。
 情報テクノロジーの分野では、基幹OSで世界を席巻するのが、マイクロソフト社である。ビル・ゲイツはユダヤ人ではないが、彼の右腕として同社のCEO(最高経営責任者)を務めたスティーブン・バルマーは、ユダヤ人である。またパソコン・ハードの雄、デル社の創業会長マイケル・デル、ソフトウェア・データベースをリードするオラクル社の創業会長ラリー・エリソンも、ユダヤ人である。情報化社会でもユダヤ系企業は、その中枢を抑えている。
 21世紀は、飢餓の時代になるという予測がある。人口の爆発的な増大、農地を含む自然環境の悪化、肉を中心とした食生活への変化、世界的な経済格差の拡大等が、その原因である。こうした中で、食糧を制する者が世界を制するとさえ、見られている。世界の穀物市場を事実上支配しているのは、五大穀物メジャーである。かつてはカーギル社、ブンゲ社、ルイ・ドレフェス社、コンチネンタル・グレイン社、アンドレ・ガーナック社が五大穀物商社に数えられた。カーギルを除き、すべてユダヤ系資本だった。またすべて同族企業であり、株式も非公開だった。五大穀物メジャーは現在、コンチネンタル・グレイン社、アンドレ・ガーナック社が抜け、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社(ADM)、グレンコア社が加えられる。そのうち、ADMとカーギルが双璧であり、ともにアメリカに本拠を持つ。現在も、アメリカのユダヤ人が食糧ビジネスの相当部分を握っていると見られる。
 佐藤唯行は、著書『アメリカ・ユダヤ人の経済力』で、ユダヤ人企業家がアメリカで成功した理由を6つ挙げている。
 (1)教育を重視する宗教的・歴史的伝統、(2)中世以来、都市生活で蓄積された商工業の技術、(3)出稼ぎ的意識が少なく永住志向、(4)歴史的に育まれた倹約精神、(5)マージナルマン(周辺人)の視点、(6)祖国なき民が生み出した国際的な同族ネットワークーー――である。
 佐藤は、他の著書でもこの点について書いている。彼の見方の概要を書く。
 古来、ユダヤ教徒にとって無学は最も恥とされた。無学のためにユダヤ教の聖典を読めないことは罪であり、来世では永遠の罰が定められていると信じられてきた。そのため前近代のヨーロッパで、ユダヤ人の識字率は例外的に高かった。識字率の高さは、英語の習得を容易にした。
中世以来、多くのユダヤ人は商工業の中心である都市に暮し、商工業の技術を蓄積してきた。そのことが、20世紀のアメリカで急速に進展した都市化・産業化の流れに、うまく適応することを可能にした。
 ユダヤ人は他の移民と異なり、アメリカで是非とも成功する、という不退転の覚悟を秘めた永住志向の移民だった。そのことがユダヤ移民の企業家を成功に導いた。
 歴史的に贅沢な暮らしから排斥されてきたユダヤ人家庭では、倹約精神が育まれた。倹約精神は、初期の不動産投資や零細な事業を起こす際に大きな助けとなった。
 ユダヤ人は、歴史的に、社会の周辺部から中心部を批判的に観察する姿勢を身に着け、多くの人々が疑わない常識の裏側を見抜く能力を育んだ。このマージナルマンの視点が、ユダヤ人の創造力の源となった。
 祖国を失ったユダヤ人は、国家をあてにすることができなかった。国家の枠組みを超えた同族間の結びつき、世界中に張り巡らされた人的ネットワークを拠り所とするしかなかった。そうした体験から、近代国民国家の枠組みを越え、国際的な視野でビジネス・チャンスをとらえる視点が育まれた。
 こうしたことによって、ユダヤ人企業家はアメリカで成功し得たと、佐藤は説いている。具体的かつ網羅的な優れた分析だと思う。

