岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

「鈴木社長」

2008-08-04 21:42:15 | いなか暮らし

Cimg3997 ※写真 今年も案山子の季節到来。
 田んぼの稲に、これから穂が出て日増しに米粒が大きくなると、雀が喜ぶ。
 そこで案山子の出番 なんと今年はスーツで登場。

新年の仕事始めの日、昼食時間を利用して会社の講堂に全社員200名ほどが集合する。
 参加資格は「今年中に先祖のお墓参りをすること」
 この1年に鈴木社長が全国各地で講演した際にいただいた謝礼、記念品、お土産等々がところ狭しと並べられてみんなに配布するための抽選会。
 専務も部長もパートさんもおなじ条件で現金はちょっとしたボーナスになるほどの額が当たる。
 みんなが喜んで大騒ぎすするのを鈴木社長はニコニコしながら見ている。

 鈴木社長は自身が開発した製品が30~40年代にばか売れして当時、大金持ちを体験したが経理に疎いために部下に大穴を空けられてしまった。
 再起を図ろうにも資金が無く折悪しく家庭的にも落ち込み経営指導の先生の許を訪ねた。
 先生に「貴方は底の無い釣瓶だ」このままでは働いても無駄だと叱責され再起を図らんとすれば、まず
「先祖のお墓詣り」
「世の中の役に立つこと」をしなさいと言われて奮起
 故郷の先祖のお墓を泣きながら洗い清めた。同時に都内の駅(今では大きな駅・・)の早朝清掃を始めた。
 それから数年後、自身が開発した商品は製品化が難しいだろうと言われていたが、省力化に繋がることから大手メーカーに採用され事業規模は次第に大きくなり海外にも生産拠点を構えるまでになったが駅の早朝清掃は続けた
 90才過ぎて今一度、大発明を目論んでいたが、92,3才であっけなく逝った。
 枕元には最後まで書きかけの設計図面があったという。

 日曜日の朝、地区の一斉清掃があった。
 カラフルな新住民の家が立ち並ぶ、
 その家の前の僅かの道路や街路樹の根元をみんなで我が物と思って少し手入れをしてくれれば町もきれいになるものを・・・・・
 その朝、尊敬する鈴木社長を思い出した。

コメント
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