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ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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トランプでアメリカは大丈夫か9 G7の破壊者

2018年06月11日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  G7 に対してすでに合意された「首脳宣言を承認しない」・・・かわいいトランプちゃん、おバカな本性を現しました。

  さっきまで合意していたのに、いつものちゃぶ台返しをしました。

  今回のG7主催者カナダのトルドー首相とのののしり合いをしていますが、その顛末は、以下のブルームバーグの記事によくまとまって書かれていますので、引用します。

「承認済みとのマークが付いたG7首脳宣言のコピーはトランプ大統領がツイッターで米代表団への指示を公表する前に、ケベックシティーのG7メディアセンターで配布されていた。トランプ大統領は2つめのツイートで、「トルドー首相はG7の間は非常に柔和に穏やかに振る舞っていたが、私が去った後の記者会見で『米国の関税は屈辱的だ』が、『振り回されることはない』と語った。非常に不誠実で意気地がない。米国の関税はカナダの乳製品への270%関税に対応するものだ」と述べた。」

  『米国の関税は屈辱的だ』が、『振り回されることはない』という言葉のどこが「非常に不誠実で意気地がない」のでしょうか。意気地おおありだと思います。

  カナダはアメリカが一方的に課してきた不当な関税に対抗措置をとることを宣言しています。そもそも貿易戦争はトランプが「貿易戦争はいいことだ。必ず勝利する」として仕掛けたもので、対抗措置は当然の反応ですが、トランプは一方的に相手が悪いことをしていると言いがかりをつけています。

  「アメリカは長年にわたりつけこまれ、してやられてきた。しかし俺様は赤字をもう許さない」というのが彼の頭の中の図柄です。しかしこれは全くの間違いです。解説します。

  そもそもアメリカが貿易で赤字なのは、自国の製品に競争力がないからですが、そのかわり消費者は貿易により他国から「高性能で耐久力のある、しかも安い商品」を買い、とてつもないメリットを受けてきました。

  それを否定して高関税を掛ければ、アメリカの消費者は「低性能で耐久力のないジャンク商品を高く」買わされることになります。

  トランプの横暴なる貿易戦争に対して、座したまま甘んじて耐えるしかないのでしょうか。トランプの様々な横暴に対して、確かに安全保障問題では簡単に対抗措置は取れません。しかし貿易は別です。カナダをはじめ反抗を始めています。私は不当な高関税を課された世界の国々がもっとまとまって徹底抗戦をしてもよいのではないか、と思っています。

  トランプが一番怖いのはアメリカの選挙民です。その彼らに「高性能で耐久力のあるしかも安い商品」を輸出せずに、各国は輸出企業を支援し、対抗してみてはどうか。しばらく利益の額が落ちることくらいたいしたことじゃない。その間にトランプの支持率が落ちて再選されなければ、世界は再びまともな世界に戻れます。もし再選されれば悪夢が続きます。

  よりよいシナリオは中間選挙で共和党が大敗し、共和党がトランプを引きずり下ろす以外ないと判断すれば、弾劾もあるかもしれません。弾劾されなくとも、アメリカの消費者やすでに被害を受けているアメリカの生産者が損をする無茶な政策の発動はきわめてやりにくくなります。

  それに対してよいニュースが出ました。それはバンク・オブ・イングランドを破った男として有名な世界的投資家、ジョージ・ソロス氏が、11月の中間選挙に向けて民主党に15ミリオンドル、16億円の寄付をするというのです。しかも彼は「この世界はトランプによって破壊された」それを阻止するために働くというのです。実は彼はソ連と東欧を崩壊させるために、当時毎年数十億円、累計数百億円を反政府運動に投じ、崩壊の影の立役者といわれています。本気になれば影響力ありの政治的投資家なのです。

  一方で次の大統領選挙には二つの明るい可能性が出てきています。一つは共和党若手ナンバーワンの下院議長ポール・ライアンが早々と引退を表明。理由はトランプ嫌いで次の大統領選挙出馬だといわれています。

  そしてさらにグッドニュースは、ハワード・シュルツ氏です。と言っても日本で名前はあまり知られていませんが、たった数軒だったスターバックを世界のスターバックスにした男で、トランプなど物の数ではない大富豪です。

