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トランプでアメリカは大丈夫か14 貿易戦争4

2018年07月04日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  事前のダメ予想を大きく覆した西野ジャパンにエールを送りたいと思います。

  楽しませてくれて、本当にアリガトウ!

 さて、「トランプでアメリカは大丈夫か?」に戻ります。

  今回の貿易戦争で明らかになったアメリカの真実とは、アメリカはろくなものを作っていないということでした。中国にしてもEUにしても、対米報復といいながら、追加関税の対象は、豚肉、バーボン、オレンジジュース、ジーンズ、オートバイ、大豆・・・正直言って笑っちゃいますよねこのリスト。

  赤字の原因は、そもそもろくなものした作れない自国の製造業なのに、トランプはそれを棚に上げ、他国を非難しています。ハーレーダビッドソンはそのトランプの顔に泥を塗りましたが、もっと強烈なパンチを浴びせる企業が出てきました。他でもないアメリカの製造を象徴する企業であるGMです。大統領専用車ビーストはGMのキャデラックをベースに作られ、キャデラックはアメリカンドリームを象徴する車です。そのGMが輸入車に関税をかけることを真っ向から批判し、6月29日に商務省に意見書を提出したのです。理由は、

「25%もの関税は車の価格を上昇させ、消費者のためにならない。その措置はいずれ自国に跳ね返り、雇用を減少させる。」というもので、数字まで示しています。

・25%の関税だけでもアメリカ人の雇用は20万人も失われる

・相手から報復関税をかけられると、60万人の雇用が失われる

  さすがGM。輸入車排除による自社の短期的販売促進など、はなから考えていません。自動車販売業や自動車金融なども含めて自動車関連産業全体のデメリットを計算し、国全体の受けるデメリットをきちんと計算したのです。

  さておバカなトランプちゃんのお顔ですが、自分の唾は落ちてくるはハーレーに泥を塗られるは、GMには強烈パンチを浴びせられるはで、あの怒髪天顔がさらに真っ赤に染まっています。ハーレーにも「報復してやる」と言い放ち、ツイッター口撃をしていますが、GMに対してどのような口撃を繰り出すのでしょう。「俺のビーストは他社に作らせる」とでも言い放ちますか(笑)。

  そして一昨日、ついにトランプ政策を讃えていた全米商工会議所までもが反トランプののろしをあげましたロイターを一部引用しますと、

「全米商工会議所は、世界的な貿易摩擦へのトランプ米大統領の対応を批判し、米国が導入した関税と貿易パートナーによる報復措置は米経済に悪影響を及ぼすとするリポートを公表した。」このあと州別の影響額が延々と示されていますが、それは省略します。

  一方、前回の解説で指摘したように、例えば中国からの輸入赤字の6割くらいが実はアメリカ企業が製造委託をしているアップルなどのアメリカ製品です。つまりアメリカ製造業の構造は、コストの高いアメリカでは作らず、世界中で最適な生産拠点を設けて製造しているのです。先ほどのアイフォンでも主要部品は日本・韓国、組み立ては台湾企業が中国で行うというような具合です。そして肝心なコンセプト、ソフトやデザインはアメリカで行っていて、販売価格の半分以上をアイデア代としてアップルが持っていくという収益構造なのです。

  この事実、トランプ政権は実は把握しています。そのため今回の中国に対する制限リストからアイフォンに代表される携帯電話は除外されているのです。日経新聞によれば、この一品目で約8兆円もの輸出が中国からアメリカに行われています。それがもしアメリカで25%も値上げになったら、消費者も黙っていないでしょう。

  アメリカはそうした国際分業でしっかりと経済構造ができているというのに、おバカなトランプちゃんはそれをぶち壊そうとしています。もともとアメリカは世界に比べて生産性が低く賃金の安い鉄鋼などをギブアップし、その代わりFANGと略されるフェースブック・アップル・ネットフリックス・グーグルなどのハイテク企業に集中し、社員は超高給取りで我が世の春を謳歌しています。

その連中が今さら鉄鋼業などに誰が行くもんですか!

