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クロちゃん、どうもありがとう!

2022年09月23日 | 日本の金融政策

  急激なドル高でドルを買いそびれていた方にとって、チャンスが来ました。血迷ったクロちゃんとそれを支持せざるを得ない財務省の愚かな円買い介入が始まりましたね。介入ごときで日本経済・財政が再生に向かって離陸するはずもなく、ドルへの投資を考えている投資家と為替で儲けを狙うヘッジファンドが喜ぶだけです。

  円安で儲けようとするヘッジファンドが、何故介入に喜ぶのか。簡単に説明します。円安に賭けるヘッジファンドはもともと弱い円など保有しているはずはありません。空手で開始するのですから、まずやることは円の空売りです。先物市場では持ってもいない円を今のレートで空売りし、円が安くなったところで買いもどす。例えば140円で先安を予想して空売りし、150円になったら買い戻すとその差額10円が儲けになります。

  ところが、そうしたファンドは非常に大きな金額を投資するため、最初の空売りをする行為そのものが円安を招いてしまいますから、普段は徐々にしか買えません。そこに大量に円を買ってくれる財務省が買い手になってくれるのは、大量の円売りができるため大歓迎なのです。しかもそのインパクトにより円を高くしてくれるので、願ってもないチャンス到来となります。

  日本政府・日銀はそれを百も承知で大量にドルを売り、円安の動きを止めようとします。それにともない気の小さいヘッジファンドは円売りで作っていたポジションを一気に買い戻すため、円高を助長します。それがきのうの円高です。

  では円安はこれにて終了でしょうか。もちろんそんなことはありません。昨日FRBは異例の水準、0.75%も利上げをしましたが、日銀は超緩和を維持し世界で唯一のマイナス金利維持国になり、それを今後も維持せざるを得ません。

  そしてもっと大事なことは、成長力を失った日本の弱さはいささかも変化しません。クロちゃんの異次元緩和維持とは、日本の弱さを自ら認め宣言していることになる。それを彼は自覚しているのでしょうか。きわめて疑問です。

  ドル買いチャンスを探っている方には、チャンス到来!

 

以上、「クロちゃん、どうもありがとう!」でした。

 

 

コメント (2)
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