 次回に続く。

ユダヤ129~今日の米国ユダヤ人の経済力

2017-11-22 08:53:24 | ユダヤ的価値観
●今日の米国ユダヤ人の経済力

 イスラエルに強い影響を与え、また逆に強い影響を受けてもいるのが、衰退しつつある超大国アメリカである。次に、アメリカのユダヤ人について、その経済力・政治力・ロビー活動等について書く。
 アメリカは今日、イスラエル以外では最大のユダヤ人人口を持つ国家である。アメリカには、527.5万人(2010年現在)のユダヤ人がいる。彼らは、ユダヤ系アメリカ人である。ユダヤ系アメリカ人は、ドイツ系アメリカ人、アイルランド系アメリカ人、イタリア系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人等と同じく、エスニック・グループの一つである。
 ユダヤ人は全米の人口の1.7%にすぎないが、金融・報道・法曹・科学・教育・芸術等で優秀な能力を発揮している。アメリカのユダヤ人の6~7割は、経済的・文化的・通信広報的な中心であるニューヨークに住む。ニューヨークの人口の3~4割はユダヤ人といわれ、「ジューヨーク」というあだ名があるほどである。
 ユダヤ人といっても、彼らは多様である。1830年代以降を中心にドイツから来たユダヤ人と、19世紀後半以降にロシアや東欧から来たユダヤ人では、生活文化が異なっていた。ユダヤ教の信仰についても、正統派・超正統派に対して改革派がおり、その中間の保守派もいる。正統派・超正統派はユダヤ教の信仰を厳格に守っているが、改革派は資本主義社会に順応し、積極的に経済活動を行う。また広義のユダヤ人には、ユダヤ教徒だけでなく、キリスト教徒や唯物論者もいる。政治的には、民主党を支持するリベラルな者が多いが、共和党を支持する保守的な者もいる。古典的自由主義の自由至上主義者(リバータリアン)や新保守主義者(ネオ・コンサーバティスト)すなわちネオコンもいる。決してアメリカのユダヤ人は、一枚岩ではない。
 そうしたアメリカのユダヤ人が、今日アメリカの支配集団と融合し、アメリカという国家の政治・経済・外交・安全保障等に強い影響力を振るうようになっているのは、なんといっても彼らの経済的な能力の高さによる。また、彼らの経済能力の高さが、アメリカからユダヤ的価値観が世界に広がっている要因の一つになっている。
 20世紀前半にかけては、大英帝国が世界を席巻した。イギリスの資本主義及び帝国主義は、アングロ・サクソン=ユダヤ文化の産物であり、そこにはユダヤ的価値観が実現されていた。アングロ・サクソン=ユダヤ文化は、アメリカでさらに独自の要素を加えたアメリカ=ユダヤ文化として発達した。このアメリカ=ユダヤ文化の核心的要素に、ユダヤ的価値観がある。ヨーロッパの伝統から離れた新大陸の社会で、物質中心・金銭中心、現世志向、自己中心の考え方、対立・闘争の論理、自然を物質化し、自然の征服・支配を行う思想は、一層極端へと推し進められた。そして、第2次世界大戦後、超大国となったアメリカの文化が世界に広がった。同時にそこに融合しているユダヤ文化、そしてユダヤ的価値観が地球規模で浸透してきている。
 第2次世界大戦後、アメリカのユダヤ人の経済活動は、戦前・戦中の発展を土台として、大きく飛躍した。アメリカのユダヤ人の経済力については、佐藤唯行の著書『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』『アメリカ・ユダヤ人の経済力』等に詳しい。