  こんなおバカなトランプで、アメリカは大丈夫か?

「ダメでしょう(笑)」、が一義的回答です。

  アメリカはこの先も高度化にシフトしたことを理解できない支離滅裂なトランプの貿易政策により大きな損失を被るでしょう。みずほ総研によれば、「アメリカの保護貿易と中国の報復により米中間の貿易が2割減少すると、中国のGDPは約3%減少し、アメリカも1%減少する」と試算を示しました。

  それにEU自動車メーカーの自動車への関税に報復措置が加わりそうです。

このところの世界の株価の低迷は、こうしたことを如実に反映しているのだと私は思います。

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トランプでアメリカは大丈夫か13 貿易戦争 3

2018年06月26日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

今回は自分の吐いた唾が顔にかかったトランプちゃんについてです(爆)

先日のブログでEUとトランプの報復合戦に関して、以下のロイターニュースを引用しました。

>「EUがWTOに提出したリストによると、報復関税の対象にはトウモロコシやオレンジジュース、ハーレーダビッドソンのオートバイ、バーボンウイスキーなど、米共和党の有力議員の地元産品がズラリと並ぶ。米政界で発言力の強い有力議員の地元を狙い撃ちすることで、トランプ政権がこれ以上、保護主義的な措置に走らないように揺さぶりをかける思惑がうかがえる。」

そして私は「天に唾するおバカなトランプちゃん」と揶揄しました。

EUは22日にそれに対して報復関税を実施しましたが、ハーレーダビッドソンは即座にアメリカを出ていく決断をしました。「欧州へ輸出するバイクはアメリカ国外で製造する」というのです。当たり前の自己防衛です。

トランプは自分の顔に自分の唾がかかるばかりでなく、ハーレーダビッドソンが泥も塗ってあげました。

喝采!

これに対するトランプの最初の反応は、「まさか?!オレ様はお前らにためにやってやったのに」でした。そして次の反応は破れかぶれで、ロイターによれば「全ての企業の中でハーレー・ダビッドソンが最初に白旗を振るとは驚きだ。同社のために最大の努力をしてきたが、最終的に欧州への販売で同社は関税を支払わないことになる」と述べ、「税金はハーレーの言い訳に過ぎない、忍耐強くあるべきだ」と批判した。

支離滅裂で、何を言いたいのかも不明です。

今日はさらに補足もしておきます。大前研一氏が以前から指摘していることです。それは、トランプは中国からアメリカの輸出の多さをやり玉に上げていますが、実はその中身の過半はアメリカ製品だという指摘です。

17年年間の中国の対米黒字は3,371億ドル、約36兆円ですが、そのうちアップルのアイフォンだけで約5兆円。アイフォンはシャープの大株主である台湾のホンハイがほとんどの製造を請け負い、中国で製造しています。それにもし25%の関税をかけると、アメリカ人は1,000ドルのアイフォンを1,250ドルで買わされることになります。その分値引きすればアップルの利益は大きく減少します。

アメリカや日本で、オリジナルが中国の製品で競争力を持つ商品などみなさんは思いつきますか?私は思い当たるものはありません。

日本でいえば、ユニクロなどの衣料品や100円ショップは中国製品であふれていますが、それらはいずれも日本の企業が企画し中国で製造して日本に輸出されたもので、利益のかなりの部分は日本企業が得ています。アメリカでも全く同様です。

こうした疑似中国製品に関税を掛けることは、結局また自分の唾が自分の顔にかかることになります。

かわいいおバカなトランプちゃん、どうしてもこの簡単なことが理解できないようです。

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トランプでアメリカは大丈夫か12 貿易戦争 2

2018年06月23日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  今アメリカのマスコミを最も騒がしているのは、トランプの「不法移民親子引き離し政策」です。不法移民の親子を引き離し、子供を檻にいれて親から引き離した「ゼロ・トレランス=不寛容」政策に大批判が巻き起こり、遂にトランプはその悪魔の政策を取り下げました。