  彼は貧困家庭から苦学して様々な仕事をしながら大成功の道を歩みました。私は彼の著書「スターバックス成功物語」が97年に出て日本語訳されたものをすぐに読みましたが、ビジネスに対する思考法、実践法が、ほかでもない80年代ニューヨークにいたときに読んだトランプの「アート・オブ・ザ・ディール」に書かれていたトランプにそっくりだと思ったのです。なんという皮肉でしょう。

  最近のスタバの大ニュースは、黒人差別でした。何も飲まずに席に居続けた黒人2人を警官に排除させたことが、人種差別だとして非難されました。そこで取った彼のリスク管理は実に見事でした。全米8000店舗以上のスタバを5月29日に一時閉鎖し、従業員17万人に人権教育を行ったのです。その模様は全米で大きく報道され、むしろ称賛される結果に終わっています。

コーヒー党の私はアメリカのまずいコーヒーがおいしくなっただけでも彼を評価しますし、50セントのコーヒーを2ドルに値上げして成功した経営手腕を高く評価していましたが、今回のリスク管理も見事でした。その彼が先日リタイアを発表しました。先週のBBCニュースを引用します。

米スターバックスは4日、同社を世界的なコーヒーチェーンに育て上げたハワード・シュルツ会長(64)が6月26日に退任すると発表した。ニューヨークタイムズとのインタビューで同氏は、大統領選出馬の可能性を否定しなかった。」

  彼なら勝てる! 

早くから人種差別主義のトランプを非難し、難民をスタバで雇用するという反トランプ的な動きも見せていました。

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トランプでアメリカは大丈夫か8 「炎と怒り」トランプ暴露本

2018年05月30日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

   旅行から戻り、ブログに復帰します。今回は秋田県の大館市、十和田湖、奥入瀬渓流をめぐる東北地方の旅でした。東京にいると毎日トランプのたわごと、日大とモリカケ問題でうんざりですが、こうしたニュースから離れて大自然の中できれいな空気をたくさん吸ってすっかりデトックスし、リフレッシュすることができました。

   旅の様子は別の機会に譲り、今回は先週から続くトランプによる、「米朝会談はやめた」、「やっぱりやる」、という言葉に世界がほんろうされたことにコメントします。これは彼独特の「ディール」という言われる手法だと言われます。今回は北朝鮮がトランプに翻弄され、おおいに慌ててリカバリーショットを打ち、どうやら会談にはこぎつけそうです。こうしたトランプの行動を、彼について書かれた全米ベストセラー記録を塗り替えた本、「炎と怒り」による分析を交えて書いてみたいと思います。

   そもそも「炎と怒り」というタイトルですが、これは北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返しているさなかに北朝鮮に向けてトランプの言った「世界が見たこともない炎と怒りに直面するだろう」という先制攻撃をにおわせる言葉から取ったものです。しかし私にはそれだけでなく、マスコミや批評家のトランプに対する批判に対する彼の「日常的炎と怒り」に満ち溢れた言動を表現したタイトルだと思えます。

   この本は500ページ近くあるため、ゴールデン・ウィーク中にかなりの時間を取って読んだのですが、実はアメリカの事情を相当程度知る人でないと、読んでも面白さを感じないのではないかと思いました。その理由の一つは我々日本人にとってなじみのない多くの人名や弁護士事務所名などが出てきて、その人物などの重要度をある程度知らないと面白みを感じることができないと思うためです。

  日本に例えれば、出てくる名前は例えばマスコミ界の大御所、読売のナベツネやフジテレビグループの鹿内ファミリー、浜田松本・森総合法律事務所と言っても、アメリカ人は誰も知らないし、それ誰?という程度でしょう。ちょうどその逆にアメリカ人の大御所やセレブの名前が連続しても、我々日本人にはピンときません。

   理由の二つ目は、内容がトランプ政権内の人事抗争問題がほとんどでそれに時事問題がからみますが、時間軸がすでに古くなってしまったため新鮮味が薄いのです。もちろん私が1月に出版された本を読んだのではなく、翻訳本を今頃読んでいるからかもしれません。かなりの割合がホワイトハウス内部、それも大統領府の一番奥深い部分に関する内部対立に関するもので、すでに首になった過去の人である首席戦略官であったバノンとトランプの娘夫婦クシュナー・イバンカとの確執などが話題の中心になっています。そして時期的にはバノンが首になった去年の8月までのことが書かれています。