 2006年(平成18年)現在、総人口の2%弱にすぎぬアメリカ・ユダヤ人が、全米トップ100人の大富豪の中で、32人を占めていた。ここでの大富豪は、個人資産25億ドル以上の者を言う。
 大富豪のリストに挙がったユダヤ人には、次の者たちがいる。マイケル・デル(デル社)、ラリー・エリソン(オラクル社)、スティーブン・バルマー(マイクロソフト社会長)、サーゲイ・ブリン(グーグル社)、サムナー・レッドストーン(ヴァイアコム社)、サミュエル・ニューハウス2世&ドナルド・ニューハウス(ニューハウス社)、ジョージ・ソロス(クオンタム・ファンド)、ロナルド・ペレルマン(レブロン社)、マイケル・ブルームバーグ(ブルームバーグL.P.)、ラルフ・ローレン(ポロ・ラルフ・ローレン社)、モーリス・グリンバーグ(AIG)、エドガー・ブロンフマン1世(シーグラム社)、レナード・ローダー(エスティ・ローダー社)、スチーブン・スピルバーグ(映画監督)等である。
 佐藤によると、現代アメリカ・ユダヤ人の資産形成において、第一の源泉となったのは、一般に想像されているように、金融、証券、為替取引によってではなく、不動産投資だった。今日のユダヤ人大富豪のうち約半分が不動産の開発・投資により資産を形成した。雑誌『フォーブス』は毎年世界の長者番付・企業番付を掲載しているが、歴史学者E・S・シャピロによると、1980年代前半のフォーブス番付に登場したすべてのユダヤ人を検証した結果、彼らのうち約半分が、第2次大戦後の不動産ブームで、不動産の開発・投資により資産を形成した。不動産業は、多額の設備投資が必要なく、卸業・小売業のように仕入れた商品の在庫を常に抱え込むリスクを負う必要がない。それゆえ、ユダヤ人は事業がしやすい。
 次にユダヤ人の大富豪層が資産形成を行っていくうえで、不動産事業に次ぐ重要な事業となったのは、マスメディアだった。
 ユダヤ人にとって情報は、自らの安全保障に不可欠の要素である。ユダヤ人は情報そのものを貴重な財産と見るから、積極的にメディア産業に乗り出した。
 ネイサン・ロスチャイルドは、通信網のない19世紀初頭の時代に伝書鳩と飛脚を駆使して、為替相場の仕手戦に勝利を勝ち取った。19世紀の中ごろまでに、ユダヤ人は新聞社などの通信産業に進出していた。ドイツ系ユダヤ人ポール・ジュリアス・ロイターは、イギリスで1849年にロイター通信社(現トムソン・ロイター)を設立し、やがて全世界に広がる通信網を作り上げた。
 アメリカにおいては、1896年にニューヨーク・タイムズ(NYT)をユダヤ人アドルフ・オックスが買収した。オックスの死後は、娘婿のアーサー・ヘイズ・サルツバーガーとその子孫により、代々所有され続けている。NYTは、米国民の中で強い影響力を持つ者たちが主要な情報源として読む新聞であるため、アメリカで最も影響力を持つ新聞と評価されている。論調はリベラルであり、特にユダヤ人リベラル派の代弁紙となっている。読者の3分の1はユダヤ人が占めているとされる。
 ほかにワシントンポスト(WP)、ウォールストリートジャーナル(WJ)、ニューヨークポスト(NP)等が、ユダヤ人の築いた有力紙である。政治経済の雑誌も、タイム(TM)、ニューズウィーク(NW)、USニューズ・アンド・ワールド・リポート(USNWR)の三大高級誌やフォーチュン等、ユダヤ人が創業したり、所有したりしてきた紙の媒体は数多くある。こうした媒体を通じて、情報や主張を流通させることで、ユダヤ人の指導層はアメリカの大衆を誘導し、世論を操作することを可能にしている。
