事前のダメ予想を大きく覆した西野ジャパンにエールを送りたいと思います。
楽しませてくれて、本当にアリガトウ!
さて、「トランプでアメリカは大丈夫か?」に戻ります。
今回の貿易戦争で明らかになったアメリカの真実とは、アメリカはろくなものを作っていないということでした。中国にしてもEUにしても、対米報復といいながら、追加関税の対象は、豚肉、バーボン、オレンジジュース、ジーンズ、オートバイ、大豆・・・正直言って笑っちゃいますよねこのリスト。
赤字の原因は、そもそもろくなものした作れない自国の製造業なのに、トランプはそれを棚に上げ、他国を非難しています。ハーレーダビッドソンはそのトランプの顔に泥を塗りましたが、もっと強烈なパンチを浴びせる企業が出てきました。他でもないアメリカの製造を象徴する企業であるGMです。大統領専用車ビーストはGMのキャデラックをベースに作られ、キャデラックはアメリカンドリームを象徴する車です。そのGMが輸入車に関税をかけることを真っ向から批判し、6月29日に商務省に意見書を提出したのです。理由は、
「25%もの関税は車の価格を上昇させ、消費者のためにならない。その措置はいずれ自国に跳ね返り、雇用を減少させる。」というもので、数字まで示しています。
・25%の関税だけでもアメリカ人の雇用は20万人も失われる
・相手から報復関税をかけられると、60万人の雇用が失われる
さすがGM。輸入車排除による自社の短期的販売促進など、はなから考えていません。自動車販売業や自動車金融なども含めて自動車関連産業全体のデメリットを計算し、国全体の受けるデメリットをきちんと計算したのです。
さておバカなトランプちゃんのお顔ですが、自分の唾は落ちてくるはハーレーに泥を塗られるは、GMには強烈パンチを浴びせられるはで、あの怒髪天顔がさらに真っ赤に染まっています。ハーレーにも「報復してやる」と言い放ち、ツイッター口撃をしていますが、GMに対してどのような口撃を繰り出すのでしょう。「俺のビーストは他社に作らせる」とでも言い放ちますか(笑)。
そして一昨日、ついにトランプ政策を讃えていた全米商工会議所までもが反トランプののろしをあげましたロイターを一部引用しますと、
「全米商工会議所は、世界的な貿易摩擦へのトランプ米大統領の対応を批判し、米国が導入した関税と貿易パートナーによる報復措置は米経済に悪影響を及ぼすとするリポートを公表した。」このあと州別の影響額が延々と示されていますが、それは省略します。
一方、前回の解説で指摘したように、例えば中国からの輸入赤字の6割くらいが実はアメリカ企業が製造委託をしているアップルなどのアメリカ製品です。つまりアメリカ製造業の構造は、コストの高いアメリカでは作らず、世界中で最適な生産拠点を設けて製造しているのです。先ほどのアイフォンでも主要部品は日本・韓国、組み立ては台湾企業が中国で行うというような具合です。そして肝心なコンセプト、ソフトやデザインはアメリカで行っていて、販売価格の半分以上をアイデア代としてアップルが持っていくという収益構造なのです。
この事実、トランプ政権は実は把握しています。そのため今回の中国に対する制限リストからアイフォンに代表される携帯電話は除外されているのです。日経新聞によれば、この一品目で約8兆円もの輸出が中国からアメリカに行われています。それがもしアメリカで25%も値上げになったら、消費者も黙っていないでしょう。
アメリカはそうした国際分業でしっかりと経済構造ができているというのに、おバカなトランプちゃんはそれをぶち壊そうとしています。もともとアメリカは世界に比べて生産性が低く賃金の安い鉄鋼などをギブアップし、その代わりFANGと略されるフェースブック・アップル・ネットフリックス・グーグルなどのハイテク企業に集中し、社員は超高給取りで我が世の春を謳歌しています。
その連中が今さら鉄鋼業などに誰が行くもんですか!
こんなおバカなトランプで、アメリカは大丈夫か?
「ダメでしょう(笑)」、が一義的回答です。
アメリカはこの先も高度化にシフトしたことを理解できない支離滅裂なトランプの貿易政策により大きな損失を被るでしょう。みずほ総研によれば、「アメリカの保護貿易と中国の報復により米中間の貿易が2割減少すると、中国のGDPは約3%減少し、アメリカも1%減少する」と試算を示しました。
それにEU自動車メーカーの自動車への関税に報復措置が加わりそうです。
このところの世界の株価の低迷は、こうしたことを如実に反映しているのだと私は思います。