  その過程で明らかになったトランプの弱みは、「身内に弱い」です。今回の悲惨な状況にメラニア夫人は報道官を通じ、「子どもたちが家族と引き離されるのを見るのはつらい。与野党が協力し、最終的に移民政策の改革を達成することを願う」と、大統領夫人としてはきわめて異例ですが、反旗を翻しました。その後トランプの娘であり大統領補佐官のイヴァンカも夫人に同調し、それを受けてトランプは昨日政策を撤廃しました。イヴァンカは昨年のアメリカによるシリア爆撃のきっかけも作っています。アサド政権による化学兵器使用で苦しむ子供たちがかわいそうだ、というイヴァンカの一言が影響したといわれています。

「トランプを射んと欲すれば、まず母娘を射よ!」

 

  さて、前回に続き貿易戦争ですが、米中は5月以降3度にわたり閣僚級協議を開催。中国が米国製品の輸入拡大を提案するなど歩み寄る場面もありましたが、中国による知的財産権侵害などをめぐる対立が解けず、トランプ政権は対中制裁にかじを切り、報復合戦がはじまりました。

  その後米中双方が実行あるいは宣言した追加措置の脅しっこを簡単にまとめますと、

1.中国の対アメリカ輸出500億ドルにトランプが25%の追加関税措置 

2.中国が同額の報復関税を課すと発表

3.アメリカはその中国の報復に対抗し1,000億ドルの追加関税措を課すと宣言

4.中国もそれに追加報復を検討すると宣言

5.中国がさらに追加措置を実行するならアメリカはさらに2,000億ドルの追加関税検討と宣言

6.中国がさらに報復してきたら、さらに2,000億ドル追加すると追加宣言 

7.中国もアメリカに対して、もし追加措置があれば、さらに対抗措置とると宣言

  おバカなトランプちゃんに、中国がまともに応戦したため全面戦争のリスクが出てきています。報復に報復したら、報復し返す。まるで大リーグでよくある、二人から始まり最後は両チーム入り乱れ全員で殴り合う、あの喧嘩を彷彿とさせます。貿易戦争はこのままいくとかなりヤバイことになります。それを見越した株式相場は先々週からほとんど連日少しづつ下げっぱなしで、18日から東京、欧州、NYとかなりの下げ相場になっています。どの株式市場も今年の年初からの上昇分はすべて失っています。

  一方、欧州では米国のアルミ・鉄鋼への追加関税が世界貿易機関(WTO)の協定に違反すると判断し、アメリカの輸入制限の損害額と同規模の関税をかけることで損害を相殺する方針を決め、報復措置の実施がはじまっています。欧州委員会は22日対抗措置の手始めとして、28億ユーロ規模の米製品に対して報復関税を課し、その後さらに36億ユーロを追加します。それに対してトランプはツイッターで「欧州からアメリカへの自動車輸出に20%の関税をかけてやる。車はアメリカで作れ」と報復措置を投稿しました。

  中国同様、EUもアメリカとの貿易戦争に突入しました。ロイターによれば、EU側はかなり政治的インパクトを追求したターゲットを設定しています。それは、

「EUがWTOに提出したリストによると、報復関税の対象にはトウモロコシやオレンジジュース、ハーレーダビッドソンのオートバイ、バーボンウイスキーなど、米共和党の有力議員の地元産品がズラリと並ぶ。米政界で発言力の強い有力議員の地元を狙い撃ちすることで、トランプ政権がこれ以上、保護主義的な措置に走らないように揺さぶりをかける思惑がうかがえる。」

  では日本の対応はどうか。一応一昨日アメリカが日本など鉄鋼関税の一部取り下げを行いましたが、今後は自動車などへの関税25%を突き付けられています。いまのところWTOなどの国際機関への提訴以外、有効な手を打つ気配はありません。なんといっても安倍首相はいつも「トランプ大統領とは100%一致した」と言い続けているのですから、期待はできません。