 主に趣味や娯楽に関わる大衆向けのメディアでも、ユダヤ人が目立つ。1985年に『フォーブス』が発表した長者番付によると、ユダヤ人大富豪20傑のうち、首位はニューハウス兄弟だった。ニューハウス社の創業者サミュエル・ニューハウスは、ロシア系ユダヤ移民2世で、大衆紙の帝王となった。雑誌にも手を広げ、ニューハウス社は『ヴォーグ』『グラマー』『マドモアゼル』『ハウス・アンド・ガーデン』を含む一流雑誌を30近くも所有する。
 マスメディアは、20世紀前半から電波の時代に入った。ここでもユダヤ人の活躍が目覚ましい。アメリカでは、ラジオ・ネットワークが組織された1920年代後半から、CBSとNBCの2社が電波を支配した。CBSの創業者は、ユダヤ人ウィリアム・ペイリーで、創業社主として所有・経営の両面から同社を支配してきた。NBCはRCAの子会社だった。RCAは、エレクトロニクス事業を中心とする企業である。その子会社のNBCは、ロシア系ユダヤ人のデイヴィッド・サーノフが育て上げた。サーノフは「テレビ放送の父」と呼ばれる。
 アメリカでは、CBS、NBCにABCを加えて、三大テレビ・ネットワークと呼ばれてきた。ABCは、1943年にNBCのラジオ・ネットワークから独立する形で創立された。創業者は、エドワード・ノーブルらで、1948年からテレビ放送を開始した。こうしたテレビ局のニュース解説者の大半が、親イスラエル的な発言をしている。
 現在は三大ネットワークに、FOXを加えて、四大ネットワークということが多い。FOXは、1996年にニューズ・コーポレーションが設立したニュース専門放送局である。ユダヤ人のメディア王ルパート・マ―ドィックが買収したことで、ユダヤ人所有のメディアとなった。オーストラリア生まれのマードックは、猛烈な勢いでイギリスのマスメディアを買収し、さらにアメリカに進出した。有力な新聞・雑誌を押さえ、FOXも買収した。
 マードックの背後にはロスチャイルド家がいる。彼とロスチャイルド家を結ぶ人物にアーウィン・ステルザーがいる。ステルザーは、ニューヨークで投資銀行と金融経済顧問をかねるロスチャイルド社の代表である。彼が経営するロスチャイルド社の親会社は、世界金融界の頂点に立つロンドン・ロスチャイルド銀行である。ステルザーは、マードックの「最も重要な資金面の後ろ盾」となっていると広瀬隆は言う。
 マードックのメディア買収は、ロスチャイルド家の対米戦略の一環と考えられる。メディアを使って、自己に有利になるように、アメリカの世論に影響を与えることができるからである。FOXは保守的で共和党寄りの論調が特徴だが、2010年に英ガーディアン社が行った米国の世論調査では、回答者の過半数が最も信頼できるニュース放送網としてFOXニュースを挙げた。2位はCNNで39%だった。
 アメリカの主要なマスメディアには、ユダヤ人が多く勤務してもいる。1999年の調査によると、3大高級紙(NYT、WP、WJ)、三大高級誌(TM、NW、USNWR)、当時の3大テレビ・ネットワーク(CBS、NBC、ABC)で働く全従業員の27%が、ユダヤ人もしくはユダヤ系の出自で占められていた。さらに主要メディアの幹部クラスになると、ユダヤ人の占有率は一段と高まる。例えば、1979年に、ABCのプロデューサーとエディターは、実に58%がユダヤ人だったとされる。こうした傾向は、現在まで変わっていないと見られる。アメリカのユダヤ人は、主要なメディアを所有し、またそのメディアを通じて、自分たちのものの見方や価値観をアメリカの大衆に、さらに世界に発信しているのである。