   ただ、トランプが毎日何をしているとか、どんな考えを持ち行動をする人間かという部分などは、好奇心を大いにそそり、それを満たしてくれました。そこでせっかくですので今後のトランプを見る参考にしていただくために、そうした暴露部分を面白おかしく紹介させていただきます。まずは著者のことから。

  驚くのは著者のマイケル・ウォルフがホワイトハウスに出入りする許可を得て実際に出入りしていたジャーナリストであるということ。その理由はトランプにある程度気に入られていたからです。彼が過去にメディア王であるルパート・マードックの伝記を書き、人物像を好意的に書いていて、トランプも将来マードックのように書いてほしいと思い、出入りを許していたのかもしれません。これは私の推測です。そのため著者はトランプの側近たちへの接触も許され、特にあの曲者である首席戦略官バノンと通じていて、彼のオフィスにも出入りして情報を入れていたというのです。

   大富豪好きなトランプはマードックを尊敬し陰のアドバイザーとしてホワイトハウスから毎晩のように何時間も電話してアドバイスをうけていたという事実には驚きました。彼は毎日のようにマックのハンバーガーを食べ、夜8時にはベッドルームに入り、自分で持ち込んだなんと3台ものテレビから自分に関する報道をチェックします。そして気に入らないと朝の4時くらいから「フェークニュースだ!」とツイッター攻撃を始めるのです。しかし寝る前にもうひとつやることは、ほんの少数の友人に毎晩2-3時間も電話をするのです。そのなかでももっとも頻繁に話すのがこのマードックです。

   すでに87歳のマードックはオーストラリアのメディア経営者からアメリカに進出し、ニューズ・コーポレーションを所有する世界有数のメディア王になった人間です。トランプのお気に入りであるフォックスニュースは彼の傘下にあり、トランプをあからさまに支持しています。彼の傘下にある主なメディアを上げますと、21世紀フォックス、ウォールストリートジャーナルを傘下に持つダウ・ジョーンズ社、英タイムズをはじめ数多くのイギリス、オーストラリアの新聞・雑誌などを所有しています。もっとも21世紀フォックスは16年にディズニーに6兆円弱で売却しています。それだけでも彼の富豪ぶりがわかりますし、トランプ同様4回も結婚していますので、とても気が合うのでしょう。結婚相手の一人はミック・ジャガーの元妻さんというセレブ好き。しかし政治信条は一貫せず、若い時は左翼系で今は保守系、それも極端なリバタリアンで、イスラエル支持者だと言われていますが、08年の大統領予備選ではヒラリーを支持しました。要は勝馬に乗ろうとする日和見だというのが彼に貼られたレッテルです。

   そして本のかなりの部分を占める内部暴露の極めつけは、バノンとクシュナー・イバンカ夫妻が激しく対立し、お互いを蹴落とそうと醜い人事抗争に明け暮れたという部分です。あんなかわいい顔したイバンカちゃん、意外な側面が暴露されました。誰かが親父の悪口を言ったとか、気に入らない首席補佐官をイバンカに向かってこき下ろしたということが、どんどん暴露されていました。

   大統領就任以来、数多くの側近とされる人材の首を切っていますが、ほとんどはその首切り以前にうわさ話が漏れていました。それは主要閣僚や娘夫婦までが内部抗争から意図的にリークすることがあったためです。例えば初代首席補佐官のプリーバスや首席戦略官のバノンが切られると言う噂はそのまま実現したし、トランプをバカだと国務長官ティラーソンが言ったという話はほぼすべて本当の話がリークしたのです。

  ついでに追加すれば、著者はトランプ自身が毎日2-3時間も話す内容が、実は相手によりリークしていたとのこと。「漏洩は絶対に許さん」とさんざん言っていたトランプ自身が漏洩元とは、いかにもかわいいおしゃべりトランプちゃんのやりそうなことです。

   もちろんそうした話が本によりすべて暴露されるなどということは、守秘義務の関係からありえないと言う前提に立って、漏洩者は著者に話したのですが、見事に裏切られました。

   そのためこの本は暴露本としてアメリカでは大ベストセラーとなりました。しかも暴露された内容の信ぴょう性はかわいいトランプちゃんが保証してしまったのです。

 何故か?

