ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

有事の円買いが、有事の円売りになる日

2017年08月12日 | 為替相場

  サイコパスのトランプと金正恩のチキンレース、どちらが先にハンドルを切って逃げるか、見ものです。

  なんて、高みの見物を決め込むのに、日本と言う国はむいていませんね。なにせ真上をミサイルが通過するというのですから、見物するには地政学上リスクが大きすぎです。

  なのに何故108円台になるのでしょう?

  日経新聞ニュースの4月18日付記事におもしろいスタディーが載っていましたので、みなさんにご紹介します。タイトル以降、写真を除きそのまま引用します。


「有事の円売り」が復活する日 
日経ヴェリタス編集長 小栗太  2017年4月18日

 

 いつから円は安全資産になったのだろう。米国によるシリアへのミサイル攻撃を機に北朝鮮情勢が緊迫するなかで「有事の円買い」の連想が働き、円高・ドル安が勢いづいている。

リーマン危機が転機に

 為替市場を取材して20年余り。最近気になるのがリスク時に安全資産とされる円にマネーが流れ込む「有事の円買い」だ。取材を始めたころは覇権国の米国にマネーが退避する「有事のドル買い」と学んだが、どこかで180度変わってしまった。

 過去の日本経済新聞を調べると、10年ほど前の2006年10月の記事が出てきた。見出しは「北朝鮮リスクで円売り」。北朝鮮の核実験を受けて「有事の円売り」が強まったという内容だ。ほんの10年で市場の法則がひっくり返ったことが分かる。

 いったい何があったのか。理由は2つ考えられる。1つは2000年代に入り、米同時テロやリーマン・ショックといった米国史に名を残す大事件が相次いで発生。なかでも08年のリーマン・ショックは米国市場の安全神話を根底から揺るがせ、「有事のドル買い」を弱める最大の要因になった。

 そしてもう1つは、市場を占拠しつつある機械取引の急拡大だ。機械取引は過去の相場材料と値動きの相関性を読み込み、自動で売買を判断する。いったん最近の「リスク増大→円高・ドル安」という相関性を読み込めば、地政学リスクの詳細な情勢分析をすることなく円買い・ドル売りが一気に膨らむ仕組みだ。

 ただ冷静に考えてみると、仮に北朝鮮情勢が緊迫した際は安全資産とされる円にマネーが流入するよりも、地理的に近い日本からマネーが流出するという解釈の方が受け入れやすいのではないか。万が一の武力衝突リスクを想定すれば、日本よりも米国の方が安全に思われるからだ。

2段階でリスクに反応

 かつて三菱東京UFJ銀行やドイツ証券で「有事の円売り」から「有事の円買い」への転換を目の当たりにしたFPG証券の深谷幸司社長は「リスク発生時の取引行動には段階がある」と指摘する。まず不透明感が浮上した時点で、市場参加者は持ち高を減らす行動に出る。例えば現状ではトランプ相場で買い上げた株式を売り、円安・ドル高を解消しようと円を買い戻す。そしてリスクが顕在化した時点では、どの国の実体経済や金融市場に悪影響が及ぶかを判断する。例えばリーマン・ショックの時は米国市場が痛むため、日本にマネーを移す動きが強まった。

 11年に東日本大震災が起きた後、「有事の円買い」の連想から円高・ドル安が加速し、円の最高値を更新した。市場では当時、保険会社が被災地で発生する保険金を手当てするために海外資産を取り崩す必要に迫られ、膨大な円買いが発生するという後講釈がなされた。だが実際は東京電力福島第1原子力発電所事故が発生し、企業のサプライチェーン(部品供給網)が寸断されるなど、日本経済に深刻な影響が及んだ。結局、日本が貿易赤字に転じる過程で「有事の円買い」は大幅な円安方向に修正されていった。

 FPG証券の深谷社長は北朝鮮で武力衝突が起きるような深刻な事態に進展した場合は「有事の円買い」がひっくり返り、再び「有事の円売り」に転換する可能性が十分あるとみる。

