千葉県茂原でのゴルフの様子が望遠で写され報道で流れていました。青木プロはプレーの途中でトランプ氏のドライバーがフィットしていないことに気づき、自分のドライバーをトランプ氏に使わせたところ飛ぶようになり、安倍首相が「20ヤードも飛ぶようになった」と言ったそうです。報道写真に写っていたのは真っ白なヘッドのドライバーで、ほかでもない、茂原カントリークラブの練習場で青木プロが使い始めたモデルでした。あの真っ白のドライバー、いまだに青木プロは使っていたんですね。ちなみにそのドライバーはアメリカのメーカーのブランドですが、日本人用に日本でデザインされ制作されている高級モデルです。ビーストのような大男にもしっかりとした作りの日本製は合うんですね。
アメリカに帰ったトランプ、メキシコに対してまたとんでもないことを言い出しています。5月31日の日経新聞ニュースを引用します。
引用
トランプ米大統領は30日、メキシコの不法移民対策が不十分だとして、6月10日から同国からの全輸入品に5%の関税を課す異例の経済制裁を発表した。メキシコが対策を講じなければ最大25%まで関税率を上げるとしている。歯止めを失ったトランプ氏の関税政策で、北米の複雑なサプライチェーン(供給網)が突然寸断される懸念も広がっている。
引用終わり
日経ですらトランプの暴挙を「歯止めを失ったトランプ氏の関税政策」と書いています。もちろんそのとおりなんですが、これは関税政策でもなんでもなく、再選がすべてのトランプが、大統領令だけで可能なこうした手段を選挙のキャンペーン手段に使うという暴挙を行っているのです。このおバカな政策発表を受けダウは354ドルの下落、5月の月間では1,777ドルの暴落となりました。さすがにアメリカでは様々な業界団体が本気でトランプの選挙目当ての暴挙を告発しています。
さて本題に戻ります。5月21日の記事で私は中国の恐ろしさを、「ファーウェイ」と「国家情報法」からみなさんに説明しました。ファーウェイの製品そのものが情報を抜き取るシステムを組み込んでいるという証拠はありませんので、欧州などはアメリカのファーウェイ制裁措置が行き過ぎているという考え方をしている国が多いようです。今回はトランプのアメリカの恐ろしさについてです。
そもそもトランプの行動様式を私は次のように分析しています。オバマ政権を引き継いでからしばらくは、「すべての政策はオバマへの意趣返し」で、オバマのレガシーを否定するだけのバカげた行動だった。それらのうち重要点を列挙すれば、
・TPPやNAFTAからの離脱
・パリ協定からの離脱
・イラン核合意からの離脱
・移民排斥
それが一渡りすると次の行動は「選挙を見据えた再選キャンペーン」に変質しました。列挙しますと、
・ラストベルトの忘れられた白人労働者向け → 中国など貿易赤字削減交渉
・キリスト教徒の福音派向け → 避妊禁止法
・ユダヤ人向け → イランとイランを支持をするロシア・中国の排斥。
ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約の一方的破棄。中東への軍隊の増派
・全米ライフル協会NRA向け → マシンガン禁止を排除
・移民反対の保守派向け → メキシコへの課税
このうちユダヤ人の宗教であるユダヤ教は福音派とかなり近い考え方をとる宗教のため、福音派向けとユダヤ人向けの両者は一体的ともとらえられます。
移民を防ぎたいなら移民防御手段を使うべきなのに、メキシコへの関税強化をする。こんなやつあたりの選挙対策が奏功するとは思えないのですが、それでもある程度効果を持ったりすると、「日本が防衛費を2%にしないと、日本の対米全輸出品に関税を掛け、それをメキシコ同様に毎月5%ずつ増やす」、なんてことをトランプは平気でやりかねません。その時に安部首相によるご接待などが奏功することなどありえないでしょう。
アメリカという国は関税に加えて非常に強力な武器を持っています。みなさんはあまりご存知ないかもしれませんが、それは「金融機関に対する制限措置」です。イランは石油輸出制限に加え、今この金融制限措置で苦しんでいます。イランとの取引で金融仲介をしたら、その金融機関は国際的金融仲介の機能を持つSWIFT(国際銀行間金融通信協会、スウィフト)というネットワーク機能を使えなくなるのです。
金融機関はSWIFTから排除されると、国際間の貿易為替決済や投資決済からすべて排除されます。そのため世界各国の金融機関がイランにかかわる取引をすでに停止しました。みなさんが海外送金を行う時もこのSWIFT経由で行われます。