 次回に続く。

ユダヤ128~21世紀のロスチャイルド家(続き)

2017-11-19 08:44:28 | ユダヤ的価値観
●21世紀のロスチャイルド家(続き)

 今日の放射性物質の利用は、マリ・キュリーがラジウムを発見したことに始まる。そのラジウムの製造所を、いち早くパリ家のアンリ・ロスチャイルドが造った。
 大戦中、フランスがナチス・ドイツに占領されると、シャルル・ドゴール将軍はロンドンに逃れた。ドゴールは、イギリスのチャーチル同様、ロスチャイルド家に忠実だった。自由フランス軍やレジスタンスを指揮して、ドイツからフランスを解放すると、原子力庁を創設し、マリ・キュリーの息子フレデリック・ジョリオ=キュリーを初代長官とした。原子力庁は、ロスチャイルド家のウラン支配を前提に創られたものだった。公的な機関でありながら、「幹部には自由な活動が認められる」と政令に定めていた。ドゴールとともに原子力開発を進めたのが、ユダヤ人の死の商人マルセル・ダッソーと、パリ家の5代目当主ギイ・ロスチャイルドだった。
 原子力庁の実働部隊のリーダーには、ベラルトン・ゴールドシュミットが任命された。ゴールドシュミット家は、ドイツ・フランクフルトのロスチャイルド家と婚姻関係を結ぶことによって、同家の後を継いでいる。ベラルトンは、パリのキュリー研究所の出身で、米国のマンハッタン計画に関与した。またアンソニー・ロスチャイルドがカナダのウラン鉱山の土地買収を行う際にも貢献した。ベラルトンは、原子力庁の化学部門を担当し、ウランの精製と濃縮などを指揮した。こうして、今日のヨーロッパ原子力産業の骨格がほとんどロスチャイルド家の手でつくられた。フランスは、原子力発電の最先端の技術を持ち、日本と全ヨーロッパから放射性廃棄物を集め、その処理を行っている。
 アメリカもウランの主な資源国である。アメリカの西部では、1950年代からユタ州を中心に広大なウラン鉱が次々と発見され、カリフォルニア、コロラド、ネバタなどの各州でウランが掘り出された。そこにユタ・インターナショナルを根城とするアメリカのウラン・カルテルが誕生した。このカルテルは、銅山業者のケネコットと非鉄金属で世界一のアサルコが支配するものである。これらの2社の役員を占めてきたのは、ロスチャイルド家グループの鉱山王グッケンハイム家だった。グッケンハイム家は、アメリカ・ロスチャイルド家のヴィクター・ロスチャイルドの娘アイリーン・ロスチャイルドと婚姻関係を結んでいる。それゆえ、アメリカのウラン・カルテルもロスチャイルド家の傘下にある。
 こうして、ロスチャイルド家とそのグループは、世界のウランの大部分を掌中にしている。そのことは、多くの国は核兵器の製造や原子力発電所の建設・維持を行うために、ロスチャイルド家とそのグループの意思に沿わねばならないことを意味する。なお、ロスチャイルド家の最大のライバルと見られるロックフェラー家は、ウラン関連では、原子力発電所の建設に深く関わっている。
 ところで、アメリカのビル・クリントン政権で副大統領だったアル・ゴアは、ウラン産業と関係のある人物である。父親が旧ソ連に利権を持つユダヤ人の政商アーマンド・ハマーの企業であるオクシデンタル石油の副社長であり、ウラン鉱山を所有する子会社オクシデンタル・ミネラルズの経営に関与していたことによる。ゴアは2000年の米国大統領選挙でブッシュ子に敗れた後、地球環境保全を訴える著書『不都合な真実』を書いて、世界的にその主張が知られた。映画にもなった。彼の地球環境保全運動は、単なるエコロジーではなく、環境保全ビジネスである。また、彼は、ロスチャイルド家に連なる人物である。娘カレナは、ロスチャイルド家の米国代理人ジェイコブ・シフの曾孫アンドリュー・N・シフと結婚している。
 この項目の結びに、ロスチャイルド家とロックフェラー家の財力・勢力の比較について再度、述べておきたい。両家の関係について、ロスチャイルド家が今も圧倒的な力を持つという見方と、ロスチャイルド家は衰退し、今やロックフェラー家が大きく優勢だという見方がある。だが、比較するには、両家の資産が公開されていなければならないが、そういうデータは見いだせない。それゆえ、どちらの見方も主観的な意見にとどまっている。正確なデータがない以上、断定的な主張はできない。ただし、私は、次のことは言えると思う。一つは、第2次世界大戦後、エネルギーの主力が石油になったことで、もともと石油産業が基盤のロックフェラー家が大きく成長したこと。またロスチャイルド家の拠って立つイギリスが凋落し、ロックフェラー家の拠って立つアメリカが超大国になったこと。これらによって、相対的にロスチャイルド家が減勢し、ロックフェラー家が増勢していると言えるだろう。また、ロスチャイルド家を中心としたユダヤ系金融資本は、その資金力を駆使して巻き返しを進めてきていると見られる。
 ロスチャイルド家とロックフェラー家という両家の関係は、全くの対立関係ではなく、様々な分野で競争しつつ、連携もしているという関係だろう。その連携の部分とは、アメリカ=イスラエル連合であり、国際連合であり、アメリカの連邦準備制度であり、国際通貨基金であり、またアメリカの外交問題評議会であり、ビルダーバーグ・クラブ等であり、それらを通じた世界統一市場、世界統一政府の建設を目指す運動である。

