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アメリカ大統領選挙 2度目のTV討論 クリントン優勢

2016年10月10日 | アメリカアップデート

  今回のディベートはタウン・ミーティングの形式で行われました。簡単にコメントさせていただきます。

  2人の候補者と2人の司会者に加えて、一般の質問者が30人ほど参加して行われました。30人は世論調査会社であるギャラップ社が選び、候補者には質問内容はあらかじめ知らされていませんので、当意即妙さもチェクされます。

  第2回目の注目点は第1回目に破れ支持率が低下したトランプが、どれだけ挽回できるかでした。ところがその寸前に全米の注目がトランプのスキャンダラスなテープに集ってしまい、事前に勝負がついてしまった中で行われることになりました。起死回生の満塁ホームランが連発でもしない限り、逆転は難しい状況となっています。

   今回は一般の参加者から二人に対して同じ質問がなされ、それぞれ2分の持ち時間で回答する形式です。それにネット経由での質問が、司会者を通じて出されます。質問の内容はどちらと言えばトランプの過激な言動への確認が多く、たとえば以下のような項目でした。

・モスレムの入国禁止発言

・女性に対する差別発言(暴露テープを含む)

・所得税回避行為

・対シリア政策

・エネルギー政策

・オバマケア(国民皆保険)

・アメリカ人の多様性確認

   こうした質問に2人が返答するのですが、トランプにとってほとんどが回答に窮する質問のため、彼は正面切って答えるより相変わらずはぐらかしていました。司会者がそれを戻そうとしますが、ほとんど戻りませんでした。

   二人の回答ぶりで目立ったのは、クリントンは着席している質問者に面と向き合って回答をしますが、トランプは質問への回答とは違う発言をするため質問者にそっぽを向き、クリントンを非難するためにクリントンに向かって発言を繰り返す。それがもっとも目立ったのは、彼の課税回避行為や女性蔑視問題に対し、回答が全くお門違いのISIS問題に逸れていくことで、全く回答になっていないものでした。

   それでも彼の回答ぶりやお行儀は前回よりましだったため、私の採点は6対4でヒラリーの勝ち。前回の9対1よりずっとましだったということです。

  CNNによる討論会直後の聞き取り調査では、57:34でクリントンの勝ちと出たので、私の見方と視聴者の見方は今回は近かったといえます。

   総括的に言えば、「トランプは予想より穏やかでいい子になっていた。そのためクリントンはノックアウトできなかった」というところです。

   トランプは逆転満塁ホームランを狙いましたが1発も打てず、凋落の流れを変えることはできませんでした。ディベートはあと1回残されてはいますが、流れを変えることはできないでしょう。

   トランプからもう一つ気になる発言が複数回ありましたのでお伝えします。それは、「オレ様が大統領になったら、ヒラリーをブタ箱にぶち込んでやる」というもので、彼女のメール削除問題に関しての発言です。しかも彼は自分の息のかかった判事を任命して彼女を刑務所に入れると示唆しています。

   これこそが私が忌み嫌う「トランプの独裁者への道」を示唆するもので、CNNのコメンテーターも同様に、ヒトラーやアフリカの独裁者的発言だと批判していました。

   最後にリアル・クリアー・ポリティックスの予想選挙人獲得数をアップデートしておきます。もちろん2回目の討論会前の予想ですが、過半数270人に対して、

   クリントン 260人  トランプ165人  未定113人

   クリントンがあとたった10人に迫っています。

 

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