ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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初歩の投資教室 その5

2012年08月14日 | 初歩の投資教室
  みなさん、お盆をどのようにお過ごしですか。高速道路でいなかの往復をする方は、いつもながら大変ですね。私は両親とも東京の出身でしたので、お盆や正月は寂しく東京で過ごします。いなかのある方が、羨ましいです。

  さて前回まで資産運用のこれまでの収支を、ある1千人のアンケート調査とブログの読者の方お二人の開示していただいた結果で見てきました。いずれも損失が、投資金額のおよそ3割近くに上るというものでした。

  みなさんがもしリタイアしたてで証券会社に行き、アドバイスの最初でこの結果を示されたらどうなさいますか?ほとんどの方は投資なんかやめようと思いますよね。

  一般的な投資教育や投資本でも、こうした結果を最初に示すことはまずないでしょう。証券会社も宝くじ売り場のように、「うちの顧客は1億円得した」とか、「うちは5千万円損させた」とか、店頭に張り紙でも出したら面白いかもしれませんね(笑)。

  私は昨年の著書はそもそも「みなさんに投資で損をしていただきたくないという一心で書いた」と申し上げました。そして特に現状の証券会社の騙しの手口の悪質さに接し「それが私の義侠心に火を付けた」とも書きました。

  私がもっと影響力を持つ著者であれば本も売れて、損を重ねる投資家が減ったのではないかと思いますが、残念ながら著書は第2版が即出た割にはその後が続かず、売れていませんのでそうはなっていません(笑)。
 
 平均損失5百万円、この意味を考えてみます。

  私はリタイアしたら趣味のゴルフと旅行を楽しむつもりでした。ゴルフは平日にプレー可能ですので、交通費をいれても1万円程度です。ということは『500回分のプレー費をたかが投資で損した』ということになります。夫婦でなら月2回プレーして4万円、年に48万円とすると10年分を失ったことになります。なんともったいない。

  毎月1回夫婦で5万円の旅行をしたとすると、年に60万円、『9年分近い旅行費用をたかが投資で失った』ことになります。30万円の海外旅行を年に2回でも同じです。

  要するに5百万円とは、リタイアライフを楽しむオカネの10年分くらいを一気に失うわけで、私には耐えがたいほどの苦痛に思えるのです。10年分ということは、元気いっぱい楽しめる間のリタイアライフの半分以上を失った、とも言えます。

  退職金にしろ貯金にしろ、これまで汗水たらして働いて貯めこんだ大切なオカネを、たかが投資で失うなんて、こんなバカげたことはありません。

  私がアドバイスを差し上げている方にそう言うとたいていの方が「授業料だと思って」とか、「ボケ防止のため」とか言い訳をされる方が多いのですが、投資の勉強だったら架空のシミュレーションでも、ミニ株投資でもできます。大切なオカネを百万円単位でつぎ込む必要などまったくありません。
 
 相変わらず私は証券会社の敵ですね(笑)

 じゃ、いったい何でそんなに損をするのでしょうか。

「そんなこと言われなくたってわかってるよ。」

損した読者の方の大半は自分が何故損失を出したか、原因はわかっていますよね。

このシリーズは、初心者向けですので、ベテランの方はちょっと我慢してください。
損失の原因は

1. 日本の株価が低迷しているから・・・バブル崩壊後20年を経ても日経平均は下げ続けています
2. 外貨建て投資では、円高が進行したから・・・バブル崩壊後でみても90年初の146円が00年初102円、00年初83円、2年8月現在78円

これが直接の原因でしょう。しかしもう一つ大事なことがあります。それは

3.証券会社など金融機関のアドバイスに乗るから

これが1.2.を含めて、そもそもの原因なのです。

つづく
コメント (7)
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