くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「空棺の烏」阿部智里

2015-09-08 04:08:29 | ファンタジー
 期待を裏切らないおもしろさ! 阿部智里「空棺の烏」(文藝春秋)です。
 前回猿たちとの争いから新たな目的をもった雪哉。山内衆の養成所勁草院に入学し、武官の訓練を受けることにします。
 同じ部屋になったのは、かつて雪哉にこてんぱんにやられた同郷の市柳と体格のいい茂丸。さらに西家の御曹司明留や下人階級出身の千早が加わり、訓練に明け暮れることになります。
 ちょっと学園ものっぽいところもありました。雪哉を座学の先生として勉強会を開いたり(でも、雪哉は彼らが何を理解できないのかわからないので不向き)、明留がつっかかってきたり、ひいきする教員に目を付けられたり。
 そして、金烏としての奈月彦にはある理由から即位の延期を告げられます。

 タイトルの「空棺の烏」は、奈月彦の前の金烏が禁門の向こうから帰ってこなかったことに由来します。だから、その棺には遺体がない。奈月彦に金烏としての特徴が欠けていることはそのせいもあるのではないか。
 今は鍵を外しても誰も開けられない禁門。そして、そこには前金烏のある決意があったらしいのです。
 
 宮部さんの「荒神」に続いてまたマンイーターものを読んでしまいましたね。
 後半に出てくる「小猿」が言うには、ニンゲンを食べる猿は愚かになるのだそうです。
 まだまだ隠された秘密がありそうなんですが、次巻でいよいよ明らかになりそうです。ただ発売は来年なんだって。「玉依姫」、楽しみです。

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