 トランプ米大統領はツイッターに「中国が協力しなければ、我々が中国抜きで問題を解決する」と投稿。北朝鮮の後ろ盾である中国に働きかけ、それでも改善しない場合は単独行動も辞さない姿勢を示す。

 「北朝鮮リスクで円売り」という見出しが再び紙面に載ることはあるだろうか。もっともそれは北朝鮮情勢が想定したくない事態に陥ることを意味するのだが。

  引用終わり


  みなさんはどう思われますか。

  私はもちろん「有事の円買いなどナンセンス」だと思っています。特に東日本大震災の時など、なんの根拠もない円高でした。しかし相場は相場。正しかろうが正しくなかろうが、それが相場です。

  じゃ、私が北朝鮮のミサイル準備情報を聞いて円を売るか買うか。もちろん円を買います。今の為替相場はかなりの程度FXと呼ばれる為替投機に左右されています。その参加者が条件反射として、あるいはプログラムに「危機的状況=円買い」と書いている限り、円売りに勝ち目がないからです。そして今の株式や為替の短期的大変動の主役はフラッシュ・ボーイズたち、つまり1,000分の1秒を条件反射として争うコンピューター・トレーディングなので、プログラムに逆らう意味はありません。

  でもある程度ことが落ち着いたら、私はきっと即、反対売買に走ります。根拠のない変動は元に戻る確率が高いからです。もっとも、その売買もプログラム化されているに違いありません。

  しかし、このことは相場の将来を決めてしまうものでないことを理解することが重要です。何故なら、彼らフラッシュ・ボーイズは、即反対売買をしてポジションを手仕舞うので、相場の大きなトレンドに影響することは、あまりないからです。どうぞご安心を。

 



 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

債券バブルだって? なにをおっしゃるグリーンスパンじいさん

2017年08月09日 | 大丈夫か日本財政

  ぽんきちさんからのご質問、アメリカの債券バブルの話についての回答です。 

「債券はバブルだ」、という話は今回のグリーンスパン氏だけでなく、他にもこの数年よく出てくる話です。しかしバブルとの見立ては間違っていると思いますし、よしんば正しいとしても小さなバブルが破裂したところで、どうということはありません。

    6月30日の記事で定年退職さんからの同趣旨の質問に回答しました。それは「あるファンドマネージャが債券相場暴落の懸念を表明しているが、大丈夫か」という質問でした。私は、「われわれの米国債投資と債券暴落の話は全く関係がない。むしろ暴落したら「ヤッター、チャンスだ」と言って爆買いしましょう」と回答しました。そのことの懸念であれば、どうぞ6月30日の記事を参照してください。

  せっかくなので、もうすこしグリーンスパン氏の話を突っ込んで解説します。債券は果たしてバブルといえるほど問題なのか、また暴落したらどうなるのか、ということの解説です。今回の日銀シリーズにもかかわる部分がありますので、しっかりと解説します。今回は長いですよ。

  英語版のブルームバーグを見るとグリーンスパン氏の話がより詳しく出ていましたのでそれを参考にします。グリーンスパン氏の話は債券と株式の比較で、「どちらがバブルかと聞かれれば株式でなく債券だ」と言っています。

  91歳の彼は「こんな低金利が続くわけはない」とも言っています。そして「債券バブルが崩壊し長期金利が上昇すると、70年代のようなスタグフレーション状態に陥り、資産価格にとって悪い状況が起こる」、と続けています。特に株式は影響が大だと言っていました。

  スタグフレーションとは、インフレーション下にあるのに経済は活況でなく停滞している状態を指す言葉です。英語の停滞、スタグネーションとインフレーションを合成した造語です。つまりこのままだと、世界の中央銀行が待ちに待ったインフレが来ると言っているのです(笑)、ただし不況と一緒に。

  では70年代はどういう時代だったかというと、オイルショックの激震が2度も世界を揺るがした時代です。バレル当たり2ドルだったオイルが73年の第一次オイルショックで、夜が明けるとなんと5倍の10ドルになり、その後79年の第二次ショックでまた一晩でさらに4倍の40ドルまで駆け上りました。石油価格が10年弱で20倍にもなったのです。今で言えばバレル50ドル前後の価格がなんと1,000ドルになったという話ですから、天地がひっくり返りました。