  ところが中国政府はいつの間にか世界の自由貿易の旗手となっていて、アメリカの破壊的行動に対して、「我々は欧州とともにアメリカに対抗していくつもりだ」と宣言しています。アメリカに対抗するにはWTOだけでなく、自由貿易連合を組んで対抗すべきですが、そこに日本は入っていません。アメリカの手下だと思われているのでしょう。

  AP通信によれば「トランプが貿易戦争で口火を切って以来、世界の株式時価総額は約2.5兆ドル(約275兆円)減っている。」とのこと。貿易戦争が株安の原因のすべてとは限りませんが、ここまでの相場変動は、新たな制裁、報復措置が発表されるたびに下げているのは確かです。

  この問題はそもそもトランプが選挙公約としてラストベルト(アメリカ中西部)の労働者の雇用を守るとして鉄鋼・アルミへの関税を強化したのが始まりですが、そのおかげで世界の鉄鋼アルミ産業がアメリカに投資することを決定したなどというニュースは皆無ですし、雇用が大きく改善したなどということもありません。

  このような不安定極まりないトランプの率いるアメリカに、誰が投資などするものですか。長期的コミットの必要な巨額の投資決定をするにあたって政策の安定性は必須の条件です。

  貿易戦争の影に隠れてこのところ話題になっていないのがイギリスのEU離脱ですが、いよいよイギリスの尻に火が付き始めました。これも国際的投資にかかわることですので、参考までに情報を提供しておきます。

  世界の旅客機の2大メーカーの一つ、欧州連合が作っているエアバスに関してです。旅客機ではボーイングの独占に対抗するすべを持たなかった欧州は、連合体を組みボーイングに伍するメーカーを育て上げました。グローバリゼーションのアドバンテージを体現している企業です。数年前私はフランス旅行紀の中でツールーズのエアバス本社工場を見学したことを書きました。もともとはフランス、ドイツ、イギリス、スペインの連合で作られたエアバス社ですが、イギリスなど各国で部品を製造し、ツールーズに運んで組み立てています。しかしエアバス社はイギリスからの撤退を検討しているというニュースが昨日流れました。

 エアバスにとりイギリスは重要な製造拠点の一つで、28拠点、直接雇用1万4千人、間接雇用は11万人もいます。それがイギリスから撤退するというのですから、メイ首相にとっては頭の痛い問題です。工場のロケーションは長期のコミットですから、政治的安定性はきわめて重要で、免税をエンジョイしていた域内であったイギリスと欧州間に関税が必要となれば、サプライチェーンを保つことはできません。

  このように貿易問題で短期的攻防戦を戦っている最中に、一方では長期的決定がなされるため、貿易戦争の影響は非常に長引きかつ大きいものがあります。かつて自由貿易の旗手であった貿易立国日本が、旗手の座をいつの間にか中国に明け渡すなど、考えられないほど重大な政策ミスを犯しているのです。

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トランプでアメリカは大丈夫か11 18年前半戦終了

2018年06月16日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  

  前回のタイトルのナンバー9が前々回と重なっていたので、今回は11回目としました。


  さて、今年もすでに半年が経とうとしています。年初には恒例として、ユーラシア・グループ代表の政治学者イアン・ブレマー氏の世界の十大リスクを話題にしました。半年を経たところで、ちょっとレビューをしておきましょう。

ブレマー氏が上げた10大リスクは以下の通りでした。

18年の10大リスク

1.真空を愛する中国

2.アクシデント

3.世界的なテクノロジー冷戦

4.メキシコ

5.アメリカとイランの関係

6.機関・機構の衰退

7.保護主義2.0

8.イギリス

9.南アジアの独自政治

10.アフリカの安全

  私はそれに対して、こう指摘しました。「今年のリスク予想の最大のポイントは、「トランプリスクが消えたこと」です。去年は第一番に掲げ最大のリスクだと言明していたトランプリスクが、少なくとも10項目のタイトルからは消えています。昨年の第1番目のリスクは「我道を行くアメリカ」というタイトルで、トランプのアメリカが世界のリーダーシップを取らなくなるリスクを上げていました。今年のリストにもトランプリスクとおぼしき項目もあることはあります。「アメリカとイランの関係」、「保護主義2.0」などですが、脇役扱いです。」