でもSWIFTはアメリカの機関ではなく、国際的通信ネットワークの協会組織ですし、ベースはベルギーにあるため何故アメリカの力が及んでしまうのでしょうか。私は答えを持っていませんし、ネットで調べても回答はでてきませんでした。どうやら国際的決済のほとんどで使われるドルの発行国であるアメリカがデファクトパワーを持っているためのようです。どなたか法的根拠をご存知な方がいらしたら、教えてください。
中国は国家情報法で世界に実害を与え、アメリカは関税措置と金融仲介機能で世界に実害を及ぼす。欧州や日本はこれらに対抗する手段を持ち合わせません。現在、中国と欧州は別々にSWIFTに代わる手段の構築をしようとしていますが、いまだ有効なものとなっていません。
大国が覇権を争い自国ファーストを貫徹すれば、戦争をせずとも「この世は闇よ」となります。そのため5月の株式相場はさんざんでした。果たしてこの状況は株式相場だけに終わるのでしょうか。
金融機関に勤めていますが、なぜ米国という一国の制裁が各国に影響するかというと、ご認識の通りUSドルという一番強力な通貨を持っているからです。例えばイランの制裁に違反するとするとUSドル決済業務停止や米国における銀行ライセンスを止められてしまう可能性もあり、そうなると金融機関はUSドル取り扱いができなくなり事実上グローバルに業務停止命令を受けるようなものです。ちなみにSWIFTは単なる決済方法なのでここは各金融機関から依頼を受けた送金を粛々と処理するだけです。
そして、コメントもありがとうございます。
コメントいただき、ありがとうございます。
金融機関にお務めだそうで。
国際的業務を行う金融機関にとってはアメリカから排除されることは命とりですね。
やはり禁止措置に法的根拠はないのでしょうね。
ご無沙汰しております。ぽんきちです。
3月26日付の「逆イールドとは、短期投資のチャンスだ」
に対するコメントとなります。
林先生の記事を拝見し、米国債の短期投資を検討して
います。本日の三菱UFJモルガンスタンレー証券のHP
をみると、下記のようになっています。
利率 償還日 利払日 販売価格 利回り
割引債 0% 2021/08/15 -- 96.18 1.781%
利付債 2.125% 2021/08/15 02/15 100.69 1.802%
08/15
利付債 2.75% 2021/08/15 02/15 102.03 1.802%
08/15
例えば2021年8月を償還日とする米国債を購入する
場合には、上記3つのうち利回りをみて有利不利判定
をすればよいのでしょうか。基本的な質問で申し訳
ありませんが、ご回答を宜しくお願い申し上げます。
>例えば2021年8月を償還日とする米国債を購入する
場合には、上記3つのうち利回りをみて有利不利判定
をすればよいのでしょうか。
そうです。
ゼロクーポン債だと利回りが低いように見えますが、実際には複利運用が可能。
利付債は利回りが高いようにみえますが、もらった金利の再投資はできません。
その中でどちらがよいか判断ください。
こんばんは。
早速のご返答ありがとうございました。
この2年~3年毎日アメリカの金利は見ていますが、
変動がありますね。
明日にでも電話で注文してみます。
福音派を喜ばせるのは避妊禁止法ではなく、中絶禁止法ではありませんか?私なりに調べましたが、トランプ大統領が避妊禁止を訴えるニュース記事を見つけることができませんでした。単純な誤記でしょうか?
カトリックは教義上、避妊を禁じているようですが、教徒にどこまで真剣に取り合われているか分かりません。カトリックの友人はいますが、そんなことは聞けません。プロテスタント(福音派)で避妊の禁止を訴える宗派を聞いたことがありません。普通の日本人である私は、避妊だの中絶だのを宗教や政治マター化して、あーせいこうせい言いたがりの考えがピンときません。これは完全に個人の問題です。
私にはユダヤ教徒の知人がいません。ウィキペディアをみると、ユダヤ教の中絶についての解釈は日本人に近いものを感じます。トランプ大統領の娘さん・娘婿さんはユダヤ教徒とのこと。キリスト教徒が多い<普通の>アメリカ人が、ユダヤ人についてどう思っているかは分かりませんが、トランプ大統領は娘がユダヤ教徒になることに対して理解があることははっきりしており、ユダヤ教徒に対してそれ以上のサービスは不要に思えます。
トランプ大統領に投票したと思しきアメリカの繁栄から取り残された貧しい白人の生活を書いた「ヒルビリー・エレジー」を読みました。これは投票するしかないだろうと、そう思いました。トランプ大統領のほかに、彼らの思いを救い上げる候補はいません。面白い読み物でした。おすすめです。
単純ミスです。
私は宗教には全く詳しくありません。