  それによるコストプッシュインフレに世界経済が打ちのめされ大不況になり、アメリカの失業率は10%にもなりました。各国は2ケタインフレを抑えるため不況下にもかかわらず金利を上げインフレを抑えるしかありませんでした。FRBの大幅利上げで最優遇貸出金利・プライムレートは20%にもなりました。

  いまはどうか。世界はカネ余り状態が続き金利は低下したまま。オイルショックなど歴史のかなたの話でしかありません。あり余るカネは世界の株式、不動産、債券にまんべんなく投資され、石油をはじめ資源開発にも注ぎ込まれ、それでも投資案件不足でさまよっているカネがあふれています。一方どの国でも過剰気味な設備を抱えていて、どうやってもインフレなど起こりようのない状態にあります。

  インフレが見通せない中で安全な米国債などの債券が突然暴落し、金利が上昇することなどありえません。米国債に投資しそびれたみなさんが米国債金利の上昇を待っているように、日本の金融機関も日本国債なきあと利回りのよい安全資産に飢えています。それは世界中のマネーも同じこと。中国マネーしかり欧州マネーしかり。米国債金利が上昇したら、たちまち飛びつきます。アメリカ国内もカネがあふれ、そのうえ海外勢が常に待機しているから金利は上がらないのです。70年代に例を探したグリーンスパン氏の頭の中は、私に言わせれば、「じいちゃん、だいじょぶ?」。新しい世界が見えていないのでしょう。

  グリーンスパン氏は過去にも大きな間違いを犯しています。それも債券にかかわる大きな間違い、そうサブプライム問題を見逃したことです。サブプライムローンを証券化した債券市場の巨大バブルに、FRB議長たるものがこれっぽっちも気が付かなかった、という史上最悪の間違いです。

  ついでに言ってしまうと、彼は2006年までFRB議長を務めましたが、サブプライム問題の原因は彼が作ったと言われています。退任する頃にはサブプライム商品の販売はピークに達し、それに入れ込んだベアスターンズが破たんに瀕し、同じく入れ込みすぎたBNPパリバのファンドが解散しています。そのさなか07年に彼は自身の回顧録を出版しました。すでに問題が全世界に波及していたにもかかわらず、回顧録でサブプライム問題には一言も言及していませんでした。つまり原因を自分が作り出したという認識すらないどころか、問題だという認識もなかったのです。

  そして08年には世界的金融恐慌、いわゆるリーマンショックが起こりました。そこでさすがに反省したのか、彼は「回顧録の悔恨録」を小冊子として出し、反省しています(笑)。昔は彼の政策の采配ぶりを「マエストロ」という言葉で称賛したのですが、今はもう誰も言わなくなりました。

  そうした彼の不明は棚に上げてあげましょう。その上で、もしグリーンスパン氏の言うように金利が上昇したらどうなるか、冷静に見ることにします。彼自身は、株式を含む資産価格が暴落すると言っています。金利が暴騰したら株価は暴落する。もちろん大いにありえます。

  ここで私がもっともみなさんに強調したいのは、「今回の債券バブル崩壊という事態は、サブプライム証券バブルの崩壊や日本のバブルの崩壊とはわけが違う」ということです。何故なら「債券相場が暴落した?それでなにかまずいことでもあるの?」という程度なのです。

  サブプライム関連商品の破たんとは、元となる住宅ローンが払えない、つまり借りた人の多くが破産したので、債券の破たん処理では何パーセントかしが返済されませんでした。投資した人は大損です。日本の株式や不動産バブルも同じ。相場が回復しない限り、崩壊したら損切りしておしまいです。

  米国債の場合はどうか。100で発行された債券がたとえ120まで買われてその後暴落し80になっても、最後に償還される時はまた100になるだけです。ピークの120で投資しボトムの80で売るというドジな人だけが損します。そんな投資をするのは債券ファンドだけです。私がお薦めしている米国債投資は、最後の償還まで持ち切るので、途中の価格変動は全く影響をうけません。