   トランプは出版日の寸前に出版・販売差し止め請求を行ったので、真実が書かれていると保証したも同然になったのです。

  なので私に、「かわいいトランプちゃんがまたやった」と揶揄されることになります。

 つづく

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トランプでアメリカは大丈夫か7 米国債投資のチャンス到来

2018年04月24日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  米国債10年物金利が3%に接近し、ふたたび投資チャンスが到来しています。前回の記事では最後に世界経済のリスク要因として原油など資源価格の上昇と米国金利の上昇をとりあげました。米国債投資をお考えの方には、10年で3%に接近している長期金利は、絶好のチャンスと思われます。最も円安も急速に進んでいますので、ドル転の終わった方には金利上昇はとてもよいチャンスですね。

  金利高に関してある方から、最近米国金利は上昇しているが何故か、もっと上昇するのか、という質問をいただきました。回答は簡単ではありませんが、今回はそれについて私の見解を述べることにします。

  このところの最も目ざましい相場変動は、実は原油価格です。アメリカのシェールオイルの増産傾向にもかかわらず、WTI先物は60ドルの大台を固めた後そのまま上昇し、70ドルに接近しています。また同じ原油でも北海ブレントはすでに74ドルにまで達しています。2つの原油の価格差は質の差からきており、いつも北海ブレントが上鞘になっています。

  トランプちゃんはツイッターで原油相場に介入、「原油価格は高すぎる。OPECとロシアのせいだ」と言っているのですが、価格はそれをあざ笑うようにさらに上昇しています。そもそも原油価格上昇のきっかけはOPEC・ロシアの合意もさることながら、せっかく合意できていたイランの核に関する「6か国合意を破棄する」と言ったり、「アメリカ大使館をエルサレムに移す」などと中東情勢を危うくする政策を打ち出したトランプ自身が地政学上のリスクできっかけを作っているのです。それを棚に上げて相場に文句を言う、いつものおバカなトランプちゃんですね(笑)。

  それすら理解できないかわいいトランプちゃん、我々消費者はガソリン代が上昇しつつあり、すでに悪影響を受けています。アメリカの消費者も同様です。きっと日銀のクロちゃんだけは円安もあって物価上昇につながるので、人の不幸を喜んでいるに違いありません。

  資源価格の上昇は原油だけではありません。商品相場全体の動きを示すCRB指数も順調に上げています。指数を追うと昨年6月のボトム166から直近で203と1年弱で22%も上昇しています。これはもちろん世界経済が好調であることの証でもありますが、原材料高はやがては企業収益と消費に悪影響を及ぼし、景気の頭を抑える可能性があります。それが前回の私の指摘の中身です。

  そして金利にも当然影響します。常々申し上げているとおり、金利に最も影響を与えるのは「物価と雇用」です。アメリカの物価指数は3月で前年比+2.4%、コアインフレも3月に+2.1%となりました。そして好調な経済を反映し、3月の失業率は4.1%と最低水準で、賃金指数も前年比で2.7%となり、物価を押し上げる要因となっています。

  以上のように物価と雇用の指標は金利上昇に大きく貢献しています。そして一方の米国債の供給サイドを見ると、トランプ減税の本格化と今後見込まれるインフラ投資など、いずれも供給が大幅に増える政策をトランプは取り続けるのですから、上向き圧力がかかり続けます。そのうちきっと「金利は高すぎる」とかツイートするのでしょう。経済学の勉強をろくにしていないためか、自分のやっていることの影響を把握することもできないで文句ばっかりのかわいいトランプちゃん、困ったもんですね(笑)。

  しかしこうした材料はすでにある程度語られ、債券相場への織り込みはある程度進んでいると見るべきかもしれません。ただそれに加え来週には米国債の1千億ドル近い大量入札が予定されているため、その成否が今後の試金石の一つになるでしょう。

  しかし金利は果たして今後も上昇を続けるのでしょうか。アメリカの投資家も世界の投資家も株式市場の下落やボラティリティの高さを見て、若干株に及び腰であることから、金利がさらに上昇すれば債券へのシフトが起きる可能性があります。そのため3%を超えて大きく上昇することは見通しづらい、というのが私の見立てです。

  ちなみにこのタイミングでの投資を考えている方用に、米国債投資の為替と金利のシミュレーション結果を示しておきますので、参考にしてみてください。

 