  しかしはっきり言って今年もこここまでの半年は徹底的にトランプに振り回された半年でした。きっと残る半年もそうでしょう。彼は世界中で放火をしまくって歩いています。たとえばエルサレムへのアメリカ大使館移転、イランの6か国合意からの離脱、世界を相手にした貿易戦争などです。世界の混乱の中心、最大のリスクは間違いなくトランプです。

  一方、十大リスクとは別に年初に私が記事にしたのは、やはりイアン・ブレマー氏の以下のご託宣でした。

引用

「北朝鮮がアメリカを攻撃するはずもなく、アメリカも先制攻撃を行わない」

このご託宣は、18年1月1日にNHKのBSで放映された大越キャスターの「激動の世界を行く」で大越氏がイアン・ブレマー氏にインタビューし、その中で語られた言葉です。

引用終わり

  北朝鮮問題はまさにブレマー氏のご託宣通り、戦争になどならず、それどころか直接対話にまで至りました。

  ここで、私がなぜ政治の話題であるトランプ問題にこだわって頻繁に話題にするのか、一言説明しておきます。

  それはこのシリーズのタイトルである「トランプでアメリカは大丈夫か」を見極めるためです。そもそもアメリカ国債を「世界で最も信用のおける安全な資産だ」と言っているのですから、アメリカという国の先行きを見通さないわけにいきません。これまででしたら経済・金融問題を扱っていればよかったのですが、トランプ以降はそうはいきません。今後10年、20年、30年という長期に渡ってアメリカに投資しようとする読者のみなさんに、すくなくとも私の見解を届けるべきだとの使命感からトランプ政権の見通しを書いています。

  アメリカは一人の大統領でダメになるようなヤワな国ではありませんが、これほどまでに世界を相手に争い続けパンチの応酬をやり合うと、政治的にズタズタでも経済は無事というわけにはいきません。貿易戦争の行方を見極めようとする動きは、長期の投資行動に出ています。

  例えば日本の自動車産業はアメリカと周辺国であるメキシコ・カナダなどとの間でサプライチェーンを築いていますが、トランプの不安定な政策を嫌気して、今後の投資先を決めかね、投資をストップさせています。設備投資は非常に足の長い先を見た決断ですが、それをストップして様子見に入っている、もしくは委縮していると言ってよいかもしれません。

  一方短期的な動きはこのところの株式相場に出ていると私は思っています。先週は北朝鮮との直接対話、G7、FOMCなど、大きな政治・金融のイベントが目白押しで、それぞれある程度の結論が出たにも関わらず、株式市場も為替市場もほとんど反応していません。商いもいつもより薄い状況が続いています。これも投資家が米中貿易戦争や米欧貿易戦争の行く先を不安視して、委縮している証左と言えるでしょう。

  前々回の記事ではそもそも貿易でメリット受けているのは黒字の中国だけでなく、アメリカの消費者もだと申し上げました。「高性能で耐久力のあるしかも安い商品」が買えるのですから。また対中、対欧州、対日の追加関税は誰から徴収するのでしょう。海外の業界ですか?いいえ、最後に払うのはアメリカの消費者です。

  そのためアメリカの小売業協会や商工会議所もトランプに反発しています。6月16日の日経新聞から引用します。

「トランプ政権が中国製品に25%の関税を掛ける制裁の発動を決めたことに対し米産業界で15日、反発の声が上がった。中国も報復関税を課すと発表し、米国産の大豆や牛肉など農産物の対中輸出が落ち込む懸念が出ている。米小売業界団体は、『消費者の家計が圧迫される』と懸念を表明した。米商工会議所もアメリカの鋼材価格は1月に比べ4割も上昇したと指摘し、追加関税の対象からはずすよう政府に要望した」