 次回に続く。

ユダヤ127~21世紀のロスチャイルド家

2017-11-17 08:50:30 | ユダヤ的価値観
●21世紀のロスチャイルド家

 イスラエルの背後には、ロスチャイルド家という世界最大の大富豪とそれに連なる巨大国際金融資本家たちがいる。そこに、アメリカ=イスラエル連合という、巨大な資金力、軍事力、諜報力を持つ勢力が形成されている。
 ここで、今日のロスチャイルド家について書くと、19世紀に栄華を誇ったロスチャイルド家のうち、現在残っているのは、ロンドンのロスチャイルド家とパリのロスチャイルド家(ロチルド家)である。ほかの分家は、ヨーロッパの政治・経済の激動やユダヤ人迫害の中で消滅したか、男系が絶えたため婚姻により別の家が継いでいる。英仏のロスチャイルド家、その親族及びその系列の銀行・企業等を合わせて、ロスチャイルド家とそのグループということができる。
 英仏のロスチャイルド家は、今なお世界で最も巨大な資金力を持つ家柄の一つである。これにつらなるグループは、金(ゴールド)・ダイヤモンド・石油・ウラン等の重要資源の多くを抑えている。
 金とダイヤモンドについては、ロスチャイルド家は、そのグループに属する南アフリカのオッペンハイマー財閥等と連携し、国際価格を思いのままに操れるほどの独占的な地位を保っている。
 まず金の国際価格は、ロンドンにある通称「黄金の間」での取引で、事実上決定される。「黄金の間」は、ロスチャイルド家の本拠N・M・ロスチャイルド&サンズ社のなかにある。ロスチャイルド家とそのグループが取り仕切る金によって、シティとウォール街が結ばれている。通貨を含むあらゆる金融商品は、究極において今も金(ゴールド)によって価値を裏付けられている。その大元のところをロスチャイルド家が掌握している。
 また、ダイヤモンドはイスラエルの主要産業だと先に書いた。大英帝国時代の1888年、ロスチャイルド家に忠実なセシル・ローズが同家支援で南アフリカに作ったデビアス社が、現在も世界のダイヤモンドの8割を支配している。イスラエルは、ロスチャイルド家の支援を受けて、ダイヤモンドの輸出入を行って、富を得ている。
 次に、石油については、1930年代以降、オイル・メジャーと呼ばれる巨大な国際石油企業が、世界の石油を支配してきた。1968年にアラブの産油国がOAPECを結成し、以後メジャーの寡占体制に対抗する構図となっている。しかし、アメリカ、イギリス、オランダ系の7社、セブン・シスターズ(七人姉妹)の優位は変わらない。石油は、アメリカのロックフェラー家の主要産業だが、ロスチャイルド家とそのグループも、イギリスとオランダを中心とするロイヤル・ダッチ・シェルに投資しており、メジャーの一角を占めている。
 次に、水についてだが、水は「21世紀の石油」といわれるほど、価値が上がりつつある。21世紀後半「飢餓の時代」になるという予測があり、食糧の生産・販売は今後一層重要性を増す。ロスチャイルド家とそのグループは、人間の生命に直結する水と食糧についても相当部分を傘下に収めていると見られる。
 ここで特筆したいのは、ウランについてである。ウランは、核兵器の原料であり、また原子力発電所の燃料である。現代世界の軍事とエネルギーは、ウラン抜きには成り立たない。そのウランの多くをロスチャイルド家とそのグループが抑えている。
 ウランは、戦前からロスチャイルド家所有のアフリカのウラン鉱山で採掘されていた。その後、今日までウランの鉱山は、ロスチャイルド財閥が、ほぼ独占してきた状態である。ロスチャイルド家とウランの関係については、広瀬隆の著書『赤い盾』が詳しいので、その記述に基づいて概略を記す。
 ロスチャイルド家のウラン支配は、英仏のロスチャイルド家の連携による。ロスチャイルド家は、初代マイヤー・アムシュルの三男ネイサンが、ロンドン家の初代当主となった。そのネイサンの血を引く者は、ロンドンのアンソニーとパリのアンリの二人だけとなった。彼らは、アムシェルから数えて5代目にあたる世代である。
 ロンドン家の当主となったアンソニーは、パリ家の鉱山会社ペナロヤの創業一族から、イヴォンヌ・カーエンを妻に迎えた。一方、アンリは、イギリスのリオ・チント・ジンク社の創業一族と結婚し、スペインからアフリカまで広大な範囲の鉱山を支配した。こうして、ロンドン家とパリ家が妻となる女性を交換し合うことで、大戦後、ロスチャイルド家はウランをほぼ独占的に支配することが可能になった。このことは、石油の時代であるとともに、原子力の時代である20世紀以降の世界において、ロスチャイルド家とそのグループは大きな強みを加えたことを意味する。
 1945年、アンソニー・ロスチャイルドは、カナダに広大な山林の開発権を獲得した。その開発権は、イングランドの面積に匹敵する13万平方キロに及んだ。アメリカによる原爆投下の成功を受けて、アンソニーは、そこで世界最大のウラン鉱山を開発する事業を進めた。傘下の資源会社リオ・チント・ジンク社とその子会社のリオ・アルゴムが、この事業を担った。両社は、南アフリカのナミビアのロッシング・ウラン鉱山を支配し、さらにオーストラリア鉱業を通じてオーストラリアのウラン鉱山も支配するようになった。
 パリ・ロスチャイルド家の方では、アンソニーの妻の実家カーエン家が創業したペナロヤとその親会社ル・ニッケル(現イメタル)を中心に、傘下にあるウラン・メジャーのモクタ等が鉱山事業を担っている。
 こうして北米・アフリカ・オーストラリアの3大陸のウランを、ロスチャイルド家とそのグループが支配する体制ができた。英仏のロスチャイルド家は、親族間結婚の閨閥で結ばれるとともに、重役の席を相互に交換しており、ウランの国際秘密カルテルを形成し、価格を自由に操作できる体制を生み出した。ロンドンのリオ・チント・ジンク社が、その元締めになっている。