想定;米国債10年物ゼロクーポン債   ドル円現在値 108.7

想定金利 2.8%複利 価格 75.73      B/E為替レート82.3円

想定金利 3.0%複利 価格74.25   B/E為替レート80.7円

想定金利 3.2%複利 価格 72.81      B/E為替レート79.14円

  見方は、例えば金利が3.0%の時に買ったとすると、10年物の価格は74.25%で、それが10年後の償還時は100%で返ってくるということを示しています。そして買った時の為替が108.7円として何円までの円高に耐えられるかですが、その計算は単純で、

108.7円 X 74.25% = 80.7円 

償還時にドル円が80.7円になるまでは損しない、ということです。

以上

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トランプでアメリカは大丈夫か6 中間選挙敗北の可能性

2018年04月19日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  いい加減にしろと言いたくなるほど、日米ともに政権側がスキャンダルまみれになっていて、重要審議はそっちのけ、両政権ともタブロイド紙か週刊誌並みの議論に明け暮れています。

  フロリダでのゴルフは、二人にとってそれらから逃げ一瞬の平穏を得るよい口実になったことでしょう。

  さて、本題である今後のアメリカ経済を見通すには、どうしてもある程度トランプ政権の行方をみておかないといけないと思い、今年11月の中間選挙までを私なりに見ることにします。

  前FBI長官コミー氏がトランプの本質を暴露する本を出版する予定で、出版前にそれを読んだトランプと非難合戦をしています。ロイターを引用します。

「米連邦捜査局(FBI)前長官のジェームズ・コミー氏は15日放送されたABCニュースのインタビュー番組で、トランプ大統領について、危険かつ「道徳的に不適格」な指導者であり、組織や文化の規範を「大きく損なっている」と指摘した。

コミー氏はインタビューで「女性を軽視する言動をし、重要度にかかわらずあらゆることにうそをつき続ける人間は、道徳的見地から米国の大統領にふさわしくない」と語った。

トランプ大統領は15日、ツイッターでコミー氏を批判。「不正直なジェームズ・コミーは史上最低のFBI長官として名を残すだろう」と罵った。」

  やくざ者トランプの手口は世界中で発揮されています。暴力を背景に脅すのがやくざの典型的やり口とすれば、トランプはまさにやくざです。アメリカの武力を背景に貿易問題で圧力をかけるやり口は、韓国との貿易交渉で発揮され、韓国はそれに屈しています。「お前たちを守ってやらない」というのは暴力による圧力そのもので、「暗い道では注意しろよ」というやくざの脅し文句と同じです。日本も同じやくざの手口で脅されているとみて差し支えないでしょう。

  ではいったい今後このトランプ大統領がどうなっていくのか、当たるも八卦で予想してみます。私の予想は「中間選挙で共和党が下院で過半数を割り込み、議会からの支持を得られない大統領はレームダックになるものの、弾劾まではされない。しかし次の大統領選挙では負ける」というものです。

  何故中間選挙で負けると言えるのでしょうか。

根拠1.絶対的トランプ地盤と言われていたペンシルバニアの補欠選挙で共和党候補が敗北した。その前にはルイジアナでも敗北している

根拠2.下院議長であるポール・ライアンの行動に代表される共和党議員のリタイアがあいついでいる

根拠3.アメリカと世界経済の変調

  以前から申し上げているようにポール・ライアンは48歳という若さですでに下院の議長という重責を担い、次期大統領候補の呼び声もあるのですが、リタイアを宣言してしまいました。理由は「家族との時間を大事にしたい」ですが、48歳です。そんなわけないでしょう。

  彼は大統領選挙中トランプを何度も非難し特に人種差別や女性蔑視の発言の度に非難し続けました。選挙直前のロッカールーム発言でもトランプを正面から非難。しかしトランプ当選後は共和党の重鎮としてウソツキでモラルのカケラもないトランプを支持せざるを得ず、また議長としての役割を放棄もできず、きっと悶々としていたにちがいありません。自分の良心に鑑みて、反トランプを表立って言えない立場に嫌気が指し、リタイアという形で良心に殉じた、というのが私の見方です。