  あえて懸念材料を取り上げれば、純粋に金利の上昇による景気への悪影響と、株式やリート、不動産価格の下落でしょう。しかしそれも金利上昇の程度がどれくらいなのかの問題です。現在10年物金利は2%台ですが、それが例えばブルームバーグの記事に書いてあったのですが、金融危機以前の2000年代の平均、4%になったところで、「それがなにか?」なのです。

  もし4%が単なる平均値への回帰であるなら、株価も現在の買われすぎが暴落したところで平均値へ回帰するのでしょう。

  このところNY株式は、企業収益から計算されるPERという理論的指標からすると、15%から20%くらい買われ過ぎています。それが理論値に回帰したら、よかったね、と言う程度だと思います。相場ですから一時の売られすぎもあるでしょうが、それは買いのチャンスが来たにすぎない。売られ過ぎはまた元に戻るに違いありません。

   では日本への影響はどうでしょう。日本は世界の中で極めて危険な債券大バブル状態にあります。アメリカではなく、危険なのは日本です。なにせ日銀の国債爆買いにより、金利はゼロからマイナスにならんとしているのですから。国債の全発行量の4割以上を日銀が買い上げ、日銀の資産規模が日本全体のGDPに匹敵するという巨大バブルを形成しています。FRBが買っているのは、全発行量のたった16%です。日本の債券バブル、それこそが私がシリーズの中身で指摘していることです。

  そうした危険な状況でアメリカの金利がもし4%程度に上昇すると、このブログの読者の方も買いに入るでしょうが、日本の機関投資家も同じで、円資産離れが加速し、為替が大きく円安に振れるかもしれません。

  日銀はそのおかげで物価が悪い上昇をして2%のインフレが達成できるかもしれません。ところがその時、日銀は出口がないという危険状態に陥ります。行き過ぎた円安とインフレに対する通貨防衛のためには金利を上げざるを得なくなりますが、利上げは資産の暴落を通じて自分の首を絞めることになりますので、簡単ではありません。

    以上、長くなりましたが、グリーンスパンじいさんのご託宣、「債券はバブルだ」への解説と、アメリカ金利上昇の日本への波及経路についてでした。

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大丈夫か日本財政17年版 その14 日銀保有の国債はどうなる 10

2017年08月05日 | 大丈夫か日本財政

  5月から始めた今回のシリーズも、3か月間で13回を数えました。ではまとめに入ります。

  私が日本の財政破綻についてこれまで述べてきたことや、今回のシリーズで述べた主な点をおさらいします。

 1.前FRB議長のバーナンキは最近、「中央銀行が緩和的政策を採用することでデフレを克服できると考えていたが、間違いだった」、といって懺悔した。日米欧を比較すると、なかでも日銀がもっともアグレッシブな異次元緩和を進めたが、デフレは克服できず、マネーは世の中に回らず日銀の当座預金にブタ積みされただけだった

  2. 日銀当座預金には金利を付ける必要があり、現在は年に1,870億円支払っているが、本格的に金利が上昇し、もし付利を1%にすると3.5兆円支払う必要が生じ、日銀は苦境に陥る

 3. 国債はすでに市場で枯渇しはじめ、取引はほとんどなくなった。三井住友信託による計算では、日銀の国債買い上げの限界は17年後半から18年前半にもきてしまう。そのときに限界が来なくとも、全部を買い上げ終わるのは19年後半

  4.  日銀の資産はすでに500兆円を超えていて、日本のGDP全体に匹敵する。その過程で国債を高値づかみしており、償還価格を超える額はすでに9.7兆円に達し、それは確定した損失である

    以上のような事実関係を勘案すると、懸念される将来の状況は

①   異次元緩和政策の信頼性喪失

②   出口のない日銀政策の後始末問題がアベノミクス不信へも波及

③   安倍政権の政治的信頼性喪失とアベノミクス失敗の同時進行

④   国債先物市場で売りが優勢となり、悪い金利上昇が生じる

 そして、

 ⑤   日銀の信頼喪失と財政再建赤信号から日本からの資本逃避が起こり、円の暴落を招く可能性が大きくなる

 