 次回に続く。

ユダヤ126~イスラエルの国防と産業

2017-11-15 10:45:49 | ユダヤ的価値観
●イスラエルの国防

 古代ローマに祖国を滅ぼされ、各地で流浪を続けたユダヤ人は、敵と戦わず、敵と取引し、金を払い、能力を提供して、生き延びることを、生存と繁栄の方策としてきた。国家がなく、領土も持たず、独自の軍隊も持たなかった。だが、ユダヤ人は、イスラエルの建国で大きく変わった。祖国を守るために、戦争や武力衝突を繰り返す。自らが生き延びるためには、周辺諸民族を攻撃し、その土地を奪う。脅威を受ければ先制攻撃をためらわない。そうした好戦的な国民性が形成された。この変化は、聖書に書かれている古代パレスチナ時代の民族性への回帰である。イスラエル国民は、先祖返りをしたのである。
 シオニズムによってパレスチナに強引に建国されたイスラエルは、周辺諸国と敵対関係にあり、常に、戦いに負ければ、国が消滅するという瀬戸際にある。そのため、国防体制は強固である。国民皆兵制が敷かれ、18歳で徴兵が行われる。男性は3年、女性は2年の兵役が課せられる。正規兵は、召集兵11万人と職業軍人6万人を合わせた約17万人。これに加えて、40万人超の予備役兵がいる。予備役兵は、訓練を繰り返し、練度を保ち、有事に備える。45歳まで年間4~6週間出勤を義務付けられている。兵役の義務を厭う者は、イスラエルには所属しえない。そうした者は、徴兵制のない他国に所属することを選択するだろう。
 イスラエルは、アメリカの支援や軍事技術の提供を受けて、高度な軍事力を持つ。とりわけ、核兵器を保有していることが、中東における圧倒的な強みになっている。アメリカは国際社会に向かって核拡散防止を訴えているが、イスラエルに対しては核爆弾製造に必要な莫大な量の高濃縮ウランを極秘に提供し続けている。イスラエルは、推定200発程度の核爆弾を保有していると見られる。
 イスラエルの核戦略は、単なる抑止力の保持ではない。敵を威嚇し、必要とあれば躊躇なく核を使って敵を叩き潰すという攻撃的なものである。これを「サムソンの選択」という。古代ユダヤの英雄サムソンが絶体絶命に陥った時、多くの敵を道連れに自死した伝説に基づく。イスラエルは追い詰められれば、核兵器を使う。それがわかっているから、周辺諸国はうかつに手を出せない。中東の地域大国イランは、イスラエルに対抗するため、核開発を行おうとしている。だが、イスラエルの場合と違い、アメリカをはじめとする欧米諸国は、イランに強い圧力をかけ、経済制裁を行う。全くのダブル・スタンダードが取られている。
 イスラエルの安全保障は、軍事力だけでなく、諜報力にも裏付けられている。周辺諸国と敵対関係にあるイスラエルは、いわば敵に包囲されているようなものである。国を守るには、敵の動きをいち早く、正確に察知することが必要であり、情報収集こそが国防の第一と認識されている。そのために、イスラエルは、モサドという諜報機関を1951年に創設した。1954年に、モサドは、米CIA長官になったアレン・ダレスと提携した。ダレスの手配で、最新式の盗聴器・探知機・遠距離撮影用カメラなどのスパイ装置が配備され、CIAとモサドは秘密情報用の裏ルートとホットラインを設置した。その後も、モサドを育てたのは、アメリカである。
 モサドは、アメリカのCIA、イギリスのMI6、旧ソ連のKGBと肩を並べる諜報機関へと成長した。その諜報能力は、世界最高という見方もある。モサドの正規の人員は、わずか200人ほどといわれる。だが、おびただしい協力者が世界中にネットワークを張り巡らし、正規メンバーの活動を支えている。
 諜報機関は、情報を収集するだけではない。自国に有利になるように、宣伝工作を行う。戦略的なプロパガンダである。国際社会におけるユダヤ人の地位に深く関わるホロコースト説についても、単に民間のユダヤ人が唱えているだけでなく、国家的な諜報広宣機関が関与していることだろう。モサドと反ユダヤ主義監視団体は、一体となって活動していると見られる。

●イスラエルの産業

 次に、イスラエルの産業について述べる。イスラエルは、中東の乾燥地帯に位置する。鉱工業の資源は豊かではない。そうしたイスラエルが産業の中心にしているのが、ダイヤモンドである。輸出入とも第1位を、ダイヤモンドが占める。インド等から原料を輸入し、加工して各国に輸出している。
 ユダヤ人とダイヤモンドの関係は古く、また深い。古代から18世紀初頭まで世界唯一のダイヤモンド産出地は、インドだった。ユダヤ商人はインドへ行って、中近東やヨーロッパのユダヤ商人と協力して、ダイヤモンドの取引をしていた。中世のヨーロッパで高利貸しとなったユダヤ人は、封建諸侯や貴族が担保として出す金銀細工や宝石類を鑑識する眼を養った。ポルトガルの全盛期には、ユダヤ人がインドからダイヤモンドの原石をヨーロッパに持ち込んだ。その原石がカットの技術によって、宝石としての価値を持つようになった時、ユダヤ人を支える大きな力になった。15世紀末にイベリア半島から追放されたユダヤ人の一部は、オランダやベルギーに逃れ、そこでダイヤモンドの研磨・取引・販売に従事した。それが、本格的な産業への端緒となった。17世紀には、加工技術がさらに発達した。迫害・追放・移住の繰り返しの中で、ダイヤモンドは彼らが生活を守るために重要な手立てとなった。
 第2次世界大戦の前まで、ダイヤモンドの世界最大の加工センターは、ベルギーのアントワープだった。アントワープは今も世界のダイヤモンド加工と取引の中心地だが、そのさらに中心部にあるペリカン通りには、ユダヤ人しか住んでいないといわれる。大戦中、当時イギリスの保護領だったパレスチナでは、ユダヤ人の国際的ネットワークのもとにダイヤモンド加工が行われていた。イスラエルでは、他にめぼしい産業がないことから、この経験が生かされ、ダイヤモンドの加工と取引が戦略的産業に位置付けられた。そして、イスラエルは、ベルギー・オランダのユダヤ人社会からダイヤモンドに関するノウハウを学び、ダイヤモンド産業の振興を図った。20年足らずで、ダイヤモンドが輸出の主力になり、イスラエルはアントワープと並んで、世界の主要なダイヤモンドの加工取引センターにのし上がった。
 ダイヤモンドは宝石としてだけでなく、工業に多く使われる。硬度が高いので、研磨等の機械に用いられている。現代工業の多くがダイヤモンドなくして成立しない。自動車、自転車、金属線、スクリューなどの製品は、ダイヤモンドの助けを借りて製造される。冷蔵庫、トースター、ラジオ、テレビなどあらゆる電気製品が、ダイヤモンドを使ったダイカストに依存している。世界の小型ダイヤモンドの約80%は、イスラエル製である。またイスラエルの対日輸出の70%を、ダイヤモンドが占めている。
 ダイヤモンドは、ロスチャイルド家のグループが世界の資源の多くを抑え、市場を支配している。イスラエルは、産業の中心であるダイヤモンドを通じても、ユダヤ系の巨大国際金融資本と固く結託している。

 次回に続く。

「ユダヤ的価値観の超克」第4部をアップ

2017-11-13 08:55:56 | ユダヤ的価値観
 ブログに連載中の「ユダヤ的価値観の超克~新文明創造のために」は、既に掲載した分をマイサイトに掲示していますが、このたび第4部「現代世界のユダヤ人」をそこに追加しました。第4部の章立ては、次のようになっています。

 第1章 イスラエルの建国で中東に対立構造が
 第2章 ホロコースト説は検証が必要
 第3章 ユダヤ人の人権と人類の人権
 第4章 ユダヤ的価値観の世界的普及へ
 第5章 米国政治とユダヤ人の活動 
 第6章 グローバリズムの推進 
 第7章 フランスにおけるユダヤ的知性 
 第8章 アメリカ・ユダヤ人の権力参入 
 第9章 経済学の歴史とユダヤ人 
 第10章 オバマ政権からトランプ政権へ

 通してお読みになりたい方は、下記へどうぞ。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-4.htm