  他の不出馬議員達も多かれ少なかれ良心のかけらもないトランプに嫌気がさしているし、共和党たる本質論から際立ってはずれるトランプ政策に反対しているのでしょう。共和党たる本質論とは「小さな政府による財政規律と規制緩和」です。トランプは軍事費増大とインフラへの財政支出増大により大きな政府を目指し、世界中を相手に貿易戦争をしかけ規制で国内産業を保護しようとしています。特に国内産業保護策のつもりの貿易戦争は相手国の報復措置や輸入物価上昇により国内産業を痛めつけ始め、100近い業界団体から保護主義反対のキャンペーンの嵐に見舞われています。保護主義で支持を得るどころか、実際には支持票を失っている可能性の方が大きいのです。

  実はこうした反トランプの共和党議員はポール・ライアンだけではなく、不出馬ドミノが起きつつあるというのがアメリカの選挙アナリストの見方です。これが中間選挙で共和党が負ける可能性があると見る私の見方です。

  では中間選挙で共和党が負けると、経済にはどのような影響があるのでしょうか。

  その前に前々回の記事では世界経済にスローダウンの兆しがあるとして、2点を指摘しました。

1.    中国経済の変調

2.    貿易戦争

今回はそれに以下の2点を加えます。

3.    ヨーロッパ経済の変調

欧州全体のPMI低下(昨年末の60台が3月には56台に)、3月の新車販売台数が前年比マイナス5.2%に大きく下落

4.    原油など資源価格の上昇と金利上昇

  原油価格ですが、NYのWTIは68ドル、北海ブレントにいたっては74ドルにもなっていて、金利の上昇とともにコストアップ要因になります。金利上昇は好調すぎるほど好調な住宅建設などに徐々に冷や水をかけ始めていますし、法人減税で伸びるとみられていた設備投資も、貿易戦争を見据えて萎縮しつつあります。

  世界経済はここまでしばし適温が続くゴルディロックス経済といわれてきましたが、どうやら変調の兆しが世界各地でみられるようになってきています。景況感も相場と同じで、どこかで曲がり始めると修復は容易ではありません。IMFあたりはずいぶん楽観的に来年の世界経済を見ていますが、楽観一色になったときこそ要注意です。すでに株式相場は各国ともそうしたことを読み始め、一方通行での上昇とはいかなくなっています。

つづく

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トランプでアメリカは大丈夫か5 ツイッター映えが生きがいのトランプ大統領

2018年04月13日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

    昨日の夕方にアップした記事の内容を一部削除します。削除する部分は以下のカッコ部分です。

「なんとみっともない内閣府ウソツキ2でしょうか。「首相案件と話すことはありえない」が一転、面談したしそう話したとのこと。柳瀬元首相秘書官の告白懺悔、ミエミエのうそがばれましたね。ウソツキ1財務省では死者が出ましたが、今回はその前に降参したようです。』

  夕方の民放のニュースを家内と見ていた時に上記のニュースが流れ、「これは大変なことになったね」と話をしたのですが、その後銅ニュースが流れませんでしたので、削除することにしました。失礼しました。なんだかきつねにつままれたようで不思議です。以下は変更ありません。

  海外ではシリア情勢がきな臭さを増しています。トランプのツイッターでのツブヤキが大きなリスクをまき散らしているからです。彼は次のツブヤキでロシアを煽り、冷戦時代に戻そうとしています。本日のブルームバーグを引用します。

「トランプ氏は米国時間の11日朝、ツイッターで「ロシアはシリアに対するあらゆるミサイルを打ち落とすと公言している。ロシアよ、準備するがいい。新型で素晴らしく、『高性能の』ミサイルが(アメリカ軍から)やって来るからだ。自国民を殺りくし、それを楽しんでいるような化学兵器(を使うシリア)のけだものと仲間になるべきではない!」と述べた。さらに「われわれとロシアの関係は冷戦時代を含め、史上最悪だ。これに道理はない。ロシアは経済への後押しで米国を必要としている」とツイートを続けた。」

( )内は林の補足です。

  トランプの支持率を4割で下支えしている最も大きな要素は何でしょうか。以前も指摘しましたが、私は最大の要素はトランプのツイートの連発が支持率維持に効いていると思っています。維持と言ってももちろん相変わらず不支持が支持を10数ポイント以上上回っていますが、それでも支持率は40%くらいで岩盤に突き当り、決してそれ以下に沈みません。