  天に向かってつばを吐くおバカなトランプちゃんに、遂にアメリカでも業界を上げて反対ののろしが上がり始めました。

つづく

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トランプでアメリカは大丈夫か9 米朝会談の成功

2018年06月12日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

  米朝会談が無事成功裏に終わりましたね。いろいろ批判はあるでしょうが、ひとまず成功です。「完全な非核化への取り組み」「体制の保証」という2つの重要点に包括的な合意が成立しました。と言っても、トランプは途中で席を立たない限り合意内容に多少の不備や不満が残っても、「大成功だ」と言うに違いないので、トランプの言葉だけでは信用ならないのは事実です。細かなことは報道にまかせ、非核化と体制問題に集中します。

  今回の結果について早くから私は成功を予想しましたが、多くの専門家は懐疑的でした。それは会談が行われること自体に懐疑的だったり、行われても核廃棄の合意に懐疑的、そして合意に至ってもその後の順守に懐疑的というような予想を持つ人が多かったと思います。

  では私は何故成功に対して楽観的だったのか。将来の見通しにもかかわるので、詳しく説明します。これにはきちんとした根拠があります。重要な根拠はたった一つ、「体制の保証」です。

  大方の議論は「これまで北朝鮮核に関する合意事項を何度も破ってきた。だから信用ならない」というもので、今でも毎日その言葉が聞こえます。しかし今回は違います。体制の保証とのディールだからです。

  過去にも核放棄の合意はありました。いわゆる6か国協議によるものです。6か国協議は2003年に開始され、20059月に、北朝鮮の核放棄などを盛り込んだ共同声明を採択しました。この内容を見ると、そこには「体制の保証」などという言葉は一言も書かれていません。

 多くの専門家、マスコミは6か国協議の合意内容を読んでいないのでしょうか。だからまた同じように裏切るに違いないという間違った予想をしてしまうのでしょう。特に「あれだけ時間をかけて開発したのだから北が核の放棄など絶対にするわけない」と言っていた人たちの予想はくつがえったとみていいでしょう。

  私はこれまで何度も金正恩の求めるものはたった一つ「命の保証」、つまり体制の保証だと言ってきました。カダフィのようにハチの巣にされることをひたすら恐れ、ちょっとでも怪しいと側近や親戚・兄弟すら殺しまくり、自身の身の安全の確保に全力を注いできました。その一点だけ安堵させてやれば、今後も裏切りはできなくなります。

  今回の米朝会談のニュースは、北朝鮮でもすでにあのオバチャンが力みかえりながら全国に流しています。それを「ごめん、だめだった」などとは金正恩でも言えません。彼は神様なので、失敗などありえないのです。失敗すれば神様信仰が崩壊し、人民の信認を失います。

  一方のトランプも同じように選挙民に対して成功宣伝をしまくっているので、簡単に失敗できません。

  ただし「体制の保証」という言葉について私自身は違和感を持っています。何故なら体制の保証とは一国内の問題であって、外国が保証できるものではないからです。これもまた、まともに指摘している論調を私は見ることはありませんでした。

  つまりアメリカが体制を保証したところで、国内で国民が反金正恩でまとまって反乱を起こしたり、親衛隊が反乱を起こして暗殺したりするのをアメリカは防げません。できるのは、米韓演習で行われるような外からの「斬首作戦」はしない、という程度の体制保証であることを忘れないようにしましょう。

  それはそれとしても、アメリカによる体制保証は金正恩にとって非常に大事なことで、だから大筋での合意に至ったのだと思います。

  では今後をどう見るか?一番重要なのはもちろん完全な非核化です。これはトランプもやっと理解したように、非常に長い時間がかかります。

  完全な非核化が実現できるか否かについては、今後の推移を見守るしかないとしか言えません。しかし大事なのは、「非核化への歩みを巻き戻すことはないだろう」という点です。徐々にであろうがスピード感をもってであろうが、大事なのは巻き戻しがあるかないかです。金正恩は巻き戻して自分の命を危険にさらすかと言えば、彼の行動原理からみてそれはありえません。

  ということで、この会談の成功は「双方とも巻き戻しはできない」という点で非常に重要なのです。アメリカにとっても、北朝鮮にとっても、周辺国である日中韓にとっても。

  トランプと金正恩にエールを送りましょう。


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