ウズベキスタンのサマルカンドで開かれている上海協力機構会議の機会に、皇帝プーチンと習近平が個別に会議を持っています。私はBBC、ウォールストリートジャーナル、CNNなどをチェックしましたが、いずれもこのミーティングは西側に対抗する者同士の協調を世界にアピールするものではなく、「プーチンが習近平にすり寄って助けを乞うミーティング」だというとらえ方をしています。その一つの傍証として、新華社通信の社説で「中国はロシアに武器を供与するべきではない」と謳っています。
ウクライナが東部ハルキウ州で大攻勢をかけて奪還し、ロシア軍が撤退している中、小さなコラムで見逃せない大きなニュースが流れました。それはロシア国内で反プーチンののろしが各地で上がっているというとんでもない大ニュースです。何故とんでもないのか。それは政府や軍部への批判をすると、それだけで懲役15年に処されるという法律が春先に成立しているからで、そのリスクを取る勇敢な議員たちが出てきたというのです。
9月13日付日経新聞ニュースを引用します。
モスクワ南西部の区議らが12日までに、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領に辞任を要求した。侵攻の長期化でロシア国内に不満が高まってきた可能性がある。ウクライナ軍は東部や南部で占領された地域の奪還を続け、大きく前進している。
モスクワやサンクトペテルブルクの18カ所の区議会議員がプーチン氏に辞任を求める要請書を公表した。要請書では侵攻を念頭に「プーチン氏の行動は時代遅れで、ロシアと市民の発展を妨げている」と指摘した。ある議員はツイッターでロシア兵の犠牲や経済低迷を問題視し、プーチン氏の弾劾を求めた。
区議による辞任要求は極めて異例だ。9月11日投票のロシア統一地方選は、プーチン氏が率いる与党・統一ロシアの候補者が各地で圧勝しており、政権基盤はすぐには揺るがないが、侵攻が長引けば不満がくすぶり続ける可能性がある。反対に与党議員からは総動員令の発令を求める声もあがる。
ついでに9月13日付ニューズウィークの内容も見ておきましょう。
<これまでに35人の区議がプーチンの辞任を求める要請書に署名>
ウクライナ軍の反転攻勢でロシア軍の敗走が重なるなか、ロシアの当局者の間でウラジーミル・プーチン大統領の辞任を求める声が広がっている。政権が反体制派を厳しく取り締まるロシアでは異例の事態だ。
プーチンは2月24日、ウクライナに対する軍事侵攻を開始。圧倒的な兵力を誇ったロシア軍は数日で首都キーウを陥落させる勢いだったが、アメリカをはじめとする同盟諸国の支援を受けたウクライナの強力な抵抗に遭った。これにより、ロシア政府はウクライナ侵攻の当初の目標を達成することができずにいる。
この一連の敗北が「反プーチン」機運の広がりにつながっているようだ。サンクトペテルブルクのスモルニンスコエ地区の区議であるクセニア・トルストレムは、9月12日にツイッターに投稿を行い、ロシア地方議会の区議35人がプーチンの辞任を求める要請書に署名したと明かした。プーチンによるウクライナ侵攻が、ロシアに「害を及ぼしている」というのが理由だ。
モスクワなど複数の主要都市の区議グループも要請書に署名している。トルストレムはこの要請書について、誰の「名誉を傷つける」ものでもないとしている。
ロシア下院は3月、軍に関する「偽情報」の拡散を禁止する新法を可決。当局はこの法律を利用して、ウクライナへの「特別軍事作戦」を批判した者を取り締まり、軍事侵攻について異を唱えるのは危険な行為になった。
区議たちは今回、ウクライナでの軍事作戦に具体的に言及こそしていないものの、要請書共に添えた短いメッセージの中でプーチンの行動を非難した。
要請書は「我々ロシア地方議会の区議グループは、ウラジーミル・プーチン大統領の行動がロシアと市民の未来に害を及ぼすと確信している」と述べ、さらにこう続けている。「プーチンがロシア連邦の大統領の座を退くことを要求する!」
スモルニンスコエ地区では、これまでにも複数の議員がプーチンを批判する声明を出していたが、今回はロシア政府の「お膝元」であるモスクワを含むほかの複数の自治体の区議も要請書に署名した。ウクライナでの敗北が続くなか、ロシアの当局者たちの間で不満が高まっていることを示唆している。
スモルニンスコエ地区の議会は9月上旬にも、プーチンを反逆罪で弾劾することを提案していた。同議会のニキータ・ユレフェフ区議は、ウクライナに対する特別軍事作戦がロシア軍の兵士たちを死なせ、経済に打撃をもたらし、NATOの拡大を招いていると批判した。
ユレフェフによれば、その後同議会の複数の議員が、ロシア政府の「信用をおとしめた」として警察に呼び出された。9月にはロシア軍の兵士2人も同様の罪に問われている。
引用終わり
「プーチンを反逆罪で弾劾する」とは、本当なのかと思わせるくらいの大ニュースですが、日本では特に大きな報道がなされていません。35人の議員たちだけでなく、ウクライナ侵攻の開始当初、モスクワでデモを繰り広げた数万の若者は、もちろん拍手喝采しているでしょう。この動きがもっと拡大し、悪魔皇帝プーチンがハチの巣になる日を待っています。
私はプーチンを「悪魔皇帝」と呼んでいますが、バイデン大統領とイギリスの新首相が彼を何と呼んでいるか、BBC NEWSから引用します。
Biden has called Putin a "murderous dictator"
殺人鬼の独裁者と、まさにヒトラー並み。
UK Prime Minister Liz Truss previously dubbed him "a desperate rogue operator."
やけくそのならず者とバイデンに負けていません。彼らには私も負けそうです(笑)。
かたや日本ではオリンピックを巡る賄賂問題と、統一教会のニュースばかりでウンザリさせられます。
以上、「ロシア国内での反乱勃発」でした。