  「インスタ映え」という言葉があります。若い人たちを中心にインスタでもフェイスブックでも人の気を引き続けることに快感を感じ、魔力にとりつかれている人々がいます。私もフェイスブックでアカウントを持っていますが、フェイスブック上の友人でも、ほぼ毎日写真とともに何らかの記事をアップし、それに「いいね」をしてもらうことを無上の楽しみにしている人たちがいます。そうした人の多くはSNSなどない時代からの目立ちたがりでしたが、SNSという手段を得たことでそれが爆発しているように思われます。しかも注目度を上げるために投稿内容がどんどん過激になっていきます。

  ユーチューバー日本一と言われるHIKAKIN をご存知でしょうか。彼は投稿から収入を得るというインセンティブが働いているため、とにかくユーチューブ上で再生回数を増やすことを至上命題にしていて、投稿内容がどんどん過激になっています。トランプも同じで、ありきたりの投稿ではフォロワーが満足しないため、どんどん過激にならざるを得ません。トランプの場合はHIKAKINよりはるかに必死で、ツイッターが大統領としての命脈を保つ命綱ですから、注目を集める続けるためなら、どんなことでも書いてしまうのです。

   後ほど解説する「ロシアよ準備しろ、ミサイルが飛んでいくぞ」も世界に対するとんでもない挑発ですが、自分の側近たちを辞めさせる時のツイッター辞令も度を超えています。支持者に対し、ニュースメディアよりも早く直接知らせ、「オレ様がキングだ、フェイクニュースのいう事など聞くな」ということを言い続けるのが、彼にとっては毎日快感を得ることのできる最大の楽しみです。それを年に千回も聞かされていれば、フォロワーがトランプだけが信用できる、となってもおかしくありません。

  トランプもフォロワーも完全にツイッター中毒で、そうした中毒患者からもしSNSを奪ったら、狂い死にするに違いありません。それは置いておきますが、トランプは毎日・毎時こうしたネタ探しに奔走し、ツイッター映えする政策を今後も連発するに違いありません。

  かわいそうなのは敵国やトランプの気まぐれに翻弄される同盟国ばかりではありません。一番大変なのは政権内部の人たちです。それでなくともトランプがどんどん首を言い渡して人材不足なのに、その上気まぐれ不規則発言の火消しに追われます。昨日、大統領府の女性報道官もさすがに参って言葉に詰まっていました。というのもこれまでトランプはシリアや北朝鮮問題などで武力行使に出るときに、「オレ様は予告など一切しない」という宣言を繰り返していたのですが、一転しシリア攻撃をツイッターでつぶやいてしまったからです。

  ABCニュースはこれまでの「予告などしない」発言を5通り放映し、なのにツイッターで攻撃を予告したというニュースを流しました。それに沿って大統領府の毎日の記者会見でABCの記者がその矛盾を報道官のサンダースに突いたのです。そると彼女は「いや、大統領は攻撃のスケジュールには言及していないし、すべての選択肢を持っていると常々言っているだろ、その一環だ」とぜんぜん言い訳にもならない答えをし、果ては食い下がる質問者を無視して次の質問に移りました。あの苦虫顔のサンダース女史、毎日々々苦虫を食べて、おなか痛くならないのでしょうか(笑)。

 

  ではトランプのツイッターのどこがいけないのでしょうか。衝動的でますます過激になる内容が世界を揺さぶり、株式、為替、石油などの商品市場を揺るがしています。2月の大荒れ相場の後、1か月半もNYダウはトランプ発言の度に大きく揺れています。そのため市場関係者は彼のツブヤキにますます注目せざるを得なくなり、ファンダメンタルズの分析などそっちのけになっています。

  シリア攻撃のツブヤキで原油価格はWTIで67ドル、北海ブレントで70ドル超えになっていて、それが株価の足を引っ張っています。やがてそうした商品相場の値上がりは我々のフトコロを直撃することにもなります。

世界の地政学上のリスクはサイバー上にあり!

震源地はトランプなのです。

  もし、彼のツイッターがシリア攻撃の最中に何者かに乗っ取られ、乗っ取り犯がトランプになりすまし「シリアを防衛しているロシア軍も直接攻撃をするぞ」などとつぶやこうものなら、地中海に展開する米海軍空母打撃群をロシアがあわてて直接攻撃し米ロが戦闘状態になるかもしれません。サイバー上のリスクは、そうしたこともあり得る恐ろしさをはらんでいるので要注意です。

 

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