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お気の毒な中国人へ

2023年09月01日 | ニュース・コメント

   迷惑電話に迷惑メールだけでなく日本大使館への投石など、中国の一般人がひどい行為を継続していますね。毎日のように中国外務省の超立堅報道官が「核汚染水を流すな」と言い続け国民を煽っていれば、こうした行為に及ぶのは当然でしょう。

 8月29日のNHKニュースを引用します。

中国外務省の報道官は、北京にある日本大使館の敷地に中国人がレンガの破片を投げ込んだことについて「日本政府が核汚染水の放出を一方的に強行したことが根本的な原因だ」と述べ、福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する措置を始めた日本側に責任があると主張し、正当化しました。

東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を、基準を下回る濃度に薄めた上で海への放出を始めた今月24日、北京にある日本大使館で中国人が大使館の敷地にレンガの破片を投げ込み、その場で警察に拘束されました。
これについて、中国外務省の汪文斌報道官は29日の記者会見で「日本政府が核汚染水の海への放出を一方的に強行し、各国の国民の強烈な憤慨を引き起こしたことが根本的な原因だ」と述べ、日本側に責任があると主張し、レンガの破片を投げ込んだ行為を正当化しました。
そのうえで「日本側がすべきことは直ちに誤りを正し、核汚染水の放出を停止することだ」と従来の主張を繰り返しました。

引用終わり

 

 まるで大使館への投石をもっとやれと政府が煽っているように見えます。日経新聞によれば、共産党機関紙人民日報系の環球時報が『日本は中国を打ち負かすため卑劣な手段をとっている。前例のない環境リスクを引き起こしたのは他の誰でもない日本だ。日本当局が日本社会の反中感情をあおっている』との社説を載せたと報道しています。そして共産党の中央宣伝部は「処理水放出の科学的根拠を説明した投稿やアカウントを削除」

 我々は中国政府の非科学的主張を信じる中国人たちに腹が立ちますが、だからといってそれを非難しても無駄。過去を思い出してみれば何度もそのようなことがありました。

 例えば2012年9月、尖閣諸島の国有化を日本が決定した時にも、中国全土で激しい反日デモが繰り広げられ、日系スーパーや日本料理店でも破壊や略奪などが行われ、山東省のトヨタ自動車の販売店やパナソニックの工場でも放火事件が起きています。その時の標語は「反日無罪」、あるいは「愛国無罪」。でもそれらは時が経てば収まっています。別に尖閣諸島を中国に差し出したということはありませんでした。

 

 われわれは無知で愚かな中国人を煽る中国政府を非難するのではなく、「お気の毒に」と思っていればよいのです。

 

 ところが少し風向きが変わってきたようです。ユーチューバーなどで核汚染はデマだということを主張したり、計測器で海水を分析して「反応なし」ということをアップする中国人もあらわれています。それは共産党機関紙人民日報系の環球時報が8月30日の社説で抑えにかかったのが一つの原因のようです。朝日新聞ニュースを引用します。

東京電力福島第一原発処理水放出後に中国から嫌がらせ電話が殺到し、反発が強まっていることをめぐり、共産党機関紙・人民日報系の環球時報は8月30日、「中国社会も極端な情緒をあおり立てる言論に気をつける必要がある」として、行き過ぎた嫌がらせ行為に実質的に自制を求める社説を掲載した。

引用終わり

 

 この社説の影響でしょうか、テレビ報道で、「毎日大量の迷惑電話に悩んでいた日本国内のある居酒屋店主が、電話数が突然8割も減った」というニュースが流れていました。

中国人とは見事なまでに政府に踊らされる人種であることの証明ですね。しかし一方で日本からの水産物輸出先の2割を占める中国による禁輸措置はそのままで、漁業者の苦しみは変わっていません。

 

 今回も尖閣問題同様、科学的根拠のない主張を繰り返す政府報道官の非難が収まれば、迷惑電話やSNSでの日本非難は収まるにちがいない。特にSNSでの非難は、これに乗じた非難を行うことでアクセス数を稼いで収入を上げようとするユーチューバーなどが集中的に露出を増やしているとのこと。

 だからといって腹の虫が収まらない方も多いことと思います。そんな時の唯一の対処法は、「お気の毒に」と同情してあげることに尽きると私は思っています。報道官も実は若者の失業率の高さや少子高齢化、不動産バブル崩壊など、対処のしようのない大問題が山積するため、少しでも人民、特に若者の目を逸らすための絶好の材料にしているのです。

  そんな中国のひどい国内事情こそがこの日本非難の元凶と考えれば、いちいち腹を立ててもストレスがたまるだけ。沈没しつつある中国を見ながら「お気の毒に」と同情するのが一番です。

 

 

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