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株式暴落はアナリスト・ショックだ !

2022年09月14日 | 株式市場

  アメリカのCPIのショックがアメリカ株はもとより、世界中の株価を大きく押し下げています。この暴落を報道各社は「CPIショック」と見出しを付けていますが、私はそうは思いません。

  正しくは、「アナリスト・ショック」です。いったいどういう意味か。

  NYダウは1,700ドル近く暴落しましたが、その前4日間は上げ続けていました。買いの根拠はアナリストによる8月の「CPI上昇率が8.0%で、それくらいであればFRBも1%の利上げというような強硬策には出ないだろうという見通し」だったからです。

  それがたった0.3パーセント・ポイント上振れただけで1,700ドルの暴落とは。アナリストの見通しを妄信した投資家が愚かだったからでしょう。勝手に低めの見通しを出し、それに勝手に乗っかっただけのことです。

  証券系のアナリストは、いつだって買いシグナルを出したがるものだという単純な事実を無視するからこういうことになるのです。

  

  アナリストがどの程度の実力を備えているか、次の例を見ればすぐにわかることです。今回のドルのラリーが始まる前、ドル円相場の解説をするアナリストがいつも言っていた言葉をみなさん覚えていますか。円が高くなるといつもこういっていました。

「リスクオフとなり、比較的安全通貨とみなされている円が買われた」です。

  解説します。株式相場を言い表す「リスクオフだとかリスクオン」だとかの言い方は比較的最近になって言われている言葉で、要は「強気相場、弱気相場」をちょっとかっこよく言っただけの言葉です。相場の解説にあたって何の根拠も示すことができないときのアナリストの苦し紛れの解説言葉に過ぎません。つまり円高に振れたとき、為替のアナリストは根拠を示すことができない場合、「リスクオフだから円が買われた」といっていたのです。

みなさんは私が常にそれを批判して、「円のどこが比較的安全なんだ」とわめいていたのも覚えていらっしゃるかもしれません(笑)。

 

  それが最近はどうなっているか。

「リスクオフとなり、比較的安全通貨とみなされているドルが買われた」。

と真逆の解説がされるようになっています。昨日のように株価が暴落する=リスクオフとなり、円ではなくドルが買われたというのです。

 

  こんな正反対の解説を恥も外聞もなくするのは、さすがに数十年相場を見てきた私もみたことも聞いたこともありません。なんといういい加減な連中なのでしょう。しかも前説をくつがえしたことを誰一人として言い訳や反省するでもなく、マスコミもアナリストに盲従しています。

  このいい加減な連中が出した8.0%という見通しを信じて買いに走った投資家さん、お気の毒様でした。

  以上、「株式暴落はアナリスト・ショックだ」でした(笑)。

  おまけ、

 米国債に再び買いサインが出ています!

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