   そんなことはありっこない、という論者の言い分も聞いてみましょう。

  「破綻しない派」の論理は、素朴な「国は破たんなどしない」とか、「借金は日銀が札を刷れば返せる」というナイーブなものから、「政府と日銀が連結すれば借金はなくなる」というわけのわからないものまで、いずれもマユツバものです。

 

  これまで私はこうしたおかしな論者に次の質問をしています。

 「だったらどこの国もそうすれば破たんはしなかったはずなのに、なぜ破たんは起こったのか」

  そしてさらに、

「破綻しないなら、税金の徴収なんかしなければいい」

  というものです。この簡単な問に答えられた「破綻しない派」は一人もいません。

   最後にとどめを刺しておきます。破たんしない派のいまひとつの欠点は、日本人の行動様式をみくびっているところにあります。それが、日銀のバランスシートがどうなろうと人々は関心などなく、資本逃避など起こらない、という前提に立てる理由です。そして「これまで破綻しなかったから」というナイーブな考え方を持つに至ります。バブル時代によく聞かれた「これはバブルなんかではない。日本は世界に先駆け次のステージに駆け登ったのだ」という根拠のない楽観論と同根です。

   ですが、日本人はそれほどバカではありませんし、パニックも得意です。

   世論の一気加勢の大変動は、これまで政権交代の時によく見られました。自民党から民主党政権への交代。その逆に、民主党の崩壊と安倍政権の成立。7月の都議会選挙での自民党の崩壊など、いとも簡単に起こるようになっています。

   政治だけでなく、庶民による金融・経済の混乱もまたいつ生じるかわかりません。第一次オイルショックのトイレットペーパー騒ぎ、平成の米騒動、90年代後半の金融危機で見られた証券・銀行の取り付け騒ぎなどです。いずれも全国民総動員のパニックでした。

   こうした日本人の起こすパニックの恐ろしさは、政治・経済・社会学者の予見能力をはるかに超えたものだと思います。自由な市場経済では、我々がありとあらゆる可能性を議論したとしても、とうていカバーできるものではありません。

   一方フェアーを期すため、私の見通し違いも述べておきます。

   私が従来主張していた財政破綻に進む原因の一つは、「家計の貯蓄が財政の垂れ流しを支えられなくなる時点が来る」というものでした。団塊の世代のリタイアにより家計の金融資産増加がストップする。稼ぎが少なくなるのに、それまでの生活維持するため預貯金を取り崩す。

   一方、国の借金の拡大は続くため両者は2015年前後にはクロスすると計算し、その前後2年が財政破綻の危険な時期だという予測を立てていました。しかし15年に2年をプラスした17年も無事に通過しそうです。見通し違いの原因も追及しておきます。

 1. 団塊の世代を含め、老後になっても預貯金を取り崩す人はほとんどいない

死ぬまでに使い切るぞと言って実行しているのは私を始めごく少数(笑)

 2.  財政リスクを感じる人もごく少数

「米国債を買え」と言っても、本気にする人は私の著書とブログの読者のみなさんだけかも(笑)

   こうした理由から家計の貯蓄が円預金にとどまったままであることが、私の読み誤りの原因です。大多数の日本人にとって財政の累積赤字など懸念材料ではないということです。

   

  こうして予測は見事にはずれました。団塊の世代がリタイアし始め稼ぎが少なくなっても、実際には家計の金融資産は1,700兆円を超えてなお増え続けています。以前もブログに書いていますが、日本人の恐ろしいほどの貯蓄志向の強さを示すエピソードです。双子の姉妹、金さん銀さんの笑い話です。

  お二人が100歳を迎えてもらった自治体からのおこずかいをどうしますかと聞かれ、「老後のために貯金します」と答えたアレです。ほとんどの人が棺桶に入れるために貯蓄をし続けているのです(